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Magicians encounter #3  象牙の塔からの不条理主義者 

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2025/01/26

三越伊勢丹では1907年に三越が「美術部」を創設して以来、百十余年に渡り、美術品を扱ってきました。

従来、絵画や工芸品を取り扱うことが多く、美術団体の展示場所として活用されてきました。

戦後になると、新聞社との共催によって「美術館」が店舗内に開設され、伊勢丹新宿店でも1979年に開設されるとアートシーンをリードする大規模な展覧会が催されました。

文化啓蒙の担い手であった百貨店において時代の最先端を求め、その時代の美術を積極的に紹介してきました。

昨今は、美術の裾野を拡げるべく若手、中堅作家の作品を精力的に紹介しています。

現在SNSの普及もあり個人で活動するアーティストも多くその全貌を掌握するのは難しくなってきています。

このような状況の中、伊勢丹新宿店アートギャラリーでは2023年に「Magicians encounter」という企画を始動しました。

これはアーティストだからこそ見出せる作家を選定し各作家を紡ぎながら新たな文脈で展覧会を構成する試みです。

本展では#1、#2 に引き続き、宮原氏にディレクションを依頼し、彼を含む5名の作家による展覧会を開催いたします。

また1933年に本店を新宿に構えて以来、新宿の文化発信を牽引し近隣の商店とも積極的に関係を築いていきました。

今回は新宿三丁目に構えるビームスジャパン新宿店のB GALLERYとの共同開催となります。

末尾となりますが、開催するにあたりご尽力いただいた、ビームスクリエイティブ、studio仕組、ピンホールブックスに感謝を申しあげます。

 

伊勢丹新宿店 アートギャラリー

 

共催:BEAMS JAPAN新宿BGallery

協力:studio仕組、ピンホールブックス

 

 

 

 

 

 

■企画に寄せて

人類は時に自然界の法則をこえ、説明のつかない神秘を渇望します。

魔術師との遭遇、言外の作品との邂逅が人類の末路を転回することを願います。

 

象牙の塔からの不条理主義者

フォーマリズムや、フォーディズムの影響を受けつつ、現代アートはどのように進化し、社会的文脈と結びついていてきたのか。

ポップアートは消費社会を積極的に取り込み、アートと商業的価値を直結させました。

この商業化の流れは、アートマーケットの拡大とグローバルな商業ギャラリーシステムの成長を促し、アーティストが自己表現と市場の要請に応える形で作品を制作できるようになりました。

加速する技術革新の中で、技法的ユニークさを失ったアーティストはどのように世界を捉え、視覚化しうるのか。

かつての労働が、物的生産に従属していたのに対し現代では、非物的な生産、すなわち人々とのコミュニケーションや社会との接続が、新たな労働の中核を成しています。

ミニマルアートが暴露したアートの労働性もコンセプチャルアートやプロセスアートなどにより、知的労働、脱物質化が芸術的アウラさえも量産を可能にしました。

同時に、この流れは脱物質化や商業主義への反動としての「脱アート化」も見られます。

これは、植民地時代の芸術に対する再評価とも関連しています。

植民地美術は、商業主義やグローバル市場との複雑な関係性を通して、現代アートに新たな視点を提供し、文化的アイデンティティと対話を強調しています。

ポストコロニアリズムによって芸術は単なる視覚的な体験から、社会的・政治的メッセージを伝えるものへと変容し、肉体的発露は機械にかわり知的労働すら人工知能が補完しうる時代において我々人類はなにを芸術とするのでしょうか。

芸術は死んだのか?もしかしたら有史以前の戯れに還元されるのかもしれない。

芸術における労働と技術またはその社会的・文化的背景を元に、制作の主導権をアーティストの手に戻してみようと思う。

 

ディレクション 宮原嵩広

 

 

 

 

 

■キービジュアル

PINHOLE BOOKS

泉 美菜子 Minako Izumi

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■これまでの企画

2023年Magicians encounter #1 Modern times scatology ₋冥界の身体(伊勢丹新宿店 アートギャラリー)

Modern times scatology

 

2024年Magicians encounter #2 Made in wonderland誰も開けなかったキャビネット(伊勢丹新宿店 アートギャラリー)#2

Made in wonderland

 

関連企画:個展 Your name here. (B GALLERY)

Your name here

 

 

 

 

 

 

 

■出品作家

オーガミノリ、TENGAone、細井 えみか、増井 岳人、宮原 嵩広

 

