「A3!」×<MANGART BEAMS> の伊勢丹コラボ限定Tシャツが登場!レーベルのプロデューサーが語るその奥深いデザインストーリーとは?

マンガートビームス プロデューサーが語る A3!デザインストーリーのメイン画像

今回の「A3!」コラボでは、伊勢丹担当者の強い希望により<BEAMS/ビームス>のマンガやアニメ・エンタメなどを専門にするレーベル<MANGART BEAMS/マンガート ビームス>とのオリジナルTシャツ制作が実現した。そのデザインに込められた奥深いストーリーとは?レーベルのプロデューサーを務める久芳 俊夫氏(株式会社 ビームス クリエイティブ)にお話を伺いました。

はじめに<マンガートビームス>のレーベルの成り立ちを教えてください。

もともと<BEAMS T>というTシャツ専門のレーベルがあり、“ART FOR EVERYDAY”というテーマで、Tシャツをキャンバスに見立てアートを日常に取り入れることを提案してきました。
その中で、素材の一つとして漫画やゲームも取扱いをしたところ、僕たちが想像していたよりもずっと幅広いユーザーが楽しんでくださって。そこでレーベル内レーベルとして分かれてできたのが<MANGART BEAMS T>でした。今思えば、昨今のアニメやコミックとアパレルブランドのコラボレーションの先駆けだったような気がします。

取り組みはいつ頃から?

2008年ですね。僕は2代目のクリエイティブディレクターを担当しました。
この十数年で、世の中的にもサブカルと定義されていたマンガやアニメがメインストリームとして定着して、ファッション好きなアニメ・ゲームファンもとても増えてきたように思います。
そうした人たちに<ビームス>を楽しんでもらえる切り口になればと、2022年にリブランディングしたのが今の<MANGART BEAMS/マンガートビームス>です。取扱う対象も、アニメやマンガ・ゲームだけでなく、エンタメ全般を幅広くカバーしています。

社内の反応はいかがですか?

なんだか面白いことをやっているね、と生温かく(笑)見守ってくれています。
今や国外のハイブランドが日本のアニメやマンガとコラボする時代ですし、IP*側からもファッションブランドと組むという意義や必要性を理解していただいているように思います。一方、僕らもIPとコラボすることによって、通常とは違うユーザーにファッションを届けたいという思いがあり、双方向からニーズが合致しているなとも感じています。

*:IP=知的財産。アニメ・映画・ゲームのコンテンツやキャラクターのこと。

久芳さんは「A3!」をご存知でしたか?

僕、エンタメジャンキーでして(笑)。普段からありとあらゆるアニメやコミック・ゲームなどを浴びて生活をしているので、「A3!」はもちろん知っていました。
今の部署に来る前に“アニメ業界のスタイリスト”としてお仕事をさせていただいていた時期があり、それこそ「A3!」にも出演されている声優さんや2.5次元舞台の役者さんのスタイリングを担当させていただいたことも沢山ありました。

久芳俊夫氏のインタビューのイメージ画像
ファッション業界とエンタメ業界に精通した久芳氏のお話に伊勢丹担当者も興味が尽きない。

<ビームス>さんの知見が活かされた素敵なお仕事ですね!

ありがとうございます。それとは別に僕はアニメやゲーム・書籍を見る時ロゴやフォントなど、所謂アートディレクションの領域を注視する癖がありまして。「A3!」でアートディレクション全般を手がけているBALCOLONY.さんは前々からリスペクトしていますし、洗練された色彩とフラットなデザインの組み合わせで構成された「A3!」のアートワーク全般は同様のジャンルのなかでも一際目を引くもので、個人的にとても好みです。

プロの目線ですね。ロゴやデザインから「A3!」に着目されているのが新鮮です。
今回のコラボTシャツはどのようなアプローチでデザインをされたのか教えていただけますか。

これは作品外からの着想ですが、実際に役者さん達とお仕事をして感じたのは、彼らは与えられた役を忠実に演じるプレイヤーでありつつ、自身のパーソナリティも足して表現しなければならないという、非常に難しいお仕事だということです。
そんな中で気付いた点があって、皆さんお稽古着一つとってもそれぞれのこだわりがあると感じました。例えば、新しい座組に入る時には第一印象を大事にしたいからこんな服を着て行こう、とか。お稽古時のオフショットをSNSにあげたりもするので。
お稽古着のTシャツといえでもご自身を表現するツールの一つとして大事だな、とも思いました。今回はその流れでMANKAIカンパニーのみんなが「もし、こんなお稽古着を着ていたらいいな」という発想でTシャツをデザインしました。

舞台役者さんとお仕事をされてきた久芳さんだからこそのアプローチですね!

