初音ミク×<km5> 話題のCDプレーヤーが初音ミク仕様で登場

初音ミク×<km5> 話題のCDプレーヤーが初音ミク仕様で登場のメインビジュアル

今回の初音ミク×イセタンイベントの目玉アイテムの一つである、初回生産390台エディションナンバー付きCDプレーヤー「CP1」。製作を手掛けた<km5>代表の船山氏に、企画を担当した久保(伊勢丹新宿店ライフデザイン商品部)が、開発秘話と今回のコラボにかける想いを伺った。

ークラウドファンディングから生まれた「CP1」ー

久保:私がとあるインテリアの展示会に行った時に、<km5>さんとお会いしたのが始まりでしたね。確か2022年の4月でした。インテリアの展示会でCDプレーヤー自体が珍しいですし、壁掛けの展示がとってもオシャレで異彩を放っていました。まだその時点では販売はされていませんでしたよね。

船山氏(以下 船山):会社の設立は21年9月で、販売をスタートしたのが22年9月でしたから、ちょうど1年かけて製品化しました。
発売の前にクラウドファンディングで資金を募ったのですが、そこである程度反響をいただいたのでなんとか販売にこぎ着けることができました。

  • <km5>代表の船山氏と伊勢丹で企画を担当した久保氏の対談シーン画像

<km5>代表の船山氏(写真左)と伊勢丹で企画を担当した久保(写真右)。

久保1,000名ぐらい応募がありましたよね。とても盛り上がっていました。

船山:おかげさまでクラウドファンディングでは大きなご支援をいただきました。
CDを持っているのに再生する機器がなくて困っていたり、推しのアーティストのCDを聴きまくるなどCDに対する想いを含めたご支援だったかと思います。
使い方としてはBluetooth接続でお手持ちのワイヤレスイヤホンやワイヤレススピーカーに接続することでCDを手軽に聴いていただけます。

久保:CDジャケットが入れられて、壁掛できるところが良いですよね。

船山:フレームの比率がインスタントフィルムと同じ比率になっています。フォトフレームとして見慣れているフォルムなので、CDジャケットが写真のようにしっくりくると思います。

  • 「CP1」壁掛けイメージ画像

壁掛けのイメージ。※壁掛けには別売りの金具が必要です。

ーまだCDのマーケットが残る日本ー

久保:CDプレーヤーを作ろうと思ったきっかけは?

船山:実は以前仕事でアメリカを回っているときに考えたアイデアの一つが、この「CP1」に繋がっています。

久保:アメリカではCD市場はまだあるのですか?

船山:最近コロナの影響で少し復活の兆しが現れていますが、僕が行ったコロナ前は完全に配信にやられてしまっていてCDの売上は相当落ち込んでいました。
一方で、中古レコード屋さんに行くと品揃えの半分はCDだったり、個人のお宅を訪問するとまだCDがお部屋に沢山あったりと、まだまだCD自体は残っていました。
ただ、レコード屋さんでもレコードを再生するプレーヤーは売っていたのですが、CDを再生するCDプレーヤーはなく、オーディオメーカーもCDを再生する製品が随分減っていました。

久保:確かにレコードプレーヤーは、色々な製品が出ているイメージですけれど、CDプレーヤーはもうあまり見かけないですね。

船山:そうですね。というわけで最初はアメリカのマーケットを検討していたのですが、実は日本というのは世界で最もCDが売れている国の一つなのです。

久保:アイドル文化もありますしね。

船山:そうです。タワーレコードさんもアメリカではなくなってしまいましたが、日本ではまだタワーレコードさんやHMVさんも存在感が残っています。日本人は音楽をコレクションしたいという意識も高く、世界で見るとまだ日本はCD文化が残っている状況でした。
そこで今回<km5>というブランドを立ち上げて、クラウドファンディングを実施してCDがまだまだ必要とされている事が実証できたので、第1弾として「CP1」を世に送り出すことができました。

ーCDという音楽資産を、文化として残すー

船山:今回CDプレーヤーを作った理由ですが、CD文化と言いますか、ライフスタイルを作っていけたらいいなという想いがありました。
CDプレーヤーがないのにCDばかりを作られていると、近い将来に皆さん捨てるしかなくなって、CDはただのプラスチックゴミになってしまう。せっかくの音楽としての資産ですから、これだけまだ世の中にCDがあるというのに勿体ないですよね。
再生する機械さえあれば、音楽として楽しむことができるので、CDがある限りこの文化を続けられるようにしたいのです。

久保:船山さんはアーティストさんのことも深く考えていらっしゃいますよね。例えばCDはジャケットや円盤のプリント、音楽の順番まで含めて一つの作品だとおっしゃっていたのが印象的でした。

船山:せっかく今CDプレーヤーを作るのであれば、配信とはまた違う聴き方やCDの良さを出したいと思いました。
例えばCDジャケットですが、昔「ジャケ買い」という言葉があったように、CDジャケットが良くてつい買ってしまうということがあるくらいジャケットは重要な要素だと思っています。そこで、「CP1」の中にジャケットをいれて、さらに壁に掛けられるという一つの楽しみ方をご提案しています。
また、配信ですと色々なアーティストがミックスされたプレイリストを聴くことが多いように思うのですが、CDは1曲目から最後まで一つの作品と考えていますので、CP1にはプレイモードにシャッフルというモードはあえてつけていません。

久保:アーティストさんが望んだ順番で聴いていただきたいということですね。

船山:そうですね。「CP1」では1曲ループと全曲ループというモードを用意しています。
配信は配信、CDはCDの聴き方があるのではと考えています。

  • 「CP1」のコラボ限定仕様の画像

ミニマムなデザインの「CP1」。フレームの「01」の印字は今回のコラボ限定仕様。

ー<km5>と初音ミクの出会いー

久保:初音ミクのイベントでもCD文化がまだまだ根強く残っているのを感じました。
ボカロPの方々がご自身で音楽やジャケットも制作し、手売されているところを目の当たりにして「これは<km5>さんと何かやりたい」と。最初この企画を聞いてどう思われましたか?

