
日本橋三越本店では11月21日(土)~11月23日(月・祝)の3日間限定で、2019年靴磨き選手権大会チャンピオンの寺島直希氏をお迎えし、店頭での靴磨きイベントと、オンラインコミュニケーションツールを使った靴磨きセミナーを開催します。店頭のイベントでは、その卓越した技術を目の前で見ながらお話もお楽しみいただけます。
日本橋三越本店 紳士靴担当アシスタントバイヤー川村拳大が、靴磨き選手権大会2019チャンピオンにも輝いた寺島直希氏にインタビュー。路上靴磨きからチャンピオンになるまでの道のりや、靴磨きのこだわりについてお話をうかがいました。
―――まず、寺島さんが靴磨きを始めたきっかけを教えてください。
私の父は料理人だったのですが、休日によく包丁研ぎをしており、その姿から「一つのモノに手をかけて自分のモノにしていく」ということ学びました。
小学校から野球をやっていましたので、それを野球に置き換え、買ってもらったグローブをしっかりと自分で手入れをすることで、小学生から高校の終わりまで使い続けることが出来ました。それが今の私の仕事のスタイルにも繋がっています。
高校卒業後は野球から離れ、アメリカのファッションに興味がありました。当時、お気に入りの服に、綺麗に磨かれた革靴を履く喜びを感じるようになったのですが、その一方で街を歩いている人の靴を見ると手入れをされていないことに気づきました。
そこから「靴磨きの魅力を伝えたい」と思うようになり、路上に出て靴磨きを始めたきっかけです。当時は、京都で本格的な靴磨き専門店がなかったということもあり、この地で一番になろうと決心しました。
―――その決意から、職人としてスタートしたのはいつ頃でしょうか。
職業として選んだのは18歳の時で、20歳で本格的に路上で靴磨きを始めました。
今でこそ靴磨きの見られ方が大きく変わりましたが、私が始めた当初はあまり良い見られ方はしませんでした。路上ではほぼ毎日警察に追いかけられていました(笑)。良いイメージを持たれず、水をかけられたりしたこともありますし、とにかく理解してもらうのに時間がかかりましたね。
しかし、京都という場所で必ず一番になる、一番信頼してもらえる靴磨き職人になる。一つのモノに手をかけて永く使い続ける思いを多くの人に伝えたい、感じてもらいたいと思ったから続けられました。 さらに、「帰ってきてくださるお客さまがいる」ということが、私の靴磨きの価値の証だと思います。綺麗になった靴を見たお客さまが笑顔になっていく姿を見ると、頑張ろうと思えます。
―――靴磨きで寺島さんならではのこだわりとは?
靴磨き職人は靴磨きをしたら、それで終わりということではないと私は思っています。お客さまが気づいていない靴の変化を察知して、永く大切に履いていただくためのコンサルティングもしていかなければなりません。
また、限られた時間の中でいかに綺麗に仕上げられるかということ。使うワックスに合わせた塗り伸ばし方、サイドのラインの仕上げ、汚れの落とし方や所作にもこだわっています。
―――なるほど。所作と言えば、寺島さんは手でクリームを塗られていますが、どういった理由がありますか?
