コーヒーとクッキーと大切な人と。
北欧の生活に欠かせない「フィーカ」という習慣

北欧には、家族や同僚と一緒にコーヒーと焼菓子を楽しみながらひと息つく「フィーカ」という習慣があります。そんな北欧文化を広めるために誕生したのが、三越伊勢丹限定で展開する北欧菓子専門店〈フィーカ〉。今回はブランド立ち上げにも携わった伊勢丹新宿店食品バイヤーの川口輝彦に、北欧の食文化の魅力や〈フィーカ〉開発秘話について聞きました。三越伊勢丹が、北欧の暮らしに欠かせない「デザイン」や「フィーカ」という習慣をヒントに「しあわせな“冬ごもり”」をご提案。寒い冬のお家時間を豊かにするリビングアイテムや三越伊勢丹オリジナルブランド〈フィーカ〉のクッキーをご紹介します。

北欧には、家族や同僚と一緒にコーヒーと焼菓子を楽しみながらひと息つく「フィーカ」という習慣があります。そんな北欧文化を広めるために誕生したのが、三越伊勢丹限定で展開する北欧菓子専門店〈フィーカ〉。今回はブランド立ち上げにも携わった伊勢丹新宿店食品バイヤーの川口輝彦に、北欧の食文化の魅力や〈フィーカ〉開発秘話について聞きました。

食品バイヤーが語る〈フィーカ〉誕生のきっかけ

食品・レストラン バイヤー 川口輝彦

私たちが北欧菓子専門店のブランド〈フィーカ〉を作ることにしたのは、食品フロアで感じたある違和感がきっかけです。食品バイヤーとしてさまざまなお菓子やショップと関わってきましたが、フロアを見渡すと百貨店にあるほとんどのお菓子が見たことのある「洋菓子」なんです。世界にはたくさんの国があり、そのひとつ一つに伝統のお菓子がある。常に新しい発見や出会いをお届けするのが百貨店の役目だと考える中で、まだまだご紹介できていないものがたくさんあることに気がついたんです。

―北欧ブーム到来。注目したのは「フィーカ」という習慣

ここ数年、北欧のライフスタイルが人気を集めていますよね。伊勢丹でも北欧をテーマにした催しを何度か開催しました。しかし、「北欧=デザイン」というのが一般的なイメージで、「食」はそれほど注目されていないのが現実。食品バイヤーとしては北欧の食文化こそ、たくさんの人に知ってもらいたいなと。というのも、北欧の食卓は「食の本質」だと思うんです。食べるだけの満足ではなく、いつ、誰とどのようなシチュエーションで食べるかで、幸福感やおいしさは変わるはずです。スウェーデンには「お茶をする」という意味を持つ「フィーカ」という習慣があります。ただ、お茶を飲んで一服するのではなく、家族や同僚と一緒に、コーヒーと焼き菓子を食べながら団欒する時間として非常に大切にされています。その習慣こそ、我々が商品を通してお伝えすべきことなのではないかと感じたのです。

―北欧の本質を味わう、素朴なお菓子

「フィーカ」という習慣をお伝えするために、北欧のお菓子について調査を始めたのですが、ある問題に直面しました。北欧菓子は、フランス菓子のような華やかなものではなく、味も見た目も素朴なものがほとんどだったんです。SNSなどの普及により、ビジュアルを意識される方が増えた現代にマッチするだろうか…という不安もありました。だけど北欧のリアルをそのまま発信しないと意味がないなと。そして、北欧の暮らしや習慣をより身近に感じていただくために、味も見た目も細かく再現し、「フィーカ」という習慣を伝える三越伊勢丹で限定展開する北欧菓子専門店〈フィーカ〉を立ち上げることにしたのです。

〈フィーカ〉のクッキーをたくさんの人に届けるために

実際にスウェーデンを中心に北欧の国々のお菓子屋、スーパーを周り、さまざまな種類のお菓子を食べました。そしてどの店にも必ず置いてある定番のクッキーをいくつか商品化することにしたんです。現地の本屋でレシピ本を購入して試作を繰り返しました。出来上がったのは、ほろっと崩れるやわらかな食感のクッキーに、フルーツジャムをのせたお菓子。伝統の味は再現できたのですが、この素朴なお菓子をどのようにお客さまにお届けするかというのが、次の課題でした。

そこで、まず取りかかったのがブランドの世界観を作ること。パッケージデザインを北欧の作家さんに描いていただき、北欧らしさを演出しました。あたたかみのある北欧デザインが、素朴だけど、どこか懐かしさを感じる〈フィーカ〉のお菓子を引き立ててくれます。

〈フィーカ〉ハッロングロットル(赤箱)・ドロンマル(黄箱)・クッキーアソート(青箱/クリスマス限定パッケージ)各1,080円
※クリスマス限定パッケージは数に限りがございますので、品切れの際はご容赦ください。
□伊勢丹新宿店本館地下1階=フィーカ

また、北欧をテーマにした映画とのコラボレーションなども行っています。入口を広げることで、いろんな人に興味を持ってもらうきっかけになればなと。〈フィーカ〉や映画を通して、北欧の習慣や魅力をお伝えしたいです。

〈フィーカ×リンドグレーン〉 1,080円
※店頭販売は終了しました。
□伊勢丹新宿店本館地下1階=フィーカ

―〈フィーカ〉のお菓子を人と人とをつなげるツールに

〈フィーカ〉のお菓子は基本、同サイズ、均一価格でご提供しています。それは、よりカジュアルに誰かと繋がるためのツールでありたいから。久しぶりに会う友人やいつもお世話になっている人などに、手軽なギフトとして贈れるサイズ感と価格感を意識しています。

北欧の習慣を取り入れると、暮らしが少し豊かになった

実は私、北欧の習慣を2つ私生活に取り入れているんです。1つ目は「家族や友人とゆっくり過ごす時間を作る」こと。つまり「フィーカ」そのものですね。コーヒーとお菓子を用意してひと息つく時間は、私にとって特別なひと時です。さらに楽しみなのが、そのフィーカタイムに、どのようなお菓子とドリンクの組み合わせをチョイスするか。

例えば、寒い日には〈フィーカ〉のクッキーにホットワインを合わせて楽しみます。また、ベリー系のお菓子にはさわやかな炭酸ドリンクが合うので、北欧の子供たちに人気のレモンスカッシュなどと一緒に味わうのもおすすめです。

左:ドロンマル(プレーン) 右:ハッロングロットル(ストロベリー)
※ワインは参考商品です。
□伊勢丹新宿店本館地下1階=フィーカ

2つ目の習慣は、「限られた物を大切に使う」ということ。北欧では古いものを大切に使い続けるご家庭が多いです。良い物を中古で買って、使わなくなったらまた売りに出したり、友人に譲りわたす…。そのように、大切な物を長く繋いでいくという習慣が素敵だなと。私自身、新品を買うよりもフリーマーケットや骨董市などで掘り出し物を見つけるのが好きで、いろんな国の食器を集めています。

ハッロングロットル(アプリコット)&フィンスカピンナー

集めたお皿は、私の食卓を華やかに、そして料理をおいしくしてくれるアイテムなんです。例えば、同じ水を飲むにしても、紙コップとグラスではおいしさが違う気がしますよね。そのように、食べるものによってお皿を変えるなどして、食卓の環境を整えることは、料理を手軽においしくする秘訣だと思います。「あれもこれも」ではなく、今ある限られた物の中でいかに楽しむか、という北欧の人々の意識や習慣を、私自身これからも大切したいです。



※価格はすべて税込です。