 

 

 

 

 

 

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〇上記作品

オーガミノリ

「I_M.O_01」

キャンバス、アクリル、パステル、地の粉、インク

H80.3 × W80.3× D3.0 cm

 

※価格はお問い合わせください。

 

■オーガミノリ Minori Oga

1982年東京都出身。2007年東京藝術大学院漆芸専攻修了。

漆造形作家として活動後、2020年より平面画の発表を始める。

紙やキャンバス等質感を作り込んだ画面にアクリル、パステル、石粉、オイルスティック等を使用し、メディウムの枠にとらわれない表現を求め即興で描く。

描かれた部分と部分は緊密な連関を持ちながら均衡を保ち、有機的に多様な素材・要素が絡み合い次元を構成する。

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〇上記作品

TENGAone

「mimic_macho ai」

2025年

MDF、アクリル絵具

H56.0 × W45.0 × D11.0 cm

 

■TENGAone

埼玉県出身。アーティスト。1992年からグラフィティを始める。

暫くは誰よりも上手く描く事に、誰よりも目立つ様にと必死に活動するも、30代半ばから、大切なのは描くもののスタイルや技術だけではないと気付く。

現場の匂いや湿気、虫の声や雑草を踏み締める感触、暗闇に慣れ始め視覚が戻る感覚、血管の膨張、細かな音も聞こうとする聴覚、緊張が切れるプチンという音…そこにTENGAoneが居て、そこで起こる全てがグラフィティーだった。

目に見えているスプレーペイントがグラフィティーではなく、そのペイントの裏側にあるストーリーがグラフィティーだった。

今、その経験から得た見解を元に、様々なシーンで作品を発表している。

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〇上記作品

細井 えみか

「Act of connecting - Faux fur」

2023年

鉄、布、ウレタン、ボルトナット、取手金具、木材

H120.0 × W120.0× D5 cm

 

■細井 えみか Emika Hosoi

1993年生まれ。2018年武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻彫刻コース修了。

ボルトナットや取手金具などの既製品をオブジェとしてファブリック素材や鉄、光などと組み合わせた什器や彫刻作品を制作。

日常生活における認識の強度を確かめる行為として作品制作を位置付ける。

主な展示に、個展「Nailing to the beach」(2024、Esther Okada Art Gallery)、「Study:大阪関西国際芸術祭」(2024)などがある。

TBSドラマ「18/40 〜ふたりなら夢も恋も〜」(2023)作品協力。

2020年より同大学共通彫塑研究室助教着任。

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〇上記作品

増井 岳人

「SMILE & PIECE」

キャンバス、鉛筆、アクリル

H90.0 × W90.0× D4.0 cm

 

■増井 岳人 Taketo Masui

1979年神奈川県生まれ。テラコッタや陶といった、土を素材とした彫刻作品を数多く発表。

近作では縄文土器の破片を使い、独自の技法により作品を展開。

近年の個展はHECTARE 「piece/peace」、隙間「NOW」。ART FAIR TOKYO2025にHECTAREより 出品予定。

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〇上記作品

宮原 嵩広

「Block sculpture collarbone」

鎖骨のチタンプレート、レジン、石

H16.5 × W22.0 × D10.0 cm

 

■宮原嵩広 Takahiro Miyahara

1982年埼玉県生まれ。

特殊メイクの技法を習得後、東京藝術大学彫刻科にて近代彫刻をベースにもの派やミニマルアートを学び、技術や素材にとらわれない新たな彫刻の展開を試みている。

2012年に大学院を修了後にニューヨーク・アーモリーショーでデビュー。

2016年にGTU大学院神学専攻で研究員を務める。

近作では天然素材とケミカル素材を合わせて用い、物の存在を問いかける兆候的な作品を制作し、物質の純粋性をテーマに立体、インスタレーション作品を発表している。

近年ではグループショーのディレクションも手がけている。

現在シグネチャー作品のアスファルトの球体群「missing matter」が山梨県北杜市にあるGASBON METABOLISMで展示されている。

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伊勢丹新宿店アートギャラリーでは、日本画、洋画、版画、写真など、ジャンルにこだわらず、くらしの中で楽しんでいただけるアートを展示販売する美術展を週替わりのスケジュールで開催しています。

アンティーク作品から現代美術まで、若手アーティストから巨匠の作品まで、幅広いアートをお楽しみください。

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