2023.8.7 UP
伊勢丹新宿店で人気の紅茶専門店<ナヴァラサ>は、紅茶の銘醸地、インドのダージリン地方で茶葉を直接買い付けする店。シーズンのトップクオリティの紅茶が入手できるのは、代表の山田栄さんが長年産地に足繁く通い、生産者と密接なコミュニケーションを築いているからです。
今回は夏の紅茶、セカンドフラッシュのシーズン到来に合わせて、ダージリンのテロワールやセカンドフラッシュならではの紅茶を解説します。
そもそも紅茶といえばダージリンと言われるのはなぜなのでしょう。よく言われるのが「紅茶のシャンパン」という枕詞。ダージリン地方はインドの北東部、ヒマラヤ山麓の高地にあり標高は500〜2000mあります。1日の中でも昼夜の寒暖差が大きく、朝夕に発生する濃い霧が茶葉を直射日光から遮り、適度な湿度を与え、霧が晴れると今度は一気に日光が茶葉を乾かします。この寒暖と乾湿の繰り返しが茶葉に独特の芳香を与えます。そしてこれこそがダージリンの知名を冠する所以。<ナヴァラサ>のダージリンティには、茶葉がダージリン産100%であることを保証するダージリンのロゴマークが記されています。
CTM(Darjeeling Certification of Trademark)は、インドの政府機関、Tea Board of India(インド紅茶作業局)から交付されている認証マークです。ダージリン地方の100%ピュアダージリン茶葉だけでつくられた製品にのみ交付されます。ダージリン地方以外の茶葉がブレンドされている製品には交付が許可されていません。
では、ファーストフラッシュ(春)とセカンドフラッシュ(夏)で味わいはどう変わるのでしょうか。
ファーストフラッシュの魅力は、日本人的には初物的なところでしょうか。柔らかな新芽の一番摘みのお茶で「フラワリー」と呼ばれる繊細な花香と、フレッシュで青々しい香味は一芯二葉摘みの緑の若い葉ならではのものです。オリーブオイルでもアーリーハーヴェストといって、完熟前に摘んでグリーン香を楽しむタイプがありますが、これと似ているかもしれません。対してセカンドフラッシュは、フルーティーで成熟した香味、そしてボディーを楽しむ茶。「マスカテルフレーバー」と言われる果物が熟したような複雑味をもつ香味とボディーが魅力です。水色(すいしょく)もファーストフラッシュが黄金色なのに対して、セカンドフラッシュは深いオレンジ色。
ファーストフラッシュ
セカンドフラッシュ
山田さんにセカンドフラッシュを最初に体験した時の印象を伺いました。
「ファーストフラッシュにはフラワリーで若々しい魅力があります。その魅力に浸りながらテイスティングを続けていて、突如、劇的に甘く、濃厚なタンニンに圧倒されたのがセカンドフラッシュでした。それぞれの季節の異なる魅力を毎年追い続けて今に至っています」
セカンドフラッシュは、アフタヌーンティーに代表されるティーフードとの結びつきも強く、イギリスでも人気。山田さんは毎年茶の生育状況を産地に確かめながら、ピーククオリティの紅茶がテイスティングできる時期を外さないよう現地に向かい、買い付けているそうです。
因みに年三度目の収穫期、オータムナル(秋)の紅茶は、水色は深みが増しますが穏やかで円やかな味わい。春・夏・秋のお茶の違いは、人間の成長にも似ているような。
それではセカンドフラッシュを味わってみましょう。セカンドフラッシュらしい複雑味のあるボディーを楽しむなら、まずはホットで飲むのがおすすめです。しかし、今は夏。熟した茶葉のフルーティーで深い味わいを楽しむならばアイスティーもおすすめです。<ナヴァラサ>おすすめの淹れ方をご紹介します。
「オンザロックの場合」(1人前)
① 温めたポットに茶葉を3g(または3gのピトレティーバッグ)入れる。
② 沸騰直後(約100℃)のお湯を100ml注ぎ、3分〜4分蒸らす。(2倍の濃さで抽出)
※蒸らし時間が長いと水色が濁るので注意する。
③ グラスに氷をいっぱい入れておき、上から一気に注ぐ。
「水出しの場合」(1L)
① 茶葉を10〜12g(3gのピトレティーバッグ3,4個、お好みで調整してください)を容器に入れ1Lの浄水を注ぐ。
② 6時間〜一晩冷蔵庫に入れて、低温でじっくり抽出します。(あるいはピトレティーバッグを取り出す)
冷蔵庫で保存し、2日を目安に飲み切る。
左:〈ナヴァラサ〉ダージリン2023セカンドフラッシュ ギダパール農園 チャイナムスク DJー40 大缶 4,860円
右:〈ナヴァラサ〉ダージリン2023セカンドフラッシュ ギダパール農園 チャイナムスク DJー40 小缶 3,348円
今回はセカンドフラッシュにスポットを当ててみました。まもなく伊勢丹新宿店頭にセカンドフラッシュが届きます。ぜひファーストフラッシュと飲み比べてみてください。
Text : ISETAN FOOD INDEX 編集部