みんなで作ると楽しい、水餃子の世界。 ―樋口直哉さんの『料理のツボ』―

2024.7.22 UP

日本でお馴染みの焼餃子。一方、中国、特に北方で餃子といえば茹でたもので、焼餃子は「ゴーティエ(鍋貼)」といって別の料理です。

 

焼餃子はおいしい市販品があり、それを買ったほうが合理的なので、今日は水餃子をつくりましょう。焼き餃子と水餃子の違いは詰める肉だね──餡に秘密があります。焼き餃子の餡はゴロゴロとした肉の食感を生かしたり、みじんぎりにした野菜をたっぷりと混ぜたりと工夫しますが、水餃子の場合は皮の食感にあわせたやわらかめに仕上げるのがベター。そのため、材料が少なく、かんたんに作れます。皮がつるりとして食べやすいので、意外とお子様向けに良い料理でもあります。

 

僕も子供の頃、餃子作りを手伝った思い出がありますが、餃子はみんなでつくると楽しいもの。一緒に包んで楽しみましょう。まずは基本の水餃子から。

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◼️基本の水餃子

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<材料> 20個分

豚ひき肉 150g
塩   小さじ1/4
溶き卵  1/2個
水    30ml

酒    大さじ1(または紹興酒大さじ1)
片栗粉  小さじ1

 

餃子の皮 20枚

<タレ>

練りゴマ 20g

醤油   大さじ1

酢    大さじ1/2

砂糖   大さじ1/2

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餡をつくります。香味野菜などが入らないシンプルな配合ですが、好みで生姜のみじんぎりを混ぜてもいいでしょう。秘密は卵と水。この2つの材料を加えることでふっくらした食感に仕上がります。

 

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まず挽き肉に塩を加えて、よく練ります。

 

そこに水を3回くらいに分けて少しずつ足しながら、さらに混ぜます。溶き卵を加えて、さらに練り、最後に片栗粉を加えて一つにまとめます。

 

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フードプロセッサーがあれば挽き肉に塩とすべての材料を入れて、50秒から1分ほど混ぜられるので、もっと簡単です。

 

今日は市販の餃子の皮をつかいます。餃子の皮は皮同士がくっつかないように打ち粉が振られ、やや乾燥させた状態になっています。

 

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そこで霧吹きか刷毛で水分を薄く吹きかけます。これで皮が生の状態に近づき、皮同士をおさえるとくっつくようになります。

 

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皮の真ん中にティースプーンで肉だねを並べていきます。

 

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半分に折りたたみます。空気を入れないように少しだけ気をつけてください。

 

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しっかりと口を閉じれば出来上がり。水餃子の場合、ひだをつける必要はありませんが、もちろんひだをつけるように包んでもOKです。ひだがあると皮同士が重なるので食感が強くなります。

 

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もうひと工夫することもできます。半円の両端をくっつけるだけです。

 

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そうすると、帽子のような形にもできます。どんどん作っていきましょう。そのあいだにたっぷりの湯を沸かします。

 

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2分30秒茹でれば出来上がり。水餃子は、水量が少ないと鍋底にくっつく場合があります。そのため水餃子を入れたら軽くかき混ぜるといいでしょう。

 

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お湯から引き上げて皿に盛り付けましょう。

 

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水餃子はややあっさりめの味なので、ゴマダレがよくあいます。ゴマダレには辛味を加えていませんが、大人向けにはラー油を加えてもいいでしょう。市販の棒々鶏のタレも餃子によくあうのでオススメです。

 

基本の水餃子は市販の餃子の皮を使いましたが、もちろん皮から手作りするともちもちして一味違う料理になります。皮から手作りするのは大変な印象があるかもしれませんが、材料は薄力粉、水、塩だけですし、粉で遊んでいると思えば楽しいものです。

 

◼️餃子の皮
<材料> 10個分

薄力粉 100g

水   50ml

塩   1g

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小麦粉はグルテンが多いほど、弾力が増します。水餃子にはあまり強くないほうがいいので薄力粉を使います。

 

