<フリッツ・ハンセン>×内田 洋一朗
ストリートなラクガキと、究極の定番の接点。

photo by TAKEMI YABUKI
アメリカで本場のグラフィティに触発されて、文字による表現を始めた内田 洋一朗さん。その作風には、既存の価値観を裏切るような皮肉めいた爽快さがあります。アルネ・ヤコブセンによる定番的名作が、彼の手描きによって大胆に生まれ変わります。

原生種の蘭とグラフィティワークを融合した独創的な世界観で支持を集める内田 洋一朗さん。2017年にUNION SODA(福岡)にて「NEVER MIND」展を、2019年にCURATOR’S CUBE(東京)にて「SOLO SHOW」展を開催するなど多くの展覧会を行っています。また<ザ プールアオヤマ><ループウィラー><タカヒロミヤシタ ザ ソロイスト.><ロロ・ピアーナ>などへのアートワークの提供をはじめコラボレーションにも精力的です。具体的なテーマを設けず、直感または頭の片隅に止まっていた言葉をキャンバスに紡ぎ出し、フリージャズのジャムセッションのように画面を構成する作風によって人気を高めています。<フリッツ・ハンセン>とコラボレーションするにあたり、最初に感じたのは「おもしろそう」。自ら経営していた店の壁や床に、頭の中に湧いてくるイメージを言葉に変換しながら「ラクガキ」を始めた頃の楽しさや気持ちよさが、今につながっているのだといいます。アルネ・ヤコブセンがデザインしたSASロイヤルホテルのラウンジセットとジャムセッションするように、今回の作品を完成させていきました。
※本企画は、終了いたしました。
FRITZ HANSEN 150th Celebration
三越伊勢丹オンラインストア先行販売
□2023年5月24日(水)午前10時~6月6日(火)午前10時
※品切れの際はご容赦ください。予めご了承ください。
※詳細はこちらをご覧ください。
店頭イベント情報
□2023年6月7日(水)~6月13日(火)
□伊勢丹新宿店 本館1階 ザ・ステージ
アルネ・ヤコブセンが設計したコペンハーゲンのSASロイヤルホテルは、家具もすべて彼がデザインしていました。内田さんの作品の題材になるのは、このホテルで使われているのと同じラウンジ用の一連の椅子ですね。
そのセットをアトリエに並べて、全部手描きしていきました。ヤコブセンの代表作の多くがあのホテルのためのものだったそうで、話を聞いておもしろいと思ったんです。黒いレザー張りの椅子に、白・シルバー、または黒で描いてます。
内田さんはどんなプロセスで作品をつくるのでしょうか?
まずフレーズを集めるため、テーマを滅茶滅茶調べます。で、そこに付随するキーアイコンみたいなのが出てきたら、さらに1個飛んで、次に面白いフレーズがあれば、また1個飛んで。今回で言えば<フリッツ・ハンセン>に寄せていくフレーズと自分が好きなフレーズをうまくミクスチャーしながら、共通項を探ったり、物語をつくったり。さらにシニカルな言葉も混ぜていきます。そんな準備をした上で、用意したフレーズを元に自分のアトリエで「ヨーイ・ドン!」で描き始めます。ラウンジのシーンを再現し、一連のものとして描いていったのは、別々に描くと文字の調子が変わってしまうことがあるからです。
文字は全部英語ですが、どんなことが描かれているのか気になりますね。
ポジティブな言葉ではなく、でもあまり激しすぎないように、陰と陽のバランスを取りつつ、どちらにでも取れるようにしています。基本的に可読性は意識せず、一部が切り取られているように描くことも。人を傷つけるくらい攻撃的なことは、わざとつぶして読みにくくすることもありますね。椅子なら表はおとなしめにして、裏側はそれなりに。今回なら「本当に座り心地がいいの?」みたいなことはありかな、と。(笑)
描く時のスピード感が、文字からも伝わってきますね。
ネタ集めには膨大な時間がかかりますが、ソファにぎっしり文字を描くのに2時間かかりません。あとはその場のノリと、頭の中にあるインスピレーションをどう具現化するか、だけなので。ラウンジのセット全部でも2日間あれば終わります。やっていて楽しくなると、止まらない。そこが自分でもいちばん気持ちいいポイントです。きついと思いながらやることはないし、間違ったら黒のローラーで塗って描き直します。いずれ塗料が割れて、下の字が出てくるかもしれませんが、時間の経過で変化するのはおもしろい。アートピースとして飾ってもいいんですが、ガンガン座って文字が擦れていくのもありかなって思っています。
ヤコブセンの名作家具の中で、SASロイヤルホテルのための家具はその頂点のようなもの。60年以上も受け継がれる定番と、一瞬の即興の対比がユニークですね。
そう思います。<フリッツ・ハンセン>には150年の歴史があり、脈々と愛されてきて今がある。今回の企画には「なぜ僕なんだろう?」と思ったけど、それ以上に好奇心が上回りました。こちらとしては興味しかないけど、興味で楽しんだことの方がおもしろかったり、後で評価されたりします。あまり深く考えず、勢いに任せてみようと。

