細部にこだわった手仕事による美しいフォルムの洋傘|日本のよいものを巡る旅<小宮商店>

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暮らしを豊かにしてくれる日本生まれの名品の数々には、生産者の並々ならぬ努力や生まれた土地ならではの生産背景があります。連載「日本のよいものを巡る旅」では、ショップのスタイリストを通じてお伝えしている名品の魅力やストーリーをオンラインストアでも感じていただけるように、日本のよいものをその背景とともにご紹介します。今回のテーマは「傘」。
梅雨や日傘の季節が近づき、そろそろ傘の出番も多くなります。使い捨ての傘が溢れている中で、日本製の上質な傘を“手入れをしながら長く使う”という丁寧な暮らし方をご提案します。

「東京洋傘」とは

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日本の洋傘製造の発祥地である東京には、100年以上前から続く伝統的技法をほぼ同じ形で現在に受け継ぐ「東京洋傘」があります。洋傘が西洋から江戸に伝わったのは江戸時代の終わり。西洋文化の象徴でもあった洋傘を、東京の職人たちは自分たちの手でつくろうと、試行錯誤を繰り返しました。そして文化や情報の集まるこの地で、伝統的技法を保ちながら、機能やファッション性を発展させた「東京洋傘」が誕生します。

洋傘を東京ブランドに

かつて隆盛を誇った東京製の洋傘ですが、昭和50年代に入ると諸外国で生産された低価格の洋傘が普及しはじめ、東京を含む日本での製造数は急激に落ち込みました。こうした状況は国内洋傘職人の減少をもたらし、東京でも十数名を残すのみという事態に陥りました。しかし2018(平成30)年、東京都の伝統工芸品に指定されたことをきっかけに、「東京洋傘」の魅力を国内外に伝え、後継者の確保や育成、研修技術技法の保存・継承および改善に努めるようになります。洋傘を東京ブランドとして再確立させることを今後の展望として、<小宮商店/コミヤショウテン>は傘づくりを続けています。

<小宮商店>について

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<小宮商店>は、1930(昭和5)年に日本橋浜町で創業した傘の専門店。昔ながらの丁寧で緻密な製法で、日本製の傘を作り続けています。職人が1本1本手作業で仕上げた傘は、丈夫で洗練されていて気品があります。アフターケアにも定評があり、修理はもちろん、お手入れの相談なども行っています。

職人が一つひとつ、心を込めてつくります

  • 細部までこだわる傘の画像

常に使う人のことを考え、細部にも目を向けます。

  • 傘を開くときに手を傷めないように、“ロクロ”を生地で覆う「ロクロ巻き」
  • 骨が生地にあたる部分の“ダボ”を生地で保護する「ダボ巻き」
  • 生地が傷みにくいように手縫いでとめた「ネーム」
  • 防水の精度をさらに高めるために防水キャップを入れた「陣笠」
  • フォルムの美しさを追求した傘の「張り」

これらの工程を経てやっと製品となる傘は、1日4~5本程度。伝統技法を受け継ぎ、手間のかかる作業も妥協せず、一つひとつ丁寧に。最後は熟練の技と勘所でしっかりと点検を行い、手元を取り付けて完成です。

一目で高級感を醸し出す、16本骨の丈夫な長傘

  • 16本骨の丈夫な長傘のイメージ画像

一般的な8本骨の傘に比べ、倍の本数の骨で作る16本骨の長傘。中縫いや露先取付けの作業も倍の手間がかかりますが、職人による傘の張りが美しいワンランク上の長傘に仕上がります。骨の数が多いぶん雨の際のカバー範囲が大きく、球体に近いフォルムは優美な差し姿を印象づけます。軽量のカーボン骨を使用しているため、骨が多くても軽量で持ち歩きやすいという特徴もあります。

光沢感と重厚感のある「甲州織」の傘生地

  • 「甲州織」の傘生地のイメージ画像

織物の名産地として400年以上の歴史を誇る、山梨県で織られた「甲州織」を傘生地に使用しています。「甲州織」は、先染めを施した細い糸を高密度かつ均一に織り上げることで、光沢のある奥深い色合いと、上品で重厚な質感を表現。経糸に双糸(撚り合わせた糸)、緯糸に単糸(一本の糸)を使う特殊な織り方で一日に4m程度しか織ることができません。これに加工を施して傘生地にするため、高級感が出るのはもちろん、高い耐久性を備えた傘に仕上がります。また、今では少なくなった小幅の織機で織られるため、生地の端(耳)にはミシン目がなく、長年愛用してもほつれにくいという特徴もあります。

「型」は傘の心

  • 「型」は傘の心のイメージ画像

傘の形は「型」で決まります。この「型」とは、生地を裁断するときに使うカーブのついた三角形の木型のことで、傘の種類ごとに職人が作成します。木型の長さや角度、微妙な曲線を生地や骨に合わせてミリ単位で調整し、何度も試行錯誤をかさねながら選りすぐりの「型」を完成させます。この「型」には職人の魂が込められており、<小宮商店>が創業当初からこだわってきた美しい傘のフォルムを生み出します。

上品で重厚感のある「かさね」シリーズ

  • <小宮商店>甲州織 雨晴兼用折り畳み傘 かさねの画像

    <小宮商店>甲州織 雨晴兼用折り畳み傘 かさね 19,800円
    ※婦人用サイズ
    ※UVカット加工済み

織物の名産地として400年以上の歴史を誇る山梨県で織られた「甲州織」生地を使用。先染めされた細い糸を高密度かつ均一に織り上げることで光沢感のある奥深い色合いと上品で重厚感のある質感が醸し出されています。
「かさね」シリーズは表と裏が異なる色になるように2色の糸で織られた<小宮商店>の人気シリーズです。昔ながらの「二つ折り」タイプで丈夫なグラスファイバー製8本骨仕様。べっ甲風の曲がり手元は握りやすくお洒落で機能的な形状です。生地には撥水加工・耐水加工とともにUVカット(紫外線防止)加工も施しております。雨傘としての十分な機能に加え、日傘としてもお使いいただける雨晴兼用傘です。

洗練された遊び心を演出する紳士傘

  • <小宮商店>Two-Ply men’s 雨晴兼用長傘

    <小宮商店>Two-Ply men’s 雨晴兼用長傘 29,700円

小幅の甲州織ならではの2色の組み合わせがおしゃれな長傘。2色の組み合わせが美しいシンプルで上質な甲州織の新定番シリーズ「トゥープライ」。2色の経糸を重ね合わせるように緯糸をシャトルで打ち込みながら表と裏が違う色になるように織り上げた甲州織の両面生地を使用した雨晴兼用傘です。綾織りで織られていくため表と裏の糸の色がそれぞれ少しずつ顔を出し奥行きのある色味と上質感を表現しています。軽くて使いやすいカーボンの骨組みと組み合わせることで機能性も追求しました。

涼しげな縞模様デザインの遮光傘

  • <小宮商店>一級遮光・晴雨兼用長傘 ボーダーシェード 8本骨の画像

    <小宮商店>一級遮光・晴雨兼用長傘 ボーダーシェード 8本骨 各20,900円

先染めのリネンとコットンの混合生地を使用した涼しげな縞模様デザイン。裏面にポリウレタン樹脂のラミネート加工を施すことにより遮光率99.99%以上を実現した一級遮光の晴雨兼用傘です。ラミネートは黒色のため紫外線の照り返しも吸収しやすく、暑い日の日差し除けに最適です。

※雨傘での長時間のご使用の際は、傘生地から雨水が染みる場合がございます。

<小宮商店>の動画もあわせてご覧ください。