
お酒を飲める方も、飲めない方も一緒に楽しめるノンアルコールワインが、近年ますます人気を集めていることをご存知ですか? ノンアルコールワインの基礎知識から最新事情、おすすめの銘柄まで、ワインディレクターの田邉公一氏にお伺いしました。
1. ノンアルコールワインの基礎知識・楽しみ方
ノンアルコールワインの潮流は?
ノンアルコールワインが日本で本格的に取り扱われるようになってきたのは、2000年代中盤に入ってからと、まだ新しいカテゴリーの飲料だといえますが、需要の高まりにつれてよりワインに近い味わいのものも増加。現在では飲食店や小売店でも数多く取り扱われています。最近では新型コロナウイルスの影響により、飲食店でのアルコール飲料の提供が困難になったことで、より注目を集めることとなりました。また自宅でお酒を楽しまれる方が増加したことで、休肝日やランチに飲むワインの代わりとしても人気が高まり、ワイン専門誌で特集が組まれることも。世界的にもあえてお酒を飲まないライフスタイル「ソーバキュリアス」や、ライトなアルコール飲料が好まれる潮流があり、ますますノンアルコールワインに注目が集まっています。
ノンアルコールワインの味わいは?
ノンアルコールワインは甘いのではと思われがちですが、実際は辛口がほとんど。ワインのアルコールは渋みやボディの厚みなど飲みごたえに影響しますが、最近では技術革新が進み、ノンアルコールワインだと言われなければ気づかないほどのものも登場しています。とくにスパークリングワインは完成度が高い印象。ワインと同じような洗練されたラベルデザインも増えており、ワイングラスに注げばよりワイン気分で楽しめます。
ノンアルコールワインの造り方は?
ノンアルコールワインには大きく分けて2つの製法があります。ひとつはワインからアルコールを取り除く【脱アルコール製法】、もうひとつがワインに【アルコールを生成させない製法】です。
【脱アルコール製法】
ワインを減圧蒸留してアルコールを取り除く「蒸留法」、半透膜でアルコールと水を除去したものに水分を加える「逆浸透法」、遠心力でアルコールと香りを分離して香りだけを戻す「スピニングコーンカラム」などの方法があります。実際のワインから造られるため、ワインの風味や香りがしっかり感じられるものが多いです。
【アルコールを生成させない製法】
ぶどうの発酵のもととなる糖分を減らしたり、発酵を途中で止めたりすることで、そもそもアルコールを生成しないないように製造。ぶどう果汁の味わいに近く飲みやすいノンアルコールワインに仕上がります。ちなみに麹を使った甘酒などでもこの製法が使用されています。
妊娠中や授乳期に飲んでも大丈夫?
アルコール度が1%未満であれば「ノンアルコール」と表記できるため、ノンアルコールワインには微量のアルコールが含まれている場合があります。妊娠中や授乳期、アルコールに弱い方、車の運転をされる方などは、商品の表示をしっかりと確認し、アルコール0.0%または0.00%のものをセレクトすれば安心です。なお法律上は問題ありませんが、本物のワインと似た味わいなので未成年の方が飲むのは避けたほうがよいでしょう。
ブドウジュースとノンアルコールワインの違いは?
ブドウジュースがブドウを絞った果汁そのままなのに対し、ノンアルコールワインはブドウ果汁を発酵させて造られます。ノンアルコールワインは料理と合わせることで味わいが広がります。通常のワイン同様、料理とのマリアージュを楽しめます。
気になるカロリーは?
通常のワインに比べてアルコールがない分、カロリーが抑えられているものが多いです。一方、ワインから脱アルコール製法で造られたノンアルコールワインであれば、赤ワインと同様、ポリフェノールが含まれるなど、通常のワインと同様の成分による効能も期待できます。
ノンアルコールワインも熟成できる?
熟成にはアルコール分が必須となるため、ノンアルコールワインは熟成できません。またワインと異なりノンアルコールワインには賞味期限があるので、購入後はなるべく早くお飲みください。
ノンアルコールワインの価格は?
通常のワインよりも製造の工程が多くなることもあるため、どうしてもコストがかかってしまいます。1,000円~2,000円台のものが一般的です。
ノンアルコールワインの生産国は?
アメリカ、フランス、そして意外かもしれませんがベルギーが多いです。ベルギーはフランスやドイツの近くでワイン文化もありながら、自国ではワインを盛んに造れない環境だからこそ、ノンアルコールワイン造りに強みを見出したのかもしれません。
ノンアルコールワインの種類は?
