<お米場 田心>雪蔵保管から店頭精米まで。生産者の心を伝える米屋のこだわり。

2023.3.10 UP

母体は新潟の農業生産法人。自社でも米作りをするからこそわかる“農家の言葉”で生産者と向き合い、全国から集めてきたこだわりの米を、店頭精米で販売する。米の真のおいしさを伝えんとする情熱。その源泉は“田んぼ”にあった。

 

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新潟・奥阿賀で大切に雪蔵保管された米

日本全国のこだわりある生産者が、“田んぼに心を込めて”作り上げたおいしい米。<お米場 田心>の店名には、その“心”を食卓や子どもたちへ繋ぐといった願いが込められている。店の母体は、新潟県東部にある奥阿賀という地で米作りをする農業生産法人、越後ファーム。日本の原風景を残す山間地には自然豊かな棚田が多く、同社では生活排水が入り込まない清水を使って米を栽培している。そういった自社栽培米や、全国各地から見つけてきた質の高い米、希少なブランド米などをセレクトして販売するのが、<お米場 田心>の役割というわけだ。

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山間地にある奥阿賀には、昔ながらの自然豊かな棚田が今も多く残っている。

 

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越後ファームの田んぼ。山が育んだ清水を使い、農薬や化学肥料の使用量を基準の半分以下に抑えた丁寧な米作りをする。

 

 

伊勢丹新宿店でメインで販売するのは、全国的にも希少な有機栽培米をはじめとした、量り売りの玄米だ。その品名には“雪蔵”の文字が冠されている。自社栽培米や各地で仕入れた大切な米は、奥阿賀にある貯蔵庫で玄米のまま保管する。そこで活用されているのが、冬の降雪を利用した“雪蔵”という貯蔵方法。近辺に積もった雪を大量に集めて倉庫に搬入し、その冷気を活かして作る天然の冷蔵庫だ。適度な冷温と湿度を保つ雪蔵は米の保管に適しており、味も落ちにくい。<お米場 田心>の店頭では、こうして雪蔵保管された玄米をさらに店頭精米することで、鮮度の高いお米を販売している。

 

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倉庫内に高く積まれた雪が、ほどよい冷気と湿気を放つ。白米の2倍の体積がある玄米のまま保管するため、倉庫自体も大きく設計されている。

 

「それだけの手間をかけるからこそ、一年通して美味しいお米を提供できる」と伊勢丹新宿店店長の秋山舞さんはいう。「同じ生産者でも年によって米の出来は変わるので、毎年生産者のもとへ自分たちの足で行き、生産者と話をして新米までの準備を進めます。有名な生産者に限らず、おいしい米があるとなれば秘境のような場所まで行って交渉することも。農家の言葉がわかる私たちだからこそ、大切なお米を譲って頂けるのだと思います。」

 

農作物は、その土地の気候や土壌、水質といった風土と、生産者の情熱を掛け合わせて育んだ作品のようなもの。だから、<お米場 田心>で米のブレンドは行わない。それぞれの米の個性を伝える姿勢を大切にしているのだ。

 

好みの分づきで買える量り売り玄米が大好評

店頭では量り売り玄米のほか、奥阿賀で自社栽培した米、ギフトにも人気の各地ブランド米、各地の珍しい餅米を使った餅も販売している。特に量り売り玄米は、好みの分づきで店頭精米をしてくれるのがポイントだ。置いてある種類は常時8種類前後。「こしひかり」「あきたこまち」といった有名な品種から、「晴天の霹靂」「森のくまさん」など知る人ぞ知る品種まで、味わいの特徴が異なる米がバランスよくセレクトされている。

 

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店頭に置かれた精米機。五分づき、白米などお好みの仕上がりが選べる。もちろん玄米での購入も可能。

 

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米は手早くチャック付きの袋へ封入。混み合っていなければそれほど時間はかからないが、精米をしている間にほかの買物へ行ってもOKだ。

 