ゲーム内で、彼らが天鵞絨(ビロード)町のローカル雑誌で表紙を飾りましたよ、というイベントが何回かあったと記憶していて、そこからデザインコンセプトを広げました。僕は地方出身なのでローカル雑誌は当たり前のようにありましたが、都心在住の方はあまり馴染みがないかもしれないですね。地方には芸能人はたまにしか来ないので、ローカル雑誌での表紙特写とかよくありました。
そこで、「天鵞絨町の出版社が春夏秋冬の増刊号にあわせて制作したアイテム」というストーリーでモノづくりをしよう、と思い立ちました。MANKAIカンパニーのみんながこれを着るシチュエーションも想像して、自分で買うのではなくおそらく出版社から送ってきたものだろうし、それなら遠慮なくお稽古着として着倒せるだろうな、とか(笑)。

春組のデザインのイメージ画像
アイテムの並びとしてもトップを飾る「春組」のデザインは、久芳氏が「A3!」とコラボレーションをするにあたり練ったコンセプトを最も表現したという。

そこまでストーリーが練られていたとは、私たちも初耳でした!
具体的なデザインについて詳しく伺えますか。

出版社にちなんで主にタイポグラフィで構成しています。天鵞絨町の出版社はきっと老舗の出版社だと勝手に想像して、あまり今風のデザインではなく古い本の表紙を参考にしながらデザインをしました。
メンバーの名前や作品ロゴは出ていますが、知らない人からは一見「A3!」のTシャツだとわからないと思いますので、普段づかいもしやすいと思います。

夏組のデザインのイメージ画像
50年代のビートニク*を意識したという「夏組」のデザイン。

*:ビートニク=ビート・ジェネレーションというアメリカ文学界で異彩を放ったグループに影響を受けた様式のこと。

<マンガート ビームス>さんと「A3!」のコラボレーションではあるのですが、天鵞絨町で出版社と一緒に作ってできたTシャツという印象を受けました。

好きな人と同じTシャツを着ているってなんだか楽しい気持ちになりませんか?
特にこういうコラボアイテムは、日常の延長線上に作品やキャラクターとの「つながり」を感じられるのが大事だと思うんです。例えば僕の知人で「コラボの服を壁にかけておくと、推しが我が家にいると感じる」なんて言っている人もいますし(笑)。
より自分の側に「A3!」のキャラクターの存在を感じられるアイテムになればと良いなと思いつつデザインしました。

秋組のデザインのイメージ画像
お菓子のパッケージのような「秋組」のデザイン。女性が着用した際に、可愛らしさを引き立たせるデザインを心がけたとのこと。

メンバーのカラーや組のモチーフなどから着想を得ていることが多かったので、ここまで深掘りされていたことに驚きです。

もちろん、キャラクターのカラーやイラストを大きくプリントするのもアパレルの一つの方法論です。僕も、アニメや映画の舞台挨拶で役者さんが登壇する際の衣装にキャラカラーを入れてスタイリングしてくださいとか、そういったレギュレーションでご注文いただくこともありましたし、確かに観ている側からするとアイコンとしてわかりやすいですよね。
ただ、「A3!」は長く愛されている作品ですし、沢山アイテムも出ていますので、今回はもう少し変化球でもユーザーの皆さんには楽しんでいただけるのではないかと。
冨士原 良先生*が伊勢丹さんのために描きおろしたイラストを拝見した時に、彼らのスタイリングは特に各組のイメージカラーを振り分けているのでもなく、現在のファッションを先生ご自身で昇華されたものを描かれていてとても素敵だったし、こういうことだよねと腑に落ちたのです。
この絵と伴走するアイテムならば、作品の世界とリアルが混ざり合うようなアプローチの方が合っているかな、と僕は思いました。

*:冨士原 良氏=イラストレーター。「A3!」のキャラクターデザインも手がける。

冬組のデザインのイメージ画像
メンバーの6人を表す六角形が象徴的な「冬組」のデザイン。並べた時の締めとなるデザインを意識したという。

最後に作品ファンへメッセージをお願いします。

やはり洋服は皆さんに着て楽しんでもらってこそなので、気にいって袖を通してもらえたら僕たちもとても嬉しいです。
白Tはいま流行りですし、個人的には大きめサイズをゆるっとデニムやスラックスなどと合わせて着てもらえると素敵だなと思います。
有難いことに<ビームス>の名前は色々な方面で認知いただいていますし、伊勢丹さんは我々セレクトショップのご先祖さまでありつつ、いまなお最先端であり続ける存在ですので、我々や伊勢丹さんとご一緒することで、「A3!」を幅広い層に知っていただき楽しんでいただけることを期待しています。
ファンの皆さんのお眼鏡に叶えば幸いです。

神宮前のビームス本社内レセプションルームのイメージ画像
神宮前の<ビームス>本社内でお話を伺った。レセプションルームには<ビームス>の歴史を感じることのできるアーカイブコーナーも併設されている。

お話を伺った方

久芳 俊夫氏のプロフィール画像
久芳 俊夫 (くば としお)
株式会社 ビームス クリエイティブ
ディレクター
BEAMS CREATIVE INC.所属。
<MANGART BEAMS/マンガート ビームス>クリエイティブディレクターとして過去には「ハイキュー‼︎」「ジョジョの奇妙な冒険」「アイドルマスター」などのコラボレーションアイテムの開発を担当。声優・アーティストなどのスタイリングを多数手がけ、「劇場版 TIGER&BUNNY -The Beginning-」「DEVILMAN crybaby」などでは作中のキャラクタースタイリングも担当した。

「A3!」× 伊勢丹

店頭会期:2023年8月2日(水)~2023年8月8日(火)
会場:伊勢丹新宿店 本館2階 イベントプロモーションコーナー

ムードマーク バイ イセタン会期:2023年8月2日(水)午前10時~8月30日(水)午後8時
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※ムードマーク バイ イセタンは、三越伊勢丹が運営するオンラインギフトサイトです。