2023.9.15 UP
直径約6cm、厚みは約6mmの丸形チョコを舞台に繰り広げる情緒に溢れた世界。そのコンセプトを代表取締役社長の大平直さんが教えてくれた。
「四季に寄り添うショコラをつくろうとヨーロッパで研鑽を積んだエグゼクティブシェフの小杉和之を中心に、本場の技術と旬を尊ぶ日本人の精神を融合しています。バレンタインなどのイベントでは、毎年違ったフレーバーがおよそ20も登場するので、その都度、楽しみにしてくださるお客さまもいらっしゃいます」
2003年に誕生。日本におけるショコラティエブームの草分けとなる。
定番の「オレンジブラン」の手前に並ぶのは冷やしていただく、夏の限定品「抹茶あずき」。
一個ずつ丁寧に手作業で仕上げていく。
大平直さん ジェイ・ワークス株式会社 代表取締役社長。2023年より現職。ブランド創立20周年を迎える<ベルアメール>を運営する傍らで雑貨のギフトも手がける。
年を重ねるごとに日本人のチョコに対する味覚はどんどん鋭くなっている。そんな流れを機敏に察知した小杉和之シェフは10年ほど前に「パレショコラ」の材料を特製のクーベルチュールに、バージョンアップさせた。
「今は3種を使い分けています。カカオ分68%のビター系。やさしい口当たりのミルク、ベネズエラとベリーズのフレーバービーンズを配合したもの。酸味と香りが強くカカオ本来の味が堪能できます。いずれも繊細な日本人の舌に合うように、口どけ、アフターの余韻を追い求めています」
「パレショコラ」の核となるクーベルチュール。カカオの配合率も小杉シェフが監修。
小杉和之さん ジェイ・ワークス株式会社 エグゼクティブシェフ。ブランドの立ち上げ時から<ベルアメール>のチョコレート作りを支えるショコラティエ。
それぞれの個性に応じて、「パレショコラ」の新しい味を生み出している。
「私はいかようにもアレンジが楽しめるカカオの持つ素材の素晴らしさに惚れ込んでいます。レシピを考える瞬間は何年経ってもワクワクしていますね」(小杉さん)
カカオのコンディションを見ながら丁寧にテンパリング。
素早く繊細な線を描いて「センタープラリネ ピスタチオ」を仕上げる。
キャンディのようにポップなボンボンショコラ。
ナッツを散りばめたブラウニー。丹念な仕事ぶりが伝わる美しい佇まい。
小杉シェフの手さばきに見入る大平さん。
素材へのこだわりはカカオに限らず。装飾で用いるドライいちごや乾燥オレンジも自家製だ。
「チョコを彩る果実はその時のベストを生み出しているエリアから、取り寄せています。最近では愛媛や青森などの産地と手を組んだお菓子作りも行っています」(大平さん)
専用乾燥機から上がったばかりのドライいちご。粒々と断面のどちらも美しい。
装飾のパーツも一つ一つ丁寧に作っていく。
「これまで1,000パターン以上は送り出していますね」と、大平さんが話すように、柄に特化した1枚を発表できるのはデザインチームの存在も大きい。小杉シェフのレシピを基に『パレショコラ』のレイアウトを考える。ちなみに逆のパターンもあるそう。シェフとクリエイター、阿吽の呼吸の賜物だ。
「ヨーロッパでチョコレートは自分で食すものという考えが根強いです。でも、日本では特別な一品として誰かに差し上げるケースが多い。だからこそ、箱をあけた瞬間に胸が高鳴るものを届けたい。その一心でものづくりを続けています。高級ショコラの味わいとユニークなデザインで、人と人をつなぐ。チョコレートの先に広がる、ぬくもりのある世界を演出できる一助になれれば嬉しいです」(大平さん)
パッケージやカタログ製作も担うデザインチームによるデザイン画。カカオをさまざまな表情で描くところから、情熱が窺える。
パレショコラ(1枚)314円
通年で入手できる15種がずらり。ナッツやドライフルーツなどをトッピングした「マンディアンノワール」(中央)と「マンディアン 抹茶」(右端・上段)は歯ごたえも楽しみのひとつだ。「チョコミント」(右から2列目・下段)ルビーチョコ仕立ての「ブルーベリー チーズケーキ」(左から2列目・中央)は美しいマーブル模様に見惚れる。ひとくちに「パレショコラ」といってもフレーバーと柄は本当にバリエーション豊か。21年目以降もどんな新作が打ち出されていくのか楽しみだ。
ショコラギフト(6個入)1,944円
20周年を記念してパッケージをリモデル。新たな装いのボックスにはタルトタタンや焼き栗など、美しい季節のボンボンショコラが収められている。日本人の口に合うように繊細な口どけと香りを追求した6点。ギフトだけでなく、自分へのごほうびにもどうぞ。
ガトー&パレショコラS 2,808円
今秋のニューカマーであるチョコがけケークは、カカオニブをアクセントに加えた新作。ショコラをふんだんに使用したショコラクグロフなど、ショコラを楽しむ焼き菓子4種が勢揃い。さらに「パレショコラ」から定番の5種を詰め合わせ。<ベルアメール>が奏でるカカオの奥深さに感嘆!
(右)モンブランケーク(1個)303円
(左)和栗のフォンダンショコラ(1個)519円
(右)メープル風味のチョコケーク生地に砕いた和栗を敷き詰めて焼き上げた。隠し味のカシスコンフィチュールが自家製マロンクリームの存在感を引き立てる。
(左)熊本県産の栗をまるごと一粒トッピング。和栗ペーストをチョコレート生地で包み、しっとりと濃厚な食感が堪能できる。
Photo:Yu Nakaniwa
Text : Mako Matsuoka