クリエイターとともに歩む<天童木工>

クリエーターとともに歩む天童木工のメインビジュアル

山形県天童市に本社・工場を置く1940年創業の家具ブランド<天童木工>。
戦後間もない頃から家具における「デザイン」に価値を見出し、丹下 健三や剣持 勇、柳 宗理といった日本を代表する建築家やデザイナーと共に多くの協働を重ねてきました。
クリエイターの斬新な想像力を常に刺激しつづけ、生み出してきた多くの名作と呼ばれる家具とともに、ブランドストーリーをご紹介します。

<天童木工>について

治具倉庫の画像
治具(型)倉庫。これまでのクリエイターとの取組みのすべてがここにあります。
組立てを待つバタフライスツールのパーツ

山形県天童市に本社・工場を持つ<天童木工>。
1940年の創業から80年以上の歴史を持ち、日本のモダンデザインを第一線で支えつづけてきました。
1mmほどの薄い木の板を積層し、自在にかたちをつくり出す技術「成形合板」のパイオニアであり、無垢材では表現が難しい美しい曲線と丈夫で軽い仕上がりの家具をつくることを得意としています。

木材を用いて、薄くても強度のある複雑な曲面やフォルムを実現できることから、デザイナーや建築家といったクリエイターの想像力を常に刺激しつづけ、多くの名作と呼ばれる家具を生み出してきました。

これらのクリエイティブは世界的評価を受けたものも少なくなく、例えば<天童木工>を代表するプロダクト「バタフライスツール」は、1956年に発表された翌年ミラノトリエンナーレで柳 宗理のブースが金賞を受賞したことをきっかけに、国際的な評価を獲得します。その後は、ニューヨーク近代美術館(MoMA)やルーブル美術館、ヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)など、世界各国のミュージアムのコレクションに選定され、日本を代表するプロダクトのひとつに数えられます。

  • バタフライスツールの画像

    天童木工
    バタフライスツール
    (木部:天然木化粧合板(ローズウッド材)/H387×W425×D310×SH340mm) 57,200円 
    □三越伊勢丹オンラインストア

また、現在、1950年代から70年代にかけて製作された家具の多くはヴィンテージ家具としての価値が高まり、世界中のコレクターがこぞって買い集める対象になっています。素材や品質だけでなく、戦後間もなくからデザインに価値を見出し、クリエイターとともに歩んできた<天童木工>の持つストーリーが彼らの所有欲を高めています。

クリエイターがつくる空間のための“特別な家具”

天童木工の家具の画像
その仕上げを手ざわりで確認する職人

日々、<天童木工>が制作する家具は公共空間に向けたものが多く、官公庁や企業の執務室、宿泊施設、医療施設、カフェ・レストランなど多岐にわたります。これらはコントラクト家具と呼ばれ、不特定多数の人が使うことから、堅牢さが第一に要求され、取り回しの良さやメンテナンス性、そして安全性も求められます。

一方、個人向けの家具はホームユース家具と呼び分けられ、多くの場合仕様が絞られ、安価であることが求められます。しかし、<天童木工>の場合、仕上げに対するこだわりは半世紀前より変わらず、大臣室に納める家具も、個人の書斎に納める家具も同じ品質で仕上げることを是としています。

また、コントラクト家具においては、カタログなどに紹介されるイスやテーブルなどの規格品のほかに、クリエイターが自らのプロジェクト向けに、自身がデザインしたオリジナルの家具を製作することもあり、<天童木工>では小型のものから大型のものまでさまざまな特注家具を日々手がけています。
現在、名作とされる家具の中にも、これらの特注家具をきっかけに誕生したものが少なくありません。

名建築とともに生まれた名作「ブックチェア」

ブックチェアの画像
神奈川県立図書館 閲覧室 (1954年)

例えば、グッドデザイン・ロングライフデザイン賞を受賞し、現在も名作家具のひとつに数えられる“ブックチェア”こと「S-0507」は、コントラクト家具をルーツとしています。

日本のモダニズムを代表する建築家のひとりである前川 國男が設計した「神奈川県立図書館(現在の旧本館)」。1954年の開館から現在まで愛され続ける名建築で、当時、前川の元でインテリアデザインを担当していた水之江 忠臣によって、閲覧室のためにデザインされたのが「ブックチェア(S-0507)」でした。その誕生から今年で70年目を迎えるデザインに、一切の古さは感じられません。

最小限のパーツから構成される堅牢かつシンプルなデザインですが、成形合板の背もたれと座面が快適な座り心地を生み出し、現在ではダイニングチェアとして多くの家庭で愛されています。

  • ブックチェアの画像

    天童木工
    ブックチェア「S-0507NA-NT」
    (座・背:ナラ色(ナチュラル)、脚部:ホワイトビーチ(ナチュラル)/H770×W450×D520×SH420mm) 40,700円
    □三越伊勢丹オンラインストア

日本と西洋 ふたつのライフスタイルから生まれた日本独自のモダンデザイン「低座イス」

低座イスの画像
60年代のカタログに掲載されていた「低座イス」

前川 國男と並び、日本のモダニズムを代表する建築家・坂倉 準三。ル・コルビュジエに学び、多くの名建築を残した彼ですが、家具デザイナーとしての側面も無視することはできません。

