私たちが会いたいあの人|〈マイラン〉佐々木敬子

私たちが会いたいあの人|〈ボーダーズアットバルコニー〉柴田陽子

ブランドが好きだから、作り手も好きになる。作り手が好きだから、ブランドも好きになる。お客さまからだけでなく、伊勢丹新宿店のスタッフからも「お会いしてみたい」と名前があがる方へのインタビュー連載。今回はサステナブルなモノ作りが共感を呼び、多くの女性から支持されている〈MYLAN/マイラン〉を手がける佐々木敬子さんです。

PROFILE
佐々木敬子
〈マイラン〉プロデューサー。広告やCM、雑誌など幅広いジャンルでスタイリストとして活躍。常に時代を牽引し、女性の個性と魅力を引き出すエッジィでリュクスなスタイリングは女優やモデル、アーティストから支持を得ている。2014年よりスタートした自身のブランド〈マイラン〉は大人の上質なライフスタイルを提案。常に時代に先駆けたコレクションを展開している。

〈マイラン〉というブランドをスタートさせたきっかけは?

ブランドをスタートさせたきっかけ

佐々木:スタイリストの仕事は出張が多いこともあり、どこにいても自分らしく、心地よくいられるものをつくりたいという思いから、自分 でブランドを立ち上げました。マイランは、ネイティブアメリカンの言葉で「地球とともに」という意味なんです。上質な天然素材にこだわって、花や大地、空といった自然のものからインスパイアされた美しい色を表現したかったのでブランド名に選びました。ブランドをスタートさせた当初から、モノ作りを通じて社会に貢献できたらいいなとは思っていました。

〈マイラン〉といえば「サステナブル」のイメージがあります

「サステナブル」のイメージ

佐々木:モノ作りに関しては作る側とそれを選んでくださる方だけでなく、社会や自然環境まで、すべての立場にとって喜びの循環が生まれるような方法でやりたいと長年思っていました。それをカタチにしたのが2019年春夏シーズンかスタートした「MYLAN THE EARTH」というプロジェクトです。第1弾ではガーナやケニアで雇用創出や学校建設に取り組む〈CLOUDY/クラウディ〉というアパレルブランドとフェアトレードで製作したバッグを作りました。第二弾はリサイクルペットボトルの素材で作ったショッピングバッグを販売し、売上の一部をWWFジャパンの海洋保護活動に寄付をさせていただきました。今シーズンは表地、ダウンともに100%リサイクル素材でつくったアウターをリリースしました。

佐々木さんの考えるサステナブル2 (参考商品)

佐々木さんの考えるサステナブルとは?

佐々木さんの考えるサステナブル1

佐々木:〈マイラン〉では再生素材を使用したエコダウンやショッピングバッグなどエシカルなアイテムをご紹介しています。ですが、一番大切なのは愛着を持って長く愛用したいと思えるモノを作ることであって、〈マイラン〉でもエコな素材を使うことがモノ作りのプライオリティにならないようにしています。〈マイラン〉では上質な天然素材を使用したり、植物の花や茎、樹皮、果皮、鉱物などの天然の物から染料を抽出して染めるボタニカル・ダイの手法などを取り入れているのは、自然を身近に感じながら愛着を持って着用いただけるモノ作りを意識しているからです。毎年の秋冬コレクションでご紹介しているカシミヤシリーズもそのひとつです。しっとりと柔らかい肌触りのカシミヤは一枚でとても暖かく、お手入れをしながら長く愛用していただけるアイテムだと思っています。環境負荷のことを考えて、素材を厳選しようとすればするほど、条件が限られ、モノ作りが自由ではなくなることもありますけど。

佐々木さんが生活の中で取り入れているサステナブルなモノやコトは?

生活の中で取り入れているサステナブル1

佐々木:コロナ禍で以前のように気軽に旅はできなくなりましたが、普段は東京で暮らしているだけに、週末はなるべく自然豊かな場所に行くようにしています。移住や2拠点生活にもとても興味があります。子どもがいるのでなかなか難しいのですが…。日々使うものは、なるべく天然素材のもの、長く使えるもの、環境負荷が少ないものを選ぶようにしています。コンポストでハーブを育てていたりもします。

生活の中で取り入れているサステナブル2

世の中の変化とともにご自身のファッション感で変化したことは?

「サステナブル」のイメージ

佐々木:これまでもそうでしたが、それにも増して肌触りや着心地のよさなど、長く着られるものを選ぶようになりましたし、生産背景もふまえて買い物をするようになりました。〈マイラン〉ではブランドをスタートしたときから、女性の内なる輝きを引き出すようなモノ作りを心がけていますが、コロナ禍において自分たちが取り組んできたそんなモノ作りの重要性をより感じるようになりました。何がベストなのか、自分たちができること、できないことは何か、悩みながら、模索しながら「ファッションの意義」みたいなこともあらためて考えるようになりました。なかなか先が見えず、気分があがりづらい今だからこそ、特別な服を着たときの高揚感を大切にしていきたいと思っています。

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