現在、ノンアルコールワインの主な種類は「赤」「白」「ロゼ」「白発泡」「ロゼ発泡」の5種類。それぞれ通常のワインと味わいの特徴やペアリングの考え方は同じですが、まだまだ銘柄が少ないため、たとえば既存のコース料理とのペアリングをノンアルコールワインのみで組み立てるのは難しいかもしれません。ノンアルコールワインそれぞれのキャラクターから相性のいい料理を選んでみるのもおすすめです。通常のワインと同様に温度にもこだわり、ワイングラスでお楽しみください。
初めてのノンアルコールワインの選び方は?
初めて飲む方にはスパークリングのノンアルコールワインがおすすめです。スパークリングには比較的再現度の高いものが多く、フルートグラスに注ぐと目にも楽しくまさにワインを飲んでいる感覚に。また食事に合わせて、ブドウの品種で選ぶのもいいでしょう。
2. 田邉公一氏おすすめノンアルコールワイン6選
※こちらの商品は20歳以上の成人の飲用を想定・推奨しています。
リアルな味わいで選ぶならこの2本!
1.〈ネオブル〉ヴィンテンス スパークリング
〈ネオブル〉ヴィンテンス スパークリング 1,292円(750ml/白発泡/ベルギー製)
パプ・クレマンを手掛けるベルナール・マグレが厳選した良質なブドウでワインを造ってからアルコールだけを抜いた、アルコール含有量0.0%のノンアルコールワイン。通常のスパークリングワインと比較しても非常にリアルな味わいで、きめ細かな泡立ちが楽しめます。ヴィンテンス スパークリングは溌剌としたシトラス、レモンなど柑橘系の香り、またマスカットを想わせるほのかな甘みがあり、味わいのバランスがよくエレガント。
2.〈ネオブル〉ヴィンテンス スパークリング ロゼ
〈ネオブル〉ヴィンテンス スパークリング ロゼ 1,292円(750ml/ロゼ発泡/ベルギー製)
ヴィンテンス スパークリング ロゼは、芳醇さを感じる優雅な香り、イチゴやラズベリーのニュアンス、赤系果実のバランスのとれた味わいが魅力です。
おいしさで選ぶならこの白と赤!
3.〈ウォーターブルック〉クリーン シャルドネ
〈ウォーターブルック〉クリーン シャルドネ 2,592円(750ml/白/アメリカ製)
ウォーターブルックワイナリーが自信を持って造ったワインから、最新技術「スピニングコーンカラム法(薄膜式の真空蒸留法)」でアルコールを除去。エッセンス・ストリップと言われるワインの最も揮発性の高いアロマを優しく抽出し、アルコールを除去した後にこのエッセンスを戻すことで、ワイン本来の風味の多くを維持する事ができるのです。
シャルドネは瑞々しい樹木の果実、ゴールデン・デリシャス・アップルと地元でとれる蜂蜜の香りに、バニラやトーストのニュアンスを感じます。
4.〈ウォーターブルック〉クリーン カベルネ・ソーヴィニヨン
〈ウォーターブルック〉クリーン カベルネ・ソーヴィニヨン 2,592円(750ml/赤/アメリカ製)
カベルネソーヴィニヨンはブラックベリーとダークチェリーの香りに、オークのニュアンス、フィニッシュにはココアパウダーとスパイスが香ります。ノンアルコール赤ワインの中でも高い完成度を誇ります。
完成度の高いノンアルコールスパークリング
5. 〈ドメーヌ ピエール シャヴァン〉ジョエア オーガニック スパークリング シャルドネ
〈ドメーヌ ピエール シャヴァン〉ジョエア オーガニック スパークリング シャルドネ 1,512円(750ml/白発泡/フランス製)
脱アルコールワインとブドウジュースのブレンド製法により、香りの華やかさと、ワインらしいドライな味わいの両方を実現。
アルコール度数0.1未満でありながらも、スパークリングワイン風味に仕立てた本格的派の仕上がりとなっております。ふくよかな果実味とすっきりとした酸味があり、フードフレンドリーな味わいです。
6.〈ピエール・シャヴァン〉ピエールゼロ ロゼ・スパークリング
〈ピエール・シャヴァン〉ピエールゼロ ロゼ・スパークリング 1,512円(750ml/ロゼ発泡/フランス製)
ロゼ・スパークリングはシャルドネとメルロー由来のチャーミングな味わいが心地よく、チェリーのような新鮮なフルーツの香りが魅力的。口に含むとフルーティで飲みやすい印象ですが、後味はしっかりドライな本格派です。