バタフライスツールに並び<天童木工>を代表する「低座イス」は、畳の空間で着物を着て過ごす日本古来の生活に向けてデザインされた製品ですが、現代の暮らしにおいても決して古びることなく、モダンな空間にも違和感なく調和します。

1940年代に坂倉自身がデザインしたイスを原型に、幾度のリデザインを経て丸みのある背座をもつ現在のかたちが完成しました。「低座イス」と共通のフォルムを持つ「中座イス」と「小イス」もまた、いくつものリデザインを経て現在の姿になりました。そこには日本と西洋の異なるライフスタイルを体験した、彼の家具デザイナーとしての矜持と感性が表れています。

  • 低座イスの画像

    天童木工
    低座イス「S-5016NA-ST」
    (背・脚:ナラ(ST色)/H650×W550×D683×SH290mm) 85,800円から
    □三越伊勢丹オンラインストア

巨匠の共作から生まれた異形の名作「柏戸イス」

柏戸イスの画像
熱海ガーデンホテル(丹下 健三)のロビーに設置された柏戸イス (1961年)

“世界のタンゲ”と呼ばれ、日本の伝統的スタイルとモダニズムを融合した建築様式を生み出し、日本のみならず世界で活躍した丹下 健三。そして、彼の建築を空間から支えたのがデザイナー・剣持 勇です。戦後日本のデザインをインテリアとプロダクトの両面から支え、現在までつづくデザインの概念は剣持によってその土台がつくられたと言っても過言ではありません。

剣持は、丹下との協働の中で多くの名作を残しました。例えば、その存在感から見るものを圧倒する「柏戸イス」。木の塊のようなデザインは、成形合板を得意とする<天童木工>の製品のなかでは異色の存在です。

大らかなカーブの組合せから構成されるシンプルな造形は、やはり明確なモダンデザインであることがわかります。元々、丹下の建築“熱海ガーデンホテル”のロビー空間のためにデザインされたもので、彼の力強い空間に呼応するかのように生まれたものでした。

  • 柏戸イスの画像

    天童木工
    柏戸イス 「S-7165SG-NT」
    (スギ材(ナチュラル)/H630×W850×D770× SH330mm) 786,500円
    □伊勢丹新宿店 本館5階 リビングルーム
    ※お取り寄せにて承ります。(納期はお問い合わせください。)

<天童木工>とジャパニーズモダン

ジャパニーズモダンのイメージ画像
国立京都国際会館(大谷 幸夫)のロビー (1966年)

剣持 勇は「ジャパニーズモダン」の提唱者としても知られています。今でこそ広く用いられる言葉となりましたが、その意は日本の生活様式や文化・伝統を重んじながらも、型にはまることなく、時代とともにある工法と材料、そこにクリエイターの感性が加わったデザインを言い、彼はこれを「今日のグッドデザイン」と表しています。

剣持と<天童木工>は多くの仕事をともに手がけました。剣持の難しい要求があり、それに<天童木工>が愚直に応える。戦時下の出会いから、両者は数えきれないほどの協働を重ね、<天童木工>のものづくりは剣持の思想に大きく影響を受けています。

現在、海外を中心にジャパニーズモダン再評価の渦中にあり、当時のデザイナーや作品を通して、それらを生み出した技術にも日の光が当たりはじめています。<天童木工>の技術はかつて巨匠たちと家具づくりをともにした半世紀前と比べて大きな変化を遂げたわけではありません。現在も変わらぬこだわりで「名作」を、そして「次なる名作」をつくり続けています。

クリエイターとの出会いに育てられた<天童木工>

イス製作の画像
柏戸イスの製作風景

戦後間もなく、「成形合板」の技術を取り入れ、試行錯誤を繰り返すなかで出会ったクリエイターが<天童木工>の視野を大きく広げました。日本の建築史やデザイン史に残る数多の家具づくりは、<天童木工>の技術を高め、時を超えて愛される名作が生まれる土台となっています。

技術を進化させるのは優れたデザインであり、デザインを成立させるのが優れた技術です。今日も新たなクリエイターとの出会いがブレイクスルーを起こし、彼らのデザインに命を吹き込みます。

新たなコラボレーションが生み出す、<天童木工>のクリエイションにぜひご期待ください。

SHAPE OF TENDO かたちにする。
シェイプオブテンドーの画像

現代クリエイター4人のあふれる想いを新たにかたちにすることに挑戦。
天童木工だけが可能にする木工技術と、クリエイターのアイデアやこだわりをかけ合わせた、魅力あふれる作品にどうぞ会いに来てください。

<天童木工>SHAPE OF TENDO かたちにする。
【店頭会期】
□2024年8月7日(水)~8月13日(火)
□伊勢丹新宿店 本館1階 ザ・ステージ
【三越伊勢丹オンラインストア 先行販売】
□2024年7月24日(水)午前10時~7月30日(火)午後11時59分


どこまでも自由な愛。
挑む情熱。
弱さも包みこむ優しさ。

天童木工が形にしてきたのは、
かたちのないものでした。
次なる名作はもう誰かの胸の中に。

4人の表現者たちの想いを、
新たにかたちにする試みがはじまっています。

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