量り売りの中でも人気なのは、新潟県十日町産の有機栽培こしひかり。1kgで2,592円となかなかのお値段だが、粘りのある歯応えと甘みの強さは、一度食べると忘れられない。炊き上がりのふんわりとした香りや、ぱっと目に飛び込んでくる米の色艶だけでも、その違いが感じられるだろう。「炊き方も特に工夫は要りません。一般的なご家庭の炊飯器で炊けば、じゅうぶんおいしく召し上がっていただけます」

 

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雪蔵 有機栽培 天日干し 新潟県十日町産 こしひかり(1kg)2,592円

 

 

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店頭精米するとお好みの量の米ぬかを持ち帰れる。良質な玄米から取れた米ぬかはぬか床にはもちろん、乾煎りしてそのまま食べてもほのかに甘い。

 

雪蔵で貯蔵した米の味を手頃に試してみたいなら、奥阿賀の越後ファームで作った自社栽培米も狙い目だ。「雪蔵今摺米」と名付けられたそれは、雪蔵貯蔵された玄米を出荷時に精米。一毛作の米は秋が最も味が良く、時間の経過とともに風味が落ちるといわれるが、「雪蔵今摺米」なら真夏でもおいしい米が食べられると評判が高い。特別栽培の「こしひかり」のほか、「ミルキークィーン」と「新之助」の全3品種から選べる。

 

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雪蔵今摺米 特別栽培 新潟県奥阿賀産 こしひかり(2kg)2,355円

 

毎年10月末から、正月向けの餅も入荷する。中でもファンが多いのが「やなどり餅」だ。古来から一度も品種改良を加えていない在来品種の餅米を奥阿賀で自社栽培することに成功した。山間地の水温が低い場所でしか育たない品種を試行錯誤して育て上げ、数年の歳月をかけて製品化したという。餅はすーっと伸びてなめらかな歯触り。焼いて何もつけずに食べると、味の濃さがよくよくわかる。雑煮にしても、餅米の香ばしさがしっかりと感じられて満足感が高い。

 

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特別栽培米 新潟県奥阿賀産 やなどり餅(500g/50g×10個入)1,404円

※季節限定商品のため時季によってお取り扱いがない場合がございます。あらかじめご了承ください。

 

「秋に遠藤さんの田んぼへ行くと、稲穂がひときわ輝いているように見えます」。足を運ぶとその違いに驚くという。山形県の生産者・遠藤五一さんだ。30年以上前から農薬や化学肥料を極力減らした米作りを実践。全国米・食味分析鑑定コンクールにおいて4年連続で金賞を受賞し、“米作りの名人”と形容される。そんな遠藤さんが手間ひまかけて育てた「つや姫」は、つるんと艶のあるきれいな粒と、噛めば噛むほど広がっていく甘みが格別だ。

 

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生産者:遠藤五一さん 特別栽培米 山形県高畠町産 つや姫(1kg)1,890円

 

日本人の大半が毎日食べる米は、ギフトとしても使い勝手がいい。結婚式の引き出物としても重宝されているのが「田心キューブ米」だ。2合の米を詰め合わせたサイズ感は贈り物にちょうどよく、いざという時の備蓄米としても活用できる。店頭のみバラ売りもしているので、キューブ米で手軽に新しい味を試してみるのも良案だ。

 

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田心キューブギフト 2合6種詰め合わせ(黒クラフト6個入)3,800円

 

 

最後に、<お米場 田心>で上手に買物を楽しむコツを聞いてみた。「普段食べているお米の品種と、好きな食感があると、よりお好みに合う味を見つけやすいかもしれません。もちろん何もわからなくても、食の好みの傾向などを細かくヒアリングしてアドバイスができますので大丈夫ですよ」。なんとも頼もしい言葉。店頭では不定期に珍しい米が入荷することもあるので、まめに覗いておけば思わぬ出合いもあるかもしれない。

 

Text : Mako Kobori

Photo : Mariko Tosa , Yuya Wada

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