美人画に新たな風を吹き込む 凛とした女性像 池永 康晟 版画作品

池永 康晟氏は1965年に大分県に生まれ、長年人物の肌色の追求を続けてこられました。池永氏に見出されたその肌の表現からは、柔らかさと滑らかさを感じ取れます。
描かれた女性の肌と黒い髪、花の文様を中心とした布地には、それぞれの質感の違いが表現され、池永氏の技術力の高さを窺い知ることが出来ます。人体の曲線と、女性の眼差しは、まるである物語の一場面を切り取ったようでもあります。
今回はそんな池永氏の版画作品を、作家のコメントとともにご紹介いたします。美しくも凛々しい女性像の版画作品をぜひともご覧ください。
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宵添い・沙月
イメージサイズ:約 縦37.5×横59cm
額サイズ:約 縦55×横75cm
技法:ジクレー版画
価格:133,760円
制作数:70部
「寝返りをうてば、添い寝する君があったのはいつの夜だったろうか。あれから幾夜も天蓋を見詰める。目を閉じても、目を開いても、私は一人ぼっちぢゃあないか。」
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爪染・愛花
イメージサイズ:約 縦42.5×横29.5cm
額サイズ:約 縦60×横45cm
技法:ジクレー版画
価格:83,930円
制作数:70部
「爪に触ればどうしてか思い出す人がある。明日逢う人を想うて、爪を染る。それに接吻したその人の、吐息の湿りを塗り込める。亜熱帯の宵闇に赤い血豆が僅かに灯る。」
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むくるる目覚め・光里
イメージサイズ:約 縦38×横25cm
額サイズ:約 縦55×横41cm
技法:ジクレー版画
価格:67,320円
制作数:70部
「眠りに落ちるのは容易である、肉体の痛みを捨ててしまえばいい。目覚むるのは残酷だ、吐息も声も愛撫する指も、何もかもが痛みになる。」
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花迷彩・穂波
イメージサイズ:約 縦42.5×横29.5cm
額サイズ:約 縦60×横45.5cm
技法:ジクレー版画
価格:85,690円
制作数:50部
「最初の日は、私が触れれば痣(あざ)になってしまいそうな、透き通った華奢な娘だった。私の画室に来る毎に、内側から発酵する血色と匂いを増した。それは椿の蕾が解けるようであった。」
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泡に酔うて胸をひらく・穂波
イメージサイズ:約 縦59×横26cm
額サイズ:約 縦76.5×横42cm
技法:ジクレー版画
価格:104,280円
制作数:70部
「夏に絹色の泡に酔うた君は、ミュールで痛めた素足を放り出して私の画室の長椅子で眠るのであった。はだけた胸元の布の切れ目に、白い蜜蝋の肌が覗いた。」

亜麻布に岩絵具を用いて描く「美人画」は、作家ならではの質感を持っています。スペイン・アメリカ・イタリアでの装丁画、ドイツでのラムダプリント、ロシアでの文具デザインを行いました。国内では、AKB48の横山 由依写真集への作品描き下ろし、浮世絵版画、ラブドールとのコラボレーションなど異色の展開をみせ、現代美人画シーンを牽引しています。