*靴磨き選手権大会2019での様子。
野球のコーチにグローブの手入れについて教わっていた時、手でやるようにと言われたのがきっかけです。革に直接触れて、状態を確かめること。それができるのは指しかないと思っています。
「靴磨きを魅せる」意味で、背筋を伸ばして、お客さまと目を合わせて磨くこと、指の使い方や角度は意識しています。あと、ブラッシングのリズムも大事にしていますね。楽器を奏でるようなイメージで、自分の中でリズムを流しながら磨いていますし、それをするために必要な筋トレをしています。
―――いつもスーツで靴磨きをされていますが、ここにもこだわりがありそうです。
一つは、仕事をする上でお客さまに安心をお届けしたいからです。身に着けるものにこだわりを持つことで、わざわざ来ていただくお客さまに「この人に任せたい」と思っていただきたい。
また、選ぶものに関しては「直感的に自分が美しいと思うか」、「磨きをするときに美しいか」の両方を意識して選んでいます。
スーツは〈サルトリア・ラファニエッロ〉でオーダーすることが多いです。シャツは肌に一番近いアイテムなので、〈レスレストン〉や〈ミナミシャツ〉が好きですね。あと一番靴に近い靴下も好きで、パリのテーラー〈ケンジロウ スズキ〉や、今日履いている〈ニュー&リングウッド〉を愛用しています。
―――今後チャレンジしていきたいことを教えてください。
2020年12月上旬に、京都に私のお店「HARK」が開店いたします。いつかは自分のお店を持ちたいと考えていましたが、ついに叶えることが出来ました。お客さまに足を運んでいただき、「靴磨きの魅力を」お伝えしていけるようなお店にしていきたいと考えています。
―――最後に、寺島さんにとって靴磨きとは?
「人生を変えてくれたもの」です。 靴磨きをやることで出会えた縁が僕にとって大きかったです。自分自身も変わりましたし、お客さまも変わったと思います。
―――お話ありがとうございました。
寺島直希
てらしまなおき●京都出身。路上磨き時代には行列ができるほどの腕前で、2019年2月に開催された銀座三越主催の靴磨き選手権では見事チャンピオンに輝く。服飾の知識にも精通しており、真面目な人柄は靴磨きのみならず人々を魅了する。2020年12月上旬自身の店をオープン予定。
「HARK」〒604-8111 京都府京都市中京区東入桝屋町53-1 401
【イベント概要】
靴磨きイベント(予約制/店頭のみ)
- 日時:11月21日(土)、22日(日)、23日(月・祝) 午前10時~午後7時 *最終日は午後5時まで
- 場所:日本橋三越本店 本館2階 パーソナルショッピングデスク
- 当日磨き:4,950円
*当日磨きのお客さまは原則予約制になります。おひとりさま1足限りです。素材によっては後日お渡しになる可能性がございます。予めご了承ください。 - 後日店頭お渡し:3,850円
*約2週間後に店頭お渡しになります。何足でも承ります。
- ご予約・お問い合わせ:日本橋三越本店 本館2階 紳士靴(担当:林、古村、椎名)03-3274-8425(直通)
*靴磨きイベントのお申込みは終了させていただきました。予めご了承ください。
寺島直希氏シューシャインセミナー(WEBのみ)
「日本一に学ぶご家庭で出来る、靴磨きの基礎 ~ 鏡面磨き入門」
オンラインコミュニケーションツール「Zoom」を使用して開催します。
- 日時:11月23日 午後5時30分~7時
- 参加費:5,500円+送料
- 参加人数:限定15名さま
- 参加者特典:シュ―ズポリッシュネル
- 締め切り:2020年11月16日(月) 23時59分
【セミナー内容】
シューシャイン初級者~中級者に向け、ご自宅でハイシャイン(鏡面磨き)が出来るよう技術をお伝えします。
- 第1部:寺島直希氏によるオンラインセミナー テーマ「ハイシャイン」
- 第2部:お客さまからの事前質問にお答えしながらのトークセッション
【寺島直希さんへの事前質問を受け付けております】
寺島直希さんへのご質問を、下記InstagramアカウントをフォローのうえDM(メッセージ)にてぜひお送りください! 受付期間:10月28日(水)午前10時~11月16日(月) 午後7時まで。日本橋三越本店本館2階 紳士雑貨 公式Instagram
※タイムスケジュールの都合上、いただいたご質問が採用されない可能性もございます。予めご了承ください。
*寺島直希氏シューシャインセミナー(WEBのみ)のお申込みは終了させていただきました。予めご了承ください。
Photograph:Tatsuya Ozawa
Text:MITSUKOSHI ISETAN
※都合により時間・内容の変更または中止する場合がございます
※定員になり次第、受付を終了させていただきます。
※イベントの内容は、都合により変更または中止となる場合がございます。予めご了承ください。
※価格はすべて、税込です。
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。