
「きちんとスーツを着る日は、隙なく着こなしたい」。そんな大切な日には、どういうバッグを持って出かけますか。〈大峽製鞄/おおばせいほう〉の製品は、世界のラグジュアリーブランドに負けない上質な革素材を贅沢に用い、熟練の職人が一つひとつ手作業で仕上げていく、こだわりの一品。さらに、時代に即したデザインとカラーバリエーションも豊富になり、近年は30代~40代のお客さまからの支持が高いブランドとして注目されています。
日本が世界に誇る〈大峽製鞄〉の製品の魅力について、日本橋三越本店 紳士雑貨バイヤーの髙塚 佳伸と、〈大峽製鞄〉のブランドマネージャーの南谷 誠さんが語り合います。
老舗製鞄メーカーから、「大峽製」ブランドとしての変革
大峽製鞄株式会社は昭和10年に創業して、今年85年を迎えた日本のバッグメーカーの老舗。もの作りの原点はランドセルに込められた「良いものを大事に使えば長く持つ」で、創業以来、本物の鞄を探求し続け、変わらぬもの作りを続けています。職人の手による二本針手縫いやハンドメイドの技術にこだわり、現在でも手作業のアタッシェケースやダレスバッグ、ビジネスバッグ、財布、革小物など、レザーを使ったアイテムを幅広く製造販売しています。
髙塚 大峽製鞄のランドセルは三越と伊勢丹の両方で扱っていますが、ビジネスバッグなどは三越のみ*のお取り扱いで、メンズでは「ジェントルマンのこだわりのブランド」という印象があります。
南谷 今では直営店も持つブランドですが、実は今から十数年前までブランドロゴを入れずに販売していました。その当時「製品に大峡製だとかるロゴを付けて売り出してみては」という意見を頂き、「大峽製」のスタンプを押したバッグを出したら、スタンプがない商品より売れたと、当時の専務から聞いたことがあります。そういうエピソードからブランドの意識が出たようですね。
日本橋三越本店 紳士雑貨バイヤー 髙塚 佳伸
髙塚 そんなエピソードがあったんですね。南谷さんは〈大峽製鞄〉の85年にわたる歴史をどう見ていますか。
南谷 端的にいうと、「戦前から愚直なもの作りを続けてきて奇跡的に残った、良い意味での鞄製造メーカー」でしょうか。本当にもの作りだけをしてきた会社です。
髙塚 なるほど、わかりやすいですね。でも大峽製鞄は、時代の生活スタイルの変化に合わせて、デザインや使用する革、カラーなどを常にリファインしてきているという印象もあります。
南谷 ずっとメーカーとしてもの作りをしてきて、工場とオフィスも隣接し、職人にダイレクトに言葉が響くので、会社としてやりたいことが伝わるのも大きいと思います。歴史や評判に甘えず、新しいことには挑戦し続けています。
子どものランドセル選びから、大人が自分で持ちたくなる「大峽製」
髙塚 大峽製鞄といえばランドセルですが、お子さんに「大峽製」のランドセルを選んで、その良さを知って、自分たちも使ってみたいと〈大峽製鞄〉のバッグに興味を持つ親世代が増えてきているのを感じます。
南谷 大峽製鞄の製品は、知る人ぞ知るこだわりの顧客向けの印象があるかもしれませんが、最近は30~40代の男女の新規顧客による購入が増えてきていますね。
髙塚 ランドセルを通して、親と子が繋がる温かさというか、家族それぞれの成長と一緒に寄り添ってくれるブランドでもありますね。
南谷 ありがとうございます。ランドセルはまさに大峽製鞄の原点ですが、毎年同じ時期に、安定して同じクオリティのものを一定数作り続けることの難しさ、大変さを年々感じています。
髙塚 よく分かります。南谷さんはランドセル作りに関わっていて、「大峽製鞄の凄み」はどこにあると思いますか。
<大峽製鞄>ブランドマネージャー 南谷 誠さん
南谷 今は、ランドセルに相当荷物を入れるので、しっかりした作りはもちろんですが、製造現場を見ていると、目立たないところにすごく力を入れて作っています。たとえば、肩ベルトと留め具で繋がった下側のベルトの作りの精巧さはすごいですね。今工場は最盛期ですが、当たり前のことをしっかりやっているのには改めて驚きます。
髙塚 お話しを伺うと少々気が早いかもしれませんが・・・。私の子どもはまだ2歳ですが、ランドセルのどこの部分に注目して選ぼうか、今から悩んでしまいます。職業病ですかね(笑)
スーツを着こなしたときの理想形。それが「ザ」の称号を持つダレスバッグ
<大峽製鞄>ザ・ダレス(牛革) 319,000円
□取扱い:日本橋三越本店 2階
髙塚 〈大峽製鞄〉では、ランドセルと並んで名作とされるのが、「ザ・ダレス」です。
南谷 ダレスは日本でつけられた名前ですが、弁護士、会計士、医師など、いわゆる「士業」の鞄として人気は衰えません。
髙塚 「ザ・ダレス」というのは本当に良い名前ですね。あの中から契約書が出てくると、桁一つ違う仕事ができるように感じます。大人の男性向けのアイコンですが、服装とのコーディネートがあって初めて完成する重厚さが魅力です。
南谷 口の開き方が特徴的で、大きく開く口枠(口金)式で、ハンドルが1本というのが一番の魅力ですね。開くと3室あって収納力もあり、表革はサドルアップレザー、ライニングには厚みのある豚革を使っています。
髙塚 なで肩のデザインと、箇所によってミシン目が違うのも、見た目の重厚感に繋がっていますね。
「クラシック」好きにも、「エレガント」好きにも応えてくれる革
画像手前:<大峽製鞄>マルチケース 大(牛革) 19,800円 商品を見る
画像奥:<大峽製鞄>Lジップ財布(牛革) 37,400円 商品を見る
□取扱い:日本橋三越本店 2階 / 三越伊勢丹オンラインストア
髙塚 贅沢に革を使った鞄もいいですが、手に馴染みやすい財布やカードケースなどの革小物もおすすめですね。大峽製鞄の製品を語るには、使っている革の解説も欠かせません。
南谷 創業当時は、製品を使い込んでキズまで楽しむクラシックな雰囲気の革を多く使っていましたが、最近ではキズに強く、発色が美しいエレガントな雰囲気の革の取扱いも増えてきました。
髙塚 雰囲気が対極な革を両方扱っているブランドはとても珍しいですね。しかも、メンズ・ウィメンズの両方を作っているとなると希有な存在です。
南谷 製品ごとに革を使い分けているのですが、ストックしている革の種類や量が豊富なあまり、私自身初めて見たときには、正直驚きました。
髙塚 私も先日伺った時、同じように感じてワクワクしました!
南谷 〈大峽製鞄〉が使っている革についても細かくご紹介したいと思っていたところです。
髙塚 はい、それは次回の「素材編」でさらに詳しく南谷さんからお伺いしたいと思いますので、お楽しみに。
Photo:Shimpei Suzuki
Text:Makoto Kajii
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