15脚のセブンチェアにも文字を描いていますね。
セブンチェアの方は数脚ずついくつかのシリーズに分けて、描き方を変えています。ひとつのシリーズは所狭しと隙間なく文字を描き、もうひとつはシンプルに1ワードを描く。そしてもうひとつは、今までもよく使ってきた記号だけを描きます。クエスチョンマーク・コーテーションマーク・矢印などです。
矢印ひとつでも、内田さんが描いたものはすぐわかりますね。世界観が見えるというか。
ありがとうございます。よく矢印を描いてよって言われるんです。サインする時も、最後に矢印を描くと感謝される。(笑)

こうした文字の描き方は、やはり練習して体得したのでしょうか?
僕の場合はガチで僕の字なんですよ。日本語でも同じ書き方だから、よく読めないって言われます。高校を卒業してアメリカのボストンに住んだ時、そこにもウォールアートやグラフィティがあったし、週末にニューヨークに行ってウォールアートを描くところを見たりしました。でも真似するだけじゃ仕方ないので、アメリカ人が書く普通の字の汚さを、自分の字とうまくコンバインしたらおもしろいと思った。アメリカに憧れて日本人が真似したのが、この字の始まりでした。以前、僕の字は習字っぽいよねと言われて合点が行きました。
とても個人的な、作者の中から出てくる表現という感じがしますね。
そういうものを、よく<フリッツ・ハンセン>は受け入れてくれるなあと思います。だからいっそう、最初に自分が始めた頃の感覚を大事にしていたい。僕はネガティブな方が強いタイプなので、陰キャの雰囲気をどれくらい出すかいつも考えています。あまり相手に寄せちゃって「内田くん、変わったね」と言われたくはないので。だから白い家具に描くより、真っ黒の状態に、白やシルバー、そしてあえて黒を入れて、黒を汚していくほうがいいと思ったんです。
今までも家具に手描きした経験はありましたか?
今はもうやっていませんが、描き始めた頃は「ラクガキのイベントやります」って告知して、人がもってきてくれたものに何でも描いたことがありました。車や自転車もあったし、家具もあって、その場で考えて描くのは楽しかったですね。今回はそれがオフィシャルでできるんだから、楽しくないわけがない。普通、オフィシャルのものは最も汚しちゃいけないのに、それを自由にできるという機会は貴重です。
FRITZ HANSEN 150th Celebration
□2023年5月24日(水)午前10時~6月6日(火)午前10時
<フリッツ・ハンセン>×内田 洋一朗のコラボレーション商品を、エムアイカードをお持ちの方のみ三越伊勢丹オンラインストアにて先行販売を行います。
※ご購入には「三越伊勢丹WEB会員」及び「エムアイカード情報」のご登録が必要です。事前に登録されることをおすすめします。
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※品切れの際はご容赦ください。予めご了承ください。
※オンラインストア先行販売商品発送時期は、商品によって異なりますので、ご注文画面にてご確認ください。
※ご予約の際は、「ご購入に関する注意事項」を必ずご確認ください。
□2023年6月7日(水)~6月13日(火)
□伊勢丹新宿店 本館1階 ザ・ステージ
※内田 洋一朗氏のセブンチェアはすべて1点物のため店頭お取扱いがない可能性がございます。
※SASロイヤルホテルラウンジセットは店頭お取扱いのみとなります。
※事前の入場予約・購入についての注意事項・イベント案内などの詳細は、2023年5月24日(水)から、特設ページにてご案内を予定しております。
※掲載の情報につきましては、諸般の事情により予告なく変更・中止させていただく場合がございます。予めご了承ください。必ず事前にホームページを確認してからご来店ください。
内田 洋一朗氏 ペインティングイベント
□2023年6月10日(土)午後2時~3時
□伊勢丹新宿店 本館1階 ザ・ステージ
□定員:3名さま
□参加費:302,500円
※お好きな色のセブンチェアに、内田氏がリクエストいただいたメッセージをその場でペイントいたします。
※セブンチェアのカラ―は、「ブラック・グレー・ホワイト」からお選びいただけます。
※事前抽選となりますので、詳細は特設ページより、ご確認ください。