イタリア料理の人気新定番、バターチキン(鶏むね肉のバターソテー)。―樋口直哉さんの『料理のツボ』―

2023.12.8 UP

12月の鶏肉料理といえばローストチキン(以前のインデックスリンク)が定番ですが、今年ご紹介するのは、イタリアの食堂から人気がじわじわ広がり、日本のイタリアンでもファンの多いバターチキン(鶏むね肉のバターソテー)です。ご家庭でもご馳走鶏肉料理の定番に!

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鶏むね肉のバターソテー 

今日はバターチキンを作りましょう。バターチキンといってもインド料理のバターチキンカレーではなく、今回ご紹介するのは「鶏むね肉のバターソテー」というイタリア料理。フィレンツェの老舗食堂の名物料理でしたが、今では様々なイタリア料理店で提供される新定番です。たっぷりのバターをまとわせながら鶏むね肉を低温で茹でるようにしっとりと焼き上げます。

 

▪️鶏むね肉のバターソテー (2人分)

<材料>

鶏むね肉   1枚(280g〜300g)

塩      小さじ1/4

バター(有塩)   50g

レモン     適量

 

<作り方>

おいしくするための秘密はたっぷりのバター。今回は有塩のカルピスバターをたっぷりと使います。鶏むね肉は比較的安価なのでここに予算を割いてください。

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鶏むね肉は厚い部分と薄い部分があるので斜め半分に切ります。

 

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厚い肉はラップで挟んでから、肉叩きなどで叩いて厚みを揃えましょう。肉たたきが家にない場合はワインの空き瓶や鍋の底などで代用できます。

 

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通常は肉を30分〜1時間程度常温に戻しますが、40℃〜45℃くらいの湯に5分つければ時間を大幅に短縮できます。湯につけることで肉の温度が上がります。表面の菌が増えますがこのあとの加熱によって殺菌されるので問題ありません。

 

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塩小さじ1/4を全体になじませてから両面に小麦粉をはたきます。小麦粉はうすく、かつまんべんなくつけるようにしましょう。

 

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フライパンにたっぷりのバターを入れ、中火にかけます。

 

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バターが溶け、縁が泡立ってきます。バターが完全に溶け切らないうちに弱火に落とし、皮目を下にした鶏肉を入れましょう。

 

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スプーンでバターをかけながら火を通していきます。

 

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5分を目安に火を通し続けていくと、焼き色がついてくるので裏返しましょう。

 

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裏側もさらに火を通していきます。この時、フライパンが薄く、火が強すぎると、バターが黒く焦げてしまいます。そうなると残念ながら失敗なので、バターを捨ててあたらしいバターを足しましょう。厚いフライパンを使うと楽ですが、薄手のフライパンしか家にない、という場合はなるべく弱火にして、フライパンを時々、熱源から離すといいでしょう。バターが泡立ちつつ香ばしい茶色の状態を維持しつつ、じっくりと火を通していきます。

 

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3分経ったら火を止めて5分間、鍋の中に入れたまま予熱で火を通します。半分に切った2.5cm厚の鶏胸肉は10分程度で火が入るのですが、フライパンのなかで休ませることで肉の内部温度を充分にあげるための安全策です。

 

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再び火にかけ皮目をもう一度焼いて、全体を温めていきます。休ませているあいだに鶏肉から出てきた肉汁が煮詰まり、バターソースの味に深みを与えてくれます。弱火で2分ほど焼いたら出来上がりです。

 

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器に盛り付け、バターと焼き汁が混ざったソースをかけましょう。レモンを絞っていただきます。小麦粉をまぶした表面の香ばしさとなかのジューシーさ、バターの豊かな味わいのごちそうです。年末、華やかなローストチキンを……と思っても、少人数だと余りがちですが、これなら大丈夫。

 

余裕があれば付け合わせをつくるといいでしょう。付け合せにはフライドポテトや茹でたジャガイモなどが定番ですが、冬においしくなる、ほうれん草のソテーもいいでしょう。

 

 

ほうれん草のアーリオオーリオ

<材料>作りやすい分量

ほうれん草 1/2束

にんにく  1/2片

オリーブオイル 大さじ1+1/2

赤唐辛子  半分
塩     ひとつまみ

 

 

<作り方>

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ほうれん草は軸の硬いところを切り落とし、半分に切ります。にんにくは皮を剥いて薄切りにし、赤唐辛子は種を取り除きましょう。

 

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たっぷりの湯を沸かしたところで、ほうれん草を2分茹でます。日本では一般的なほうれん草の茹で時間は30秒〜1分といったところですが、イタリア方式はやや長めに茹でて、甘みを引き出します。

 

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鍋にオリーブオイルとにんにくを入れ、中火にかけます。にんにくが泡立ってきたら弱火に落とし、にんにくに火を通していきます。この時、にんにくがきつね色になるようであれば加熱しすぎ。その手前で火を止めて、風味付けに赤唐辛子を加えましょう。

 

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茹で上がったほうれん草を混ぜあわせ、塩ひとつまみで味付けします。ほうれん草は塩気が効きやすいので、味付けには注意。メインの肉料理にも塩気があるので塩は入れすぎないようにしましょう。

 

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器に盛り付けて、自由に食べられるようにします。イタリア料理の世界では付け合せをコントルノと呼び、様々なバリエーションがあります。たっぷりの豆や野菜を添えることで食卓が豊かになるので、事前に作っておくのがいいでしょう。

 

クリスマスにはローストチキンやフライドチキンが定番ですが、たっぷりのバターで焼いた鶏むね肉と唐辛子の香りがきいたほうれん草の付け合せも大人な感じでいいもの。お気に入りのワインとあわせてぜひ楽しんでください。

 

Text&Photo:Naoya Higuchi

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