
フランス語で「親密な」や「仲が良い」を意味し、「着ている人に寄り添う」や「心地良くいられる服」といった想いが込められたワンマイルウェアブランド〈アンティミテ〉。2017年5月の立ち上げから約3年。9月16日(水)から開催される伊勢丹新宿店でのポップアップイベントに先立ち、クリエーションを手がける佐々木希さんにお話を伺いました。

PROFILE
佐々木希
1988年2月8日生まれ。2006年に芸能界入りし、モデル、女優として活躍。2017年にデビューしたワンマイルウェアブランド〈アンティミテ〉のクリエーションも手がける。
―ファッションに興味を持った原体験とは?
幼い頃からメイクやファッションにものすごく興味がありました。母親と買物に行くのが楽しみで、真っ先に洋服を見に行くような子どもでした。
―〈アンティミテ〉を立ち上げた際にワンマイルウェアにフォーカスした理由を改めて教えてください
肌に直接触れたときに心地よく、リラックスできて、おしゃれも楽しめる、“そのまま外に行けるような部屋着”があればいいなと思い、ワンマイルウェアをコンセプトに洋服作りをはじめました。
―佐々木さん自身も家でミシンを踏んだりするんですか(笑)?
ミシンは時々しますが、初心者です(笑)。ただ、ミシンと向き合うことで職人さんが一着の洋服に込める時間や気持ちに近づける気がして、「私もそういうもの作りにちゃんと応える洋服を作りたい」と、より思うようになりました。〈アンティミテ〉はメイド・イン・ジャパンのブランドとして、職人さんにひとつひとつ丁寧に作っていただいて、生地や縫製にこだわっています。
―具体的に服づくりにはどのように関わっているのでしょうか?
その時々で違うのですが、数ある生地を見て「この生地でこういう服を作りたい」と考える時もあれば、率直に「こういう服が欲しい」というところから生地を選ぶこともあります。そこから作りたいアイテム毎に、例えば「首まわりの開きはこれくらいほしい」などポイントを伝えて、デザイナーさんにデザインを描いてもらっています。その後、サンプルが上がってきたら何度も試着して、納得するまで1㎝単位で調整しています。自分が欲しいものだけでなく、多くの方に着てもらい、喜んでいただけるものを作りたいと思っています。

―この秋冬の新作コレクションで特に思い入れのあるアイテムを教えてください
自粛期間中に自宅で過ごす時間が増えたことで、「ワンマイルウェアを作りたい!」と思った原点に立ち返り、心地良いインナーや部屋着に改めて重きを置きたいと思いました。そういう意味で「コンフォートフレアカットソー」と「コンフォートワイドパンツ」のセットアップは、着ていて重みを感じず、NASAのために開発された機能素材を使用しているので、軽量なのに保温性もあり、すごく気に入っています。

〈アンティミテ〉
カットソー 各9,900円(レーヨン95%・ポリウレタン5%/フリーサイズ(S〜M))
パンツ 各13,200円(レーヨン95%・ポリウレタン5%/フリーサイズ(S〜M))
もうひとつは、着ていても首まわりがくたびれにくい素材にこだわった、コットン100%の「インナースタンドネックプルオーバー」。肌触りが良くてごわつかない生地なので、胸元が開いた洋服の下にインナーとしてちょっと覗かせてもかわいいですし、防寒着としても使っていただけると思います。

〈アンティミテ〉カットソー 各8,800円(綿100%/フリーサイズ(S〜M))
商品を見る―これまでのコレクション以上に、家で着ることを前提に、リラックスできる質感に注力されたということですね
そうですね。ただ、単なるリラックスウェアとしてだけでなく、大人っぽい抜け感が欲しいとも思ったので、少し胸元が開いたようなデザインの洋服もいくつか作りました。他にも、洗濯して乾かす時に服の重量感がストレスにならないように、実際にテストで洗濯したりして、なるべく軽量でシワになりにくい生地を選びました。今回この期間で「本当に欲しいものや必要とされるものは何か」を考える時間ができて、〈アンティミテ〉を良い意味で、ゆっくり見つめ直すきっかけになりましたし、クリエーションに一層熱が入りました。

―ファッションブランドもウィズ・コロナを受けて、本当に求められるもの以外は淘汰されている時代だと痛感します
〈アンティミテ〉をはじめて4年目になりますが、自分が“本当に良い”と感じた洋服は未だにずっと袖を通していますし、皆さまにもワンシーズンだけで終わらない洋服をお届けしていきたいと考えています。毎シーズン人気が高い花柄のワンピースも、今回はビンテージ感がありながら、品の良さにこだわりました。

〈アンティミテ〉ワンピース 各27,500円(表地:ポリエステル100%、裏地:ポリエステル100%/S・M)
商品を見る―〈アンティミテ〉を通してファッションに深く向き合うなかで、女優やモデルの仕事にも何か作用するものはありますか?
自分に似合う色やシルエットをより理解できるようになり、そして「この役の時はこういう洋服を着たらいいだろうな」ということも考えられるようになりました。また、女優は全方向から見られる仕事なので、360 度どこから見ても素敵な洋服をデザインしたいという意欲も湧きました。いずれにしても自分を知ることでファッションは無限大に楽しめると思っています。
―持ち前の美しさでなんでも完璧に着こなしている印象がありますが、苦手意識のある服もあるんでしょうか(笑)?
もちろんあります。ただ、自信があるファッションのときはより自分の良いところが見せられるように、逆に自信がないファッションのときは悪いところを目立たなくするように心がけています。
―そう考えていくと、ファッションは消費の産物ではなく、自分をより良くプロデュースしてくれるものだと感じられますね
私自身、今ファッションがなくなったら、空っぽになってしまうと言いますか、言い過ぎかもしれないですけど、洋服は日々気分を高めてくれる、元気をくれる材料なんです。服も心の一部だと思っています。

―これから〈アンティミテ〉をどんなブランドに育てていきたいですか?
このような時代がやってくるだなんて誰も想像もしていなかったですし、自分も周りの方々の気持ちも日々刻々と変わっていくなかで、ブランドとしても柔軟に物事を考えて必要な変化をしていけたらと感じています。一方で当初から変わらない、自分を癒しながらも高めてくれる「ハッピーになれる服」を作り続けたいですね。
―最後に伊勢丹新宿店で2回目となるポップアップイベントへの意気込みがあれば
1回目のポップアップイベントの時は、どういう服が来てくださる方に求められているのかがとても気になり、実はほぼ毎日こっそり売場を見に行っていました(笑)。外出を制限されている昨今ですが、三密を避けて、息抜きをしに来てもらえる場になれば嬉しいです!

〈アンティミテ〉POP UP SHOP
□9月16日(水)〜22日(火・祝)
□伊勢丹新宿店本館2階=イーストパーク/プロモーション