2024.9.13 UP
看板商品の詰合わせの中でも、存在感を放つのが「車えびあられ焼き」だ。「海老を丸ごと食べられるお菓子を作りたい!」という発想から、試行錯誤を重ねた。沖縄や九州から活きたままの車えびを空輸し、すぐに捌いて焼き上げている。
写真左下が「車えびあられ焼き」。
車えびは愛知県の加工工場に活きたまま仕入れられる。
車えびの背ワタやミソを除き、串に刺して1尾ずつ鉄板に並べて焼成。あられを纏わせ、仕上げ焼きをすると完成。
「寿司ネタや刺身として味わえるほど鮮度の良いものなんですよ」と胸を張るのは営業部の鳥居丈浩さんだ。海老そのものの形を生かしながら、せんべいに仕上げるというのは至難のワザであったそう。さまざまな技法をトライし、独自の焼成法を確立。1尾ずつ職人の手で焼き上げ、あられをまぶして口当たりを良くした。さっくりとした食感の後に続く、ほのかな甘みと濃厚な旨みもたまらない。
中までぎっしりと詰まった身は口福を呼ぶ。緑茶はもちろんビールや日本酒にも合う。
北海道余市の漁港に寄港する海老の漁船。海のほど近くに加工工場がある。
海の幸は鮮度がものを言う。特に甘えびとぼたんえびは足が速い。クオリティーを守るためのアイデアを社内で揉んでいた時に、社員から「いっそ、港のある余市に加工工場を作るといいのでは」という声が挙がった。そこからとんとん拍子に話は進んで、2009年に北海道甘えび工場を設立する。3〜11月の漁期に水揚げされたものを仕入れてタイムラグがなく加工できるようになった。そうして届けられるのが半身にスライスした「甘えび姿焼き」や、丁寧に殻を剥いた「甘えび磯焼き」だ。どちらも美しく仕上げるためには熟練の技が必要となる。
甘えびの赤く輝く身は強い甘みが特徴。
濃厚な旨みと甘みを持つぼたんえび。
ちなみに「甘えび磯焼き」には丸い小さなえびせんべいが添えられている。磯の香りが立ち込め、パリッとした食感で魅せる素朴な1枚は「渦巻き」と呼ばれ、古くからのファンも多い。こちら、シンプルながらも奥が深い!まず、焼成した生地に海苔を敷いて巻く。カットをした時に「の」の字が描かれるように仕上げるには、手腕が問われるため所属する職人でもきれいに仕上げられる者は10人に満たないそう。巻いた後は冷却をして裁断し、1週間ほど乾燥させる。そのあとさらに、水分が均一になじむように熟成させたら、ようやく鉄板で仕上げ焼きをするのだ。
生地を丁寧に巻く。職人の中でも精鋭が担う工程でもある。
どんなに時代が変わっても「渦巻き」は昔ながらの製法を継承。<桂新堂>の矜持でもある。
「渦巻き」が完成するのには2週間を要する。時間と手間ひまを惜しみなく注ぐ存在ながらも、あくまで他のえびせんべいのおいしさを引き立てるサポート役だ。<桂新堂>の海老への愛の深さがうかがえる。
海老づくし(2カップと11袋入)3,780円
スター選手が集結した詰め合わせ。左から「炙り焼き」は甘えび、赤えび、ぼたんえびの3種類が楽しめる。「甘えび磯焼き」は「渦巻き」とのコンビネーションもご堪能あれ。下段に配置した「車えびあられ焼き」は独自の焼き方によってえび菓子の新境地を切り拓いた。ラストを飾る「甘えびの姿焼き」は鉄板にまっすぐ並べてプレスするためぴんとした姿で味わえる。姿焼きをモチーフにした包装紙も目を引く。グラフィカルなデザインなので、ギフトを手渡しする際の話題にもなりそう。
最後にピックアップするのは海老せんべいのルーツとも言われる「炙り焼き」だ。なかでも「赤えび炙り焼き」は「えびせんべいはまだ進化できる」をモットーに、2021年から4度のバージョンアップを重ねている。第一弾は香り、味わいの向上。原料や製法を見直してたどり着いた新製法が、ぎゅっと旨みの詰まった1枚に仕上げた。「最香傑作」と銘打った第二弾では、袋を広げたそばから海老の香りが広がるように。ベストを極めてもまだまだアップデートは止まず、第三弾では香りとさっくり食感が増強。そうして今夏に4度目の更新を迎える。最新作は噛むほどに染み出る海老の塩焼きのような風味が楽しめるため、本物の海老よりも海老らしいのだとか。
<桂新堂>が放つ渾身の1枚を手にしてみてはいかがだろうか。
炙り焼き詰合せ(27袋入)3,564円
えびの身を小麦粉、砂糖、塩などと混ぜて焼き上げている。「海老よりも海老らしい」をコンセプトにパワーアップした「赤えび」をはじめ、口の中でほろほろほどける優しい食感と深く余韻のあるコクを味わえる「甘えび」、サクッと噛むほどに広がる独特の風味が後を引く「芝えび」など5種の味を1箱にまとめた。
秋ひらり(24袋入)3,564円
季節に応じた絵柄が入ったシリーズも展開。こちらはすすきや紅葉など美しい日本の秋を表現している。愛らしいリスがプリントされた海老せんべいの小袋には「渦巻き」も入っている。さらには「赤えび炙り焼き」もこちらの商品で楽しめる。小さなお子さんがいる家庭へのギフトとして人気を博す。
Text : Mako Matsuoka
Photo : Yuya Wada