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餃子の皮に限らず、小麦粉を使った料理のコツははじめのうちは手で触らないことです。薄力粉に塩を加え、箸でかき混ぜながら少しずつ水を加えていきます。最初から手でこねてしまうと生地が指にくっついてしまいます。

 

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全体に水が回り、ポロポロとしてきたら平らな台などに移し生地をこねていきます。生地をこねるときは力を加える必要はありません。手のひらの付け根を使って、体重で押し出すようにこねます。指先を生地にひっかけ、手前に折り返し、再び押し出すことを繰り返します。

 

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生地がなめらかになれば大丈夫。ラップで包んで室温で30分寝かせます。生地をこねるという作業は小麦粉に水分を与える作業(水和)です。そのため、多少こねる時間が短くても十分寝かせれば目的は達成できます。また、こねたばかりの生地はグルテンが形成され、バネがぎゅっと縮んだ状態です。時間を置くことでそれが緩み、伸ばしやすくなります。

 

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寝かせた生地を棒状に伸ばします。

 

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端から一つ15gなるように切っていきます。

 

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手のひらで伸ばします。

 

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綿棒で丸く伸ばしていきます。丸く伸ばすコツは真ん中から上、そこから下という具合に麺棒を転がすことでこの時、最後まで伸ばし切らずに端を残すようにすること。伸びたら生地を90℃回転させ、もう一度この作業を繰り返せば薄く伸ばせます。完璧に丸くなくてもいいですし、厚くても薄くても餃子はそれぞれおいしいので、遊び感覚で気軽に挑戦してください。

 

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伸ばした皮が作業台にくっつかないようにするために、外側だけに片栗粉を薄く振っておきます。乾燥したり、内側に打ち粉を打ってしまうと皮同士がくっつかなくなるので注意してください。乾燥防止のためにラップをしておくのがいいでしょう。

 

手作りした餃子の皮を使って、今度はちょっと変わり種の水餃子を作っていきましょう。トマトと卵の炒め物を詰めたおかず餃子です。

 

◾️トマトと卵の水餃子

 

<材料>

トマト  200g

塩    小さじ1/4

卵    3個

長ネギ  10g

サラダ油 大さじ2

 

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トマトと卵の炒め物は中国の定番家庭料理ですが、水分量のコントロールが味の鍵を握ります。トマトはどんなものでもおいしくつくれますが、今回はラウンドレッドという加熱に適したトマトを使っています。水分量が少ないので炒めやすいからです。

 

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もっともどんなトマトを使ってもこの工程を踏めば大丈夫。あらかじめ1cm角に切ったトマトに分量の塩を振って、10分置くのです。この工程でトマトから水分が引き出され、後の工程がやりやすくなります。

 

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トマトから出てきた水分を卵に加え、よく溶きます。

 

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フライパンにサラダ油と長ネギのみじん切りを入れ、中火で加熱します。

 

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一部に焦げ色がついたら卵を一気に注ぎます。

 

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混ぜながら半熟状態になるまで加熱していきます。ゴムベラや木べらを動かした後、フライパンの底が見える状態になったら加熱終了のサイン。

 

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一度、ボウルに取り出します。

 

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同じフライパンでトマトを軽く炒めます。炒め終わりの目安はトマトの角が少し丸くなったらOK。

 

卵とトマトを合わせます。

 

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ゴムベラで混ぜれば出来上がりです。この段階で充分なおかずですが、今日は餃子に詰めていきます。

 

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多少歪でも、具材の量が多くても、手作りの生地であれば伸びるので、意外と包みやすいはず。

 

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ここでのコツはたった一つ。とにかくしっかりと閉じることです。ここで隙間ができていると茹でたとき、中身が出てきてしまいます。

 

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2分30秒茹でればできあがり。

 

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一見するとふつうの水餃子ですが……

 

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中身はトマトと卵です。

 

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酢醤油やゴマダレで食べてもいいですが、おすすめはひとつまみの塩を落としたオリーブオイルをかけて食べること。このレシピではトマトと卵の炒め物を使いましたが、ニラレバや青椒肉絲などどんなおかずも餃子に詰められますし、あたらしい発見があるかもしれません。粉で遊ぶ感覚で色々と試してみてください。

 

Text&Photo : Naoya Higuchi

 

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