ホワイトデーにもぴったり!お菓子作りの基本は「カップケーキ」から。―樋口直哉さんの『料理のツボ』―

2024.3.1 UP

カップケーキはマフィン型や紙のカップに生地を入れて焼き上げる小さなケーキ。作り方がかんたんで基本が詰まっているのでお菓子作りに慣れていない初心者におすすめです。ホワイトデーのお返しにぜひ挑戦してください。

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カップケーキの作り方は大きく2つ。バターに砂糖や粉を練り込んでいくスタイルと泡立てた卵を使うタイプです。前者はどっしりと濃厚な味わい、後者は軽い印象に仕上がりますが、今回は後者のタイプで、バターを使わずにさっぱりしたケーキを作りましょう。懐かしい卵ケーキ的な味に仕上がります。

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カップケーキはマフィンカップ、またはマフィン型にグラシン紙を敷いてつくります。どちらでも作り方は同じですが、今回はマフィン型+グラシン紙でつくります。

◾️カップケーキ

<材料> 6個分

卵  2個 (卵黄と卵白に分ける)

グラニュー糖 60g

生クリーム(または牛乳)  大さじ1

薄力粉   60g

太白ごま油(またはサラダ油) 大さじ1

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<作り方>

材料はシンプル。砂糖を加えて泡立てた卵に粉と少量の油脂を加えて焼き上げるスポンジケーキの基本配合は「卵1個:砂糖30g:小麦粉30g」です。つまり、卵3個分でつくりたい場合は砂糖90g、小麦粉90gになります。

 

「甘いのは嫌だから砂糖を減らそう」

 

と思うのはわかりますが、砂糖を減らすと膨らみが悪くなり、口溶けも悪くなります。砂糖には卵の泡立ち(起泡性)を安定させる役割があるからです。甘さを控えたい場合は砂糖の30%をトレハロースに置き換える方法もありますが、まずは分量通りに作ってみましょう。

 

 

スポンジケーキの生地に加える油脂には通常、溶かしバターが使われます。バターの香りもいいですが、今回は「太白ごま油」を使いました。ごま油は白ごまを焙煎し、絞った植物油脂ですが、太白ごま油はごまを焙煎しないで、そのまま絞ったもの。香りがほぼなく、しかもごま油特有のおいしさがあるので、最近ではお菓子作りにも広く使われています。

 

太白ごま油を使うと軽くふわっとした仕上がりになり、卵の香りが生きた仕上がりになりますが、もちろん他のサラダ油を使っても大丈夫。太白ごま油はサラダ油(キャノーラ)と比べると気泡が密に仕上がるので、ややモチッとした食感になり、サラダ油の方があっさりとした焼き上がりになります。こんなふうにお菓子作りは使う食材によって仕上がりが変わるのが面白いところです。

 

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まずはオーブンを170℃に予熱します。

 

卵を割り、卵黄と卵白に分けます。まずは卵白を泡立てていきましょう。泡立てた卵白をメレンゲと呼びます。メレンゲは卵白のタンパク質をほぐし、空気を含んだ状態で結合させたものです。

 

卵を泡立てるうえでの敵は油脂と洗剤の2つ。どちらも空気と水の境界面に集まってタンパク質の分子間の結合を阻害するからです。一度、泡立ててからであれば卵黄や脂肪を混ぜても大丈夫ですが、きれいに洗ったボウルを使いましょう。

 

泡立てるときは少しずつ砂糖を加えていくのが基本。砂糖は泡を安定させますが、同時にタンパク質がほどけて結合することを妨げるので、ある程度泡立ってから砂糖を加えるのです。ただし、これは手で泡立てる場合の話。泡立て用ミキサーを使う場合ははじめから砂糖を加えて泡立てることでキメ細かく、しっとりとしたメレンゲになります。

 

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泡立て器を持ち上げたときに角が立ち、すぐに垂れ下がるくらいの状態を目指します。泡立てすぎると出来上がりのスポンジのキメが粗くなるので、その前に止めるのが重要。

 

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ここまでできたら後はかんたん。卵黄を加えて、混ぜます。

 

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全体の色ムラなく混ざったら、生クリームまたは牛乳を加えます。水分は入れなくてもケーキ自体は焼けるのですが、この後の加熱によって蒸発する水分を補っておかないと仕上がりがパサつきます。忘れずに加えましょう。

 

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薄力粉をふるいいれましょう。

 

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ゴムベラを使って、生地を折りたたむように混ぜていきます。これをお菓子作りの用語では「切るように混ぜる」と言いますが、泡だて器を使って混ぜると粉の粒子が卵白の泡を突き破ってしまい、ふんわり感がなくなるのでゴムベラを使いましょう。ボウルのまわりの粉を落としながら、粉気がなくなるまでしっかりと混ぜます。

 

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粉が見えなくなったら太白ごま油またはサラダ油を加えて、さっくりと混ぜます。最初に述べたように油脂は泡を消す力があるのでここからの作業は手早く行いましょう。

 

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型に流していきます。たくさん入れすぎると生地が溢れてしまうので、7〜8分に留めておきましょう。170℃のオーブンで15分焼きます。

 

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焼き上がった状態がこちら。焼き立ての膨らんだ状態で食べても美味ですが、今回は冷ましてから、デコレーションして食べましょう。冷ますと膨らみはなくなりますが、失敗ではありません。

 

買ってきた生クリームの残りがあれば、それに10%の砂糖を加えて角が立つまで泡立てましょう。生クリームを泡立てる=室温の空気で温めている状態になるので、氷水などでボウルの底を冷やしながら泡立てるのが基本。生クリームは冷たい状態を保ったまま泡立てることで、キメが細かい仕上がりになります。

 

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丸い口金がついた絞り袋を準備しました。

 

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大きな計量カップなどに絞り袋を落とし、生クリームを移します。

 

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好みの形に絞っていきましょう。

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イチゴなど好みのフルーツを添えたら出来上がり。

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軽く、ややもっちり目に焼き上げたカップケーキとシンプルな生クリームがよくあいます。ショートケーキなどよりもデコレーションがかんたんなので、お子さんと一緒に楽しめます。デコレーションする前のカップケーキは冷凍もできます。自然解凍、またはレンジで解凍して、ほの温かい状態にバターをつけて食べるのもおすすめです。

 

おまけ

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チョコペンがあればお子さんと一緒にトッピングするのもかわいいです。トッピングは他にも色々と考えられるので、工夫してみましょう。

 

Text&Photo : Naoya Higuchi

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