フェムテックを通じて、「わたしの幸せ」が「みんなの幸せ」につながる。
※撮影時のみマスクを外しています。
_ 植物研究家の森田さんと紗栄子さんが出会ったきっかけを教えてください。
紗栄子さん:本屋さんで、敦子さんの著書『潤うからだ』の帯がパッと目に飛び込んできたんです。“女性のからだで一番大事な場所をちゃんとケアしていますか?”という文章を目にしてドキッとしました。「あれ?できていないかも」って。学校でも、お母さんからも教えてもらった覚えがないですしね。この本はそれを教えてくれるんだなと手に取ったのがきっかけです。そのあとに共通の知り合いを通じてお会いしたんですよね。
森田さん:そう。4年くらい前に、紗栄子さんがインスタグラムで紹介してくださいました。当時はフェムテックという言葉もなく、デリケートゾーンのケアについてオープンに話せる人も環境もない状況だったので、紗栄子さんがインスタで本のことや膣まわりの大切さをコメントしてくれたことには非常にうれしさと驚きがありました。

紗栄子さん:3年半程前に私はロンドンで生活を始めたのですが、ヨーロッパではフェムテック製品もふつうにデパートや薬局に並んでいるんです。一方、日本ではアダルトグッズ的な扱いで、お店でも恥ずかしいゾーンに置かれていたり…。この文化の差にはびっくりしました。
森田さん:紗栄子さんが発信することにより、若い方たちにセクソロジー(性科学)が広く正しく伝わることを期待しています。性は恥ずかしいことではないし、正しく知れば自分の女性としてのからだを守ることができますから。
_ 紗栄子さんの発信をきっかけに多くの方に興味を持っていただけたら、すごくうれしいですね。お二人は普段からどのようなフェムテック製品をお使いになっていますか? また、初心者はまず何から使ったらいいかもアドバイスをください。
森田さん:自分の膣の状態をちゃんと知り、外陰部の仕組みを知っておくことは大切です。そして専用のアイテムで洗い、しっかり潤すこと。さらに膣トレという観点から、萎縮したり乾燥したり緩くなりがちな膣まわりのケアも取り入れてみるといいと思います。また、欧州では当たり前となっているバイブレーターなども、自分の感じるところを知ることができるのでおすすめします。

紗栄子さん:私が最初におすすめしたいのは、ウォッシュ。以前、敦子さんの「顔は専用のフォームで洗うのに、どうしていちばん敏感なところはボディウォッシュで洗うの?」っていう言葉に、目からウロコが落ちた思いがしました。「あっ、たしかにそうだな」って。デリケートゾーンケアに抵抗がある人には、この話をするんです。すごく納得しません? カラダと膣の経皮吸収率(肌から吸収されること)は違うのに、同じ成分のものを使うって、じつは自分のからだにすごく酷なことですよね。パーツ別に適したものを使うということは、自分をいたわってあげることなんじゃないかなって思います。
_ デリケートゾーンを洗浄することに抵抗がある方もいらっしゃると思うんです。紗栄子さんは抵抗がありましたか?
紗栄子さん:なかったですね。きちんと専用のものを使って洗浄すれば安心です。ただ、多くの人は経皮吸収やデリケートゾーンケアについて知る機会が少ないから、こうしてちゃんと伝えていかないと、とは思います。私は男の子をもつ親として、女性のからだの仕組みを正しく教えたい。性を理解して接することが愛情なんだよということを伝えたいです。うちの子たちもウォッシュを使っているんですよ。
_ 今回の取り組みでは、「ココロとからだに向き合う」こともキーワードのひとつになっています。お二人がココロとからだに上手に向き合うために心がけていることや、暮らしに取り入れているものがあれば教えてください。
紗栄子さん:敦子さんのブランドのハーブティーやエッセンシャルオイルを取り入れて、自分のご機嫌を上手くとっている感じかな(笑)。同時に、自分が幸せな気持ちでいることも大切。心地いいものに触れるとか、好きな人のそばにいるとか。そういうことも私はフェムテックだなと思うんですよね。
森田さん:私は体を壊したことをきっかけに仕事を辞めて渡仏したのですが、フランスでフィトテラピーとともにセクソロジーも学びました。大切なことは、女性としての自分の心と体に向き合い、一生ケアをしていくこと。そして湧き上がる気持ちに正直であること。フランス人は本当に素直で正直。だからパートナーとのコミュニケーションも、自分のからだや心を上手に伝え合うこともできるのです。私も、自分の思いやからだの状態を自分自身が正確に理解することや、ケアを怠らないようにしたいと同時に、身近なパートナーにも理解してもらえるようにオープンでありたいと考えています。
_ 家族が幸せになるためにご自身が大切にしていることはありますか?

森田さん:女性が健康で笑顔でいることが、自分のまわりにも社会にも幸せがあふれていくと思います。笑っていると皆がハッピーですよね?それが子どもであっても、パートナーであっても。
紗栄子さん:そうですね、私が笑っていると子どもたちも楽しそうだし。お互いが鏡のような存在だからこそ、自分のご機嫌を上手にとりながらやっていくって大事な気がします。もちろん、うまくいかないこともありますよ。ガーッて怒っちゃう時もある(笑)。
_ 紗栄子さんでもそうなるんですね! ちょっと安心しました(笑)。最後に、この取り組みを通じて女性たちに伝えたいことやメッセージをお願いします。
森田さん:女性のからだは、女性ホルモンの影響を大きく受けるので複雑です。痛みや苦しみ、そして時には切なさを覚えることも少なくありません。が、自分自身を見直してあげたり手をかけてあげたりすることで、ココロもからだもしなやかに生き生きとしていくでしょう。ともに女性としての幸せをもう一度思いおこして大切にしていきたい、そんな風に考えています。
紗栄子さん:女性の生活に寄り添うモノ・コトはこれからも敦子さんがたくさん作ってくださるでしょう。私もそれに対して、もっともっと理解を突き詰めていきたいと思っています。そして、偏見や固定概念をいちどフラットにして、新しい世界を見てみる一歩として、ぜひ皆さんもチェックしてみてください。
森田敦子(もりた・あつこ)
株式会社サンルイ・インターナッショナル代表。フランス国立パリ13大学で植物学を本格的に学び、帰国後、植物研究に基づいた知見を社会に提供するため、デリケートゾーン&パーツケアブランド「アンティーム オーガニック」の処方・開発や、「ルボア フィトテラピースクール」を主宰。2020年、女性の一生をサポートするトータルライフケアブランド「Waphyto」を立ち上げる。私生活でも42歳で自然妊娠・出産。著書多数。
紗栄子(さえこ)
1986年11月16日生まれ、宮崎県出身。14歳で芸能界デビューし、モデルやタレント、女優として活躍。10代の頃から商品開発に携わり、アパレルやコスメを中心にさまざまな商品プロデュースを手掛ける。2010年より支援活動を始め、2019年10月に一般社団法人Think The DAYを設立。2020年8月に拠点を栃木県大田原市に移し、NASU FARM VILLAGEの運営にも参画。どの分野に関しても常に情報を発信し、活動の幅を広げている。