2023.8.1 UP
すいかは夏の楽しみです。スイカには大玉と小玉があり、最近は冷蔵庫に入るという理由から小玉が人気。一昔前は小玉スイカというと「大玉と比べると味は今ひとつ、、、」といわれたこともありましたが、最近は品種改良が進んだこともあり、劇的においしくなりました。小玉は糖度が高く、濃縮された甘さが特徴です。
一方、大玉スイカも負けてはいません。大玉スイカは小玉と比べると糖度が低くても、サクッとした食感が強く、スイカとしてのおいしさは甲乙つけがたいところ。
大玉スイカも最近はカットスイカが増えました。断面を保護するためにラップをかけ、冷蔵庫で保管すれば4〜5日間は日持ちするので食べきれない、という心配はそれほどないはずですが、実はもっと長く保存したければ冷凍することも可能で、そのまま半解凍して食べる他、ジュースや料理にも使えます。
スイカを冷凍する場合は種を取り除いておくと便利です。こんな風に露出した種は箸などでとれますが、内側の種をとるコツを伝授します。
スイカの種をとるにはまず横にカットしましょう。
そうするとスイカの断面に維管束(植物が液体を運び、構造を支持する組織)が見え、種はその内側に一列に並んでいるのがわかります。
そのため種をめがけて包丁で切れば、種が断面に露出する格好になり、除去しやすくなるのです。
種をとったスイカは四角に切り、ジッパー付きの袋などに入れて冷凍保存します。さて、スイカは料理にも使えるので、今回はスイカのガスパチョをご紹介しましょう。
◾️1品目 スイカのガスパチョ
<材料>
すいか 250g
トマト 100g(中玉2個)
パプリカ 50g
パン粉 10g
オリーブオイル 大さじ1
赤ワインビネガー 小さじ1(または手持ちの酢でも代用可)
塩 小さじ1/4
ガスパチョはスペイン、アンダルシア地方発祥の夏場に食べる冷たいスープ。スペイン王立ガストロノミー学会によると起源として2つの説があり、一つはローマ軍が水筒に入れて持ち運んだ『ポスカ』という飲み物に由来する、というもの。
ポスカは水、ビネガー、塩、刻んだハーブからつくる飲み物で、これがアンダルシア地方に伝わり、にんにく、オイル、パンが加わって、ガスパチョが生まれました。もう一つの説はガスパチョの起源はアンダルシア地方の田舎で労働者がパン、にんにく、ビネガー、水で調理した料理という説。いずれにせよ、18世紀に入りトマトが加わり、今ではトマトの冷たいスープを指すようになりました。現在はいちごやさくらんぼなどさまざまなアレンジが加わったガスパチョが登場していますが、こうした起源を考えるとパンが入った冷たいスープがガスパチョの定義といえそうです。
<作り方>
作り方は極めてシンプル。トマトはミディトマトのような中玉で味の濃いものがベター。(今回はKAGOME高リコピントマトを使用しました)トマトはヘタをとり、4等分にカット、赤パプリカも適当な大きさに切り、オリーブオイル、パン粉、塩、ワインビネガーを一緒にミキサーにかけます。
パプリカやトマトは皮付きのままですが、やや長めにミキサーにかければ気にならなくなります。よく撹拌したらスイカを加えてさらに回しましょう。
味を確認し、酸味が足りないようであれば酢を小さじ1ほど足しても結構です。容器に移し、冷蔵庫でよく冷やせば出来上がりです。
これはオプションですが、浮身としてスイカの皮の白い部分を使いました。外側の緑の濃い皮を切り落とし、白い部分を5mm角に切ります。
塩ひとつまみで味付けします。もしも、昆布の水塩があれば2プッシュほど吹きかけると即席の浅漬になり、よりおいしいです。
浮身を浮かべ、ミントの葉があったので散らしてみました。ミントの葉はパセリでもいいですし、大葉の千切りでもいいでしょう。スイカの甘さ、トマトの酸味のバランスがとれたガスパッチョは夏にピッタリの味わい。冷蔵庫で保存すれば朝食にもうれしい料理です。
◾️2品目 スイカといちじくのスープ
スイカをミキサーにかけるとさらっとしてジュースとしてはおいしいのですが、スープとしてはやや頼りない印象。そこにいちじくを足すと、濃度が出てお互いを引き立て合います。
<材料>
すいか 200g
いちじく 100g(1個)
もしも、味見をして甘さが足りないと感じたら、はちみつやガムシロップなどで調整してもいいでしょう。
<作り方>
いちじくは皮を剥きます。包丁で剥いてもいいのですが、トマトなどと同じように熱湯に10秒くぐらせるとかんたんに皮が剥けます。
ミキサーにかけますが、回し過ぎると空気が入って風味が薄くなるので撹拌し過ぎには注意。目の荒い裏ごし器などで濾してもいいでしょう。
浮身としてスイカの角切りを浮かべれば出来上がり。シンプルでおいしいデザートスープです。日本のフルーツは押し並べて高品質で、楽しまないのは損ですが、先ごろ厚生労働省が改訂した「健康日本21」(健康増進法に基づき食物摂取量などの目標値を定めるもの)には新しい目標として2024年度以降、1人1日当たり摂取量として果物200gが掲げられました。これは以前の2倍に当たる数字ですが、健康のために果物を食べましょう、ということ。毎日食べるのはなかなか大変ですが、最近果物を食べてないな、という方も売り場に足を運んでみてください。
Text & Photo : Naoya Higuchi