船山:すごく嬉しかったですね。もともと音楽を作っている人と一緒に何かやりたいという想いがありました。
初音ミクはバーチャル・シンガーですが、アーティストだと思うのです。音楽性もあるし、キャラクター性も非常に強いので、<km5>のコラボ第1弾としてはこれ以上のものがないくらいに思っています。

久保:船山さんが初音ミクのことをアーティストとして捉えてくださっているところが、今回のコラボアイテムに表れているように思います。

久保氏の画像

ー初回390台、エディションナンバー入り初音ミク仕様のCP1ー

船山:今回の初音ミク仕様の「CP1」ですが、本体裏に初音ミクのシルエットとともに、ミクにちなんで390台限定でエディションナンバー*が印字されます。

久保:ということは同じナンバーのものは世の中に二つと無いということですね。
沢山のご注文があった場合に再販の可能性は?

船山:そのくらいご注文が入ると嬉しいですね(笑)。ただ、エディションナンバーが付くのはこの初回生産分の390台のみです。

  • 本体裏面のエディションナンバーの画像

本体裏面のエディションナンバー。
*:エディションナンバーはランダムに封入されますので、番号をお選びいただくことはできません。

久保:特典も豪華ですよね。

船山:そうですね。特典として今回新しく描き下ろしていただいた楽曲である、ポリスピカデリーさんの「PROPS」を収録したCD1枚と、同じくオリジナルの描き下ろしであるtamimoonさんのイラストのポストカードが同梱されます。
このCDのジャケットとポストカードは、「CP1」に入れて飾ることができます。

  • 特典のジャケットサイズのポストカードの画像

特典のジャケットサイズのポストカード。取材時にはまだ調整中のデザインも。

久保:パッケージにもtamimoonさんの描き下ろしイラストを全面的に使っていただいていますね。
tamimoonさんのイラストはいかがですか?

船山:初音ミクのイラストは、かわいらしい印象が強かったのですが、今回のイラストはとてもオシャレでスタイリッシュですよね。
ですからパッケージにもイラストを格好良く見せたくて、本体の「フォトフレーム」というコンセプトをパッケージにも取り入れて、イラストをポートレートのような形でデザインしました。
パッケージも作品の一つとして楽しんでいただければと思います。

  • 「CP1」コラボパッケージの画像

今回のコラボのためにデザインされたこだわりのパッケージ。

久保:今回のイラストのテーマが「ファッション」なので、気に入っていただけてなによりです!
パッケージのカラーリングも初音ミク仕様なのですよね?

船山:そうです。通常のパッケージはグレー系のツートーンカラーで無地に近いのですが、今回は初音ミクのイメージカラーも取り入れています。

  • 印刷見本の画像

印刷見本。カラーも細かく調整して製品化を行っている。

ー音楽業界の方から見た初音ミク、そして歌声合成ソフトウェアとはー

船山:元々自分はデザイナーなので、フォトショップやイラストレーターというアプリが近い印象なのですが、そうしたアプリができたことでデザイナーという職種の幅が広がったと感じています。それまでは、みんな手書きで描いていましたから。
音楽制作に関しても初音ミクをはじめ、歌声合成ソフトウェアというアプリケーションができたことで、今まではバンドを組まないとできなかったものが、一人でもできるようになったことで、曲作りの環境がガラッと変わったのではないでしょうか。
つまり専門性のある人しかできなかったことが、こうしたアプリを使うことで、たくさんの人が色々な形で作品を出せるようになり、音楽の楽しみ方が広がったように思います。

久保:今では有名な若いアーティストでも、ここから始めた方が何人もいらっしゃいますよね。音楽文化の拡大ですね。

ーさまざまな初音ミクCDを「CP1」で楽しんでほしいー

久保:最後に今回の初音ミク仕様の「CP1」を手にとってくださる皆さまへ一言お願いします。

船山:今回はCDプレーヤーですから、同梱されているポリスピカデリーさんのCDだけではなく、お手持ちの初音ミクのCDもぜひこの「CP1」で聴いていただければ嬉しいですね。
その人のお部屋にあわせた初音ミクのCDとジャケットを入れて楽しんでいただければ嬉しいです。

久保:ありがとうございました。

km5 株式会社のイメージ画像

km5 株式会社

プロダクトが人々のライフスタイルや文化になることを目指し、オーディオ・家電プロダクトの企画、デザイン、製造・販売を行う。
初のプロダクトであるCDプレーヤー「Instant Disk Audio-CP1」は、発売当初より全国のタワーレコードや蔦屋家電 二子玉川でも販売され、2022年12月にはMoMA Design Storeにもセレクトされ人気を博している。

初音ミクとは・・・
初音ミクの画像

クリプトン・フューチャー・メディア株式会社が開発した、歌詞とメロディーを入力して誰でも歌を歌わせることができる「ソフトウェア」です。大勢のクリエーターが「初音ミク」で音楽を作り、インターネット上に投稿したことで一躍ムーブメントとなりました。「キャラクター」としても注目を集め、今ではバーチャル・シンガーとしてグッズ展開やライブを行うなど多方面で活躍するようになり、人気は世界に拡がっています。
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