<すしべん>伝統料理にアイデアをプラス! すしの食文化を伝える「だしシャリ」のお弁当。

2024.09.13 UP

「焼き鯖すし」で知られる<若廣>が2018年にお弁当に特化したブランド<すしべん>を立ち上げた。その最たる特徴が隠し味として酢を忍ばせた「だしシャリ」。そこには伝統料理に向き合ってきたメーカーならではの、ある想いがある。

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すしべん 鮭といくら

焼き鯖すしをヒットさせたメーカーの新しい挑戦。

京都から最も近い港のひとつとして古来より朝廷の食文化を支えてきた御食国(みつけくに)、福井県小浜市。特に鯖が多く運ばれたことから、京都へと繋がる道はいつしか「鯖街道」と呼ばれるようになった。

 

その鯖の聖地に新風を吹かせた会社がある。名は<若廣>。地域に根付くさまざまな食文化をもっと身近に楽しんでもらえるよう、そこに新たな価値を融合させて「新しくも懐かしい味覚」の追求を目指す同社は、福井で親しまれていた郷土色の浜焼き鯖のすしを考案。羽田空港で販売するチャンスに巡り合い、「空弁」のブームとも相まって“焼き鯖すし”の認知を全国的に拡大したのである。

すしべん 鯖寿司

焼き鯖すし(1折)1,404円

焼きたてはもちろんのこと冷めてもおいしい焼き鯖の

ずし。黄金色に焼き上げられた肉厚の鯖と、福井県産コシヒカリの酢飯が織り成す一体感はまさに極上。鯖と酢飯の間に忍ばされた大葉と生姜が程良いアクセントとなり、焼き鯖の香ばしさが口いっぱいに広がる。生姜醤油を付けていただくと、さらにおいしく味わえる。

 

そんな気鋭のメーカーは、2018年に新しいブランドを立ち上げた。<すしべん>だ。

焼き鯖すしのような棒ずし然り、日本には握りずし、巻きずし、ちらしずし、押しずしなど、地域ごとに脈々と受け継がれるさまざまなすしがあるが、そのすし文化をもっとデイリーに伝えていきたいという想いから弁当文化に目をつけ、おすしのお弁当をつくることにしたのだ。

だしで引き出す、おすしのおいしさ。

<すしべん>は「おだしで引きだすおすしのおいしさ」とコンセプトに掲げたおすしのお弁当ブランド。その最たる特徴は、ズバリ“ごはん”にある。

 

本家<若廣>のロゴマークでもある北前船が諸国産物廻しとして地域を超えて交流を深め、昆布による“だし文化”を全国的に築いたことから、その精神を<すしべん>に注入。昆布や魚介類で炊き込んだごはんに隠し酢を忍ばせるオリジナルの「だしシャリ」を用い、ごはんと具材の相性を高めている。

すしべん 鮭といくら

炙りサーモンハラスと贅沢イクラのすし弁 1折 1,620円

食材にこだわった「贅沢シリーズ」のひとつで、伊勢丹新宿店で売れている人気商品。天然紅鮭のハラス(※1尾からわずかしか取れない希少部位)は秘密のタレに漬け込んでから短時間の火入れで旨みをぎゅっと閉じ込め、大粒のイクラや鮭のほぐし身と一緒にだしシャリにトッピング。だしシャリの程良い酸味とコクのある味わいが箸を進め、冷めても満足させてくれる。熟練した職人の経験が為せる美しい盛り付けも魅力的だ。

都内の工場を訪ねてみると、そこにはだしのふくよかな香りが充満していた。

すしべん 製造過程

お弁当の製造は早朝からスタート。1日10〜15名の職人たちが手際よく作業にあたる。

だしシャリに採用する米は、ふっくらとした炊き上がりでツヤのある、冷めてもおいしい福井県産コシヒカリ。季節や米の状態で水分量を調節し、朝6時に炊飯をスタートする。

すしべん たれ

「だしシャリ」は昆布や鰹の旨みが凝縮しただしで炊き込む。一度に炊く量は10キロ。平日は7〜8回、休日には20回も繰り返すという。

炊き上がったら広げて十分に蒸らし、余分な水分が飛ぶよう平らに広げて酢を混ぜ合わせる。その酢は米酢をベースに醸造酢2種類をブレンドし、さらにシャリの旨みを引き出すために香りと甘みを調整した独自の合わせ酢だ。

すしべん だししゃり

ごはんを混ぜる時は、しゃもじを抜かせたまま、切るように。米の粒をつぶさないように手早く酢と合わせ、全体に行き渡ったら表面の水分を飛ばすよう意識しながらうちわであおぐ。

スタッフの方に話を聞いてみると、当初は酢加減に苦労したらしい。「焼き鯖すしと同じ要領でやると酢の存在感が立ち過ぎてお弁当のおかずの良さを損なってしまうから、出汁の配合を変えて調整したというが、その味わいはコクがありながらも後味がさっぱりとしているので、つい箸が進む。冷めても満足させてくれる。

日本のさまざまなすしを弁当に落とし込み、すし文化を未来に繋ぐ。

すし文化と弁当文化の融合に取り組む<すしべん>は、<若廣>で長年培ってきた米や酢などの食材へのこだわり、製法のスキルを大切にしつつ、日常的に楽しめる商品の企画に余念がない。

 

現在は、見た目のインパクトやワクワク感があるこだわりの詰まったすし弁として「贅沢シリーズ」、慣れ親しんだ味をワンランクアップした飽きのこない定番すし弁として「わっぱシリーズ」、ばらちらしなどをラインナップしている。口にすれば、伝統的な酢飯が果たす役割と、その可能性に心を動かされるに違いない。

すしべん ばらちらし

海老天と海鮮バラちらし(1折)1,296円

オンリー・エムアイで企画された伊勢丹新宿店限定の商品。職人のセンスが光る見た目も華やかなバラちらし。海老の天ぷらとだしシャリが好相性。大根おろしの天つゆで味変も自在。

すしべん 福の膳

福の膳(1折)3,024円

「海老天と海鮮バラちらし」と同じくオンリー・エムアイで企画された商品。焼き鯖すしやのどぐろ棒鮨、活〆穴子の蒲焼、友三角のローストビーフなど、おいしいものをちょっとずつ詰め込んだ彩り豊かなお弁当。

すしべん 焼きいなり

焼いなり3種味比べ(1折)756円

練り梅、ゆず、本わさびの3種の薬味を使った、風味豊かないなりずし。油揚げは、鯖醤を使って、だしと甘みのバランスがとれたすしべんオリジナルの味付けに。軽く炙られているので、こんがりパリッとした皮の食感と大豆の香ばしい風味も楽しめる。

 

Text : Mio Amari

Photo : Mariko Tosa , Yuya Wada

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