<ガスタ> これぞ本家直伝、五感が喜ぶ芳醇さの秘密。

2023.9.15 UP

表面の焼き色が特徴的なバスクチーズケーキ。近年その名が浸透し、扱う店も増えたが、ルーツはスペインのバスク地方、美食の街・サンセバスチャンにある。きっかけは、一軒のバルが提供する名物スイーツ。これに惚れ込んだ一人の日本人パティシエが、直々に製法を教わったのが始まりである。

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この味を見事に再現し、日本に伝えた伝道師。

<ガスタ>のシェフパティシエである戸谷尚弘さん。言わずもがな、日本におけるバスクチーズケーキの先駆者だ。フランスで修業中だった2014年頃、戸谷さんは勉強を兼ね、休暇のたびに各地を食べ歩いたそう。中でも感動したのは、<ラ・ヴィーニャ>のチーズケーキだった。

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<ガスタ>のシェフパティシエで、「バスクチーズケーキ」の名付け親でもある戸谷さん。

「内側のとろっとした食感が、それまでの自身の技術では作れないと感じました」と戸谷さん。発祥のバル<ラ・ヴィーニャ>では「食べ進めるごとにチーズの存在感が増し、人々はシェリー酒をかけたり、ミルでコショウを挽いたり、自由にアレンジして味わっていた。帰国後、自分なりに再現しようとチーズケーキを焼いてみたが、どうもうまくいかない。何度も試みるうちに、「あの味を日本に伝えたい」という想いが膨らんだという。

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定番の「プレーン」「チョコレート」をはじめ、旬の食材を使った期間限定商品も。トッピングは別売り。

 

 

 

この味を見事に再現し、日本に伝えた伝道師。

バル文化で有名なバスク地方では、地元の人も観光客もバル・ホッピングを楽しむ。それぞれの店にエビの串焼き、牛ホホ肉の煮込みなど人気のつまみがあり、<ラ・ヴィーニャ>の場合はそれがチーズケーキだった。そこでは「Tarta de queso(スペイン語で「チーズケーキ」の意)」とそのままに呼ばれ、昔からある郷土菓子ではない。あくまで、オーナーのサンティアゴ氏が約30年前に作り始めたオリジナルメニューだった。

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トロトロの生地を金型に流し込む。

製法を尋ねてみると、同様の依頼が同店には度々寄せられているが、いつも断っているのだという。しかし戸谷さんは何度も手紙を送り、直談判もし、諦めなかった。これを最後にと<ラ・ヴィーニャ>を訪れた際に、ついに厨房に通され、作業を目の当たりにした戸谷さんは目から鱗が落ちた。

 

「サンティアゴさんは料理人なので、食材の使い方など、パティシエである自分とは視点が違いました」

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オーブンで焼くと、トロトロだった生地が大きく膨らむ。この後じっくり時間をかけ、内側まで余熱を入れることで完成させる。

日本に本家直伝の製法を持ち帰るが、サンセバスチャンと日本では気候も違えば、用意できる食材も違う。それでも食べた時の感動を再現できるように、戸谷さんは研究を重ねた。納得のいく味、食感に辿り着いた時、日本で作ったチーズケーキをサンセバスチャンまで持って行き、サンティアゴ氏に食べてもらったという。

焼き色や形を褒められ、一口食べた後に「よく再現した」とお墨付きをもらうことができた。

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理想の口溶けに仕上げるため、このずらりと底穴の開いた板が重要(特注)。穴から程よく蒸気が抜け、熱伝導率が低い木製のためゆっくり内側に熱が入る。

<ガスタ>はバスク語で「チーズ」という意味。こちらの「バスクチーズケーキ」は、日本におけるブームの火付け役だ。この人気ぶりに<ラ・ヴィーニャ>の人たちは驚いているそう。「一過性のブームで終わらせたくない」と、なおも戸谷さんは研究を続けている。

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バスクチーズケーキ(直径約15㎝/1個)4,801円 

 

 

 

チーズの香りに包まれて、幸せな時間を過ごす。

「バスクチーズケーキ」の可能性をさらに広げるため、様々なフレーバーにも挑戦。「ホワイトチョコレート」や、旬のフルーツを取り入れた季節限定商品など、本家にはない独自の商品も考案する。伊勢丹新宿店限定「ヘーゼルナッツ」は、ヘーゼルナッツの女王と呼ばれるピエモンテ産のトンダ・ジェンティーレとチーズのタッグ。ペーストが生地に練り込まれ、高級品種ならではの上質で強い風味がたまらない。

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バスクチーズケーキ4種セット(4個入/各種直径8cm)3,803円

※「プレーン」「ホワイトチョコレート」「チョコレート」【伊勢丹新宿店限定】「ヘーゼルナッツ」

3種のトッピング付き。

一方、姉妹店<カーサ デ ガスタ>はチーズスイーツの専門店。カレイを模ったマドレーヌ「バスクレーヌ」が人気だ。歯切れのよさと、しっとりした食感の両方を味わえるのがうれしい。スペインバスクの漁師町であるゲタリアには、魚料理の店が多いという。地域を代表するレストラン<エルカノ>は、特にイシガレイの炭火焼きが有名。これにちなみ、「バスクレーヌ」は特注のカレイ型で焼き上げる。

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バスクレーヌ(12個入)4,560円

フランス産のクリームチーズがふんだんに使用されている。

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オープンの中で膨らむ「バスクレーヌ」。

サブレにもチーズをたっぷり使用。2種類のチーズを練り込んだ「サブレ オゥ フロマージュ」は、程よい塩味と芳醇な味わいがクセになる。チョコレートチーズサブレ「サブレ オゥ チョコレート」は、ローストしたヘーゼルナッツとチーズの風味が引き立て合う。紅茶やコーヒー、お酒とのペアリングを考えるのもいい。

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サブレ ダブル(1箱)1,400円

※「サブレ オゥ フロマージュ」と「サブレ オゥ チョコレート」がセットに。

「CASA DE GAZTA ORIGINAL BREND TEA」は、チーズスイーツと合うように配合されたオリジナル。兵庫県芦屋市の紅茶専門店<ウーフ>によるスペシャルブレンドで、厳選した茶葉を使用し、何度も試飲して完成したもの。「紅茶のシャンパン」とも言われるダージリンのセカンドフラッシュをベースに、インドやスリランカ、中国などから輸入した茶葉を使用。甘みのある香りが、より華やかに全体を演出する。

 

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CASA DE GAZTA ORIGINAL BREND TEA(50g)1,800円

※紅茶専門店<ウーフ>が<ガスタ>のためだけにブレンドしたオリジナル。

 

人と人とが出会うことで、日本に伝わったスイーツ。海の向こうに思いを馳せながら、じっくり味わいたい。バスク地方と日本をつなぐ架け橋。人々の想いを乗せて「バスクチーズケーキ」はこれからも進化を続ける。

 

Text : Maiko Shindo

Photo : Yu Nakaniwa , Yuya Wada

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