
伊勢丹新宿店の視点で今を切り取るTHE MOMENTS。今回のテーマは「TSUGI」。今知っておきたい次世代のブランドとしてメンズ館がピックアップするのが<M A S U/エムエーエスユー>です。メンズ館6階の店頭スタッフでもありブランドの大ファンを公言する福村豪と、次に注目すべきクリエイターを取り上げているファッションメディアとしても推しブランドとして挙げるQUIの武者結花子さんが<エムエーエスユー>の魅力について語り合います。
M A S U/エムエーエスユー
Designer 後藤愼平
<エムエーエスユー>は丁寧語の「ます」が由来で、使い慣らされた言語表現さえも再評価し、字面の通り、丁寧な態度を貫くブランドであり続ける意志がその名に込められている。少年期から後藤氏を魅了し続けているヴィンテージウェアの思想や哲学、時代背景、心躍るアイデアはコレクションに多大な影響を与えている要素に。歴史の蓄積が作り出した衣服の型や素材がもつ記号に誠実に向き合い、時代を超えて愛される「誰かにとってのヴィンテージになり得る服づくり」を標榜している。
QUI/クイ
革新的な視点をもった取り組み、独自性と熱量にあふれたクリエイション、生まれたてのブランドなど、東京をベースにさまざまな「気鋭」にフォーカスし独自の視点で発信するクリエイティブプラットフォーム。
シーズンによって同じブランドとは思えない大胆な変化

武者:最初にブランドとの出会いをお聞きしたいのですが、まずはこちらからお話ししますね。私はQUIという、今回の「THE MOMENTS」のように「次」を意識したファッションメディアでエディターをやっているのですが、あるときファッションライターに「QUIの特集にぴったりのブランドがあるよ」って紹介してもらったのが<エムエーエスユー>でした。デザイナーの後藤愼平さんにお会いするためにアトリエに訪れたらアーカイブのアイテムがずらっと並んでいて、ヴィンテージの雰囲気を漂わす独特のバランス感覚にひと目で魅了されたことを今でもよく覚えています。
福村:僕が最初に目にしたのはSNSでした。それから2020年にメンズ館2階で<エムエーエスユー>のポップアップを開催したときに担当としてイベントに携わりました。アイテムの実物を見たのはそこが初めてだったのですが、ヴィンテージの雰囲気というのはよくわかります。ポップアップではメンズ館のエクスクルーシブとして60〜70年代のヴィンテージシャツに刺繍やボタンではなくジップでリメイクした一点物を作っていただきました。
武者:そのときのポップアップの反響はどうでしたか?
福村:エクスクルーシブのアイテムなどは即完売でした。ちょうどコロナで服が売れにくい時期にも関わらず、売れていくのを目にして,ファンの方々の熱量をとても感じてすごいブランドだなと思いました。
武者:ストレートな質問になりますが、福村さんは<エムエーエスユー>のどこが好きですか?
福村:服そのものにユーモアがあるところです。武者さんはご存知だと思いますが、<エムエーエスユー>ってシーズンによってコレクションの表情やテイストをガラッと変えてくるじゃないですか。

武者:本当に同じブランドで、同じデザイナーが手がけたのかって思ってしまうぐらいシーズンによって違いますよね。
福村:そうですね。その大胆な変化の中にも後藤さんのバックボーンを感じますし、 ファンもそれを体感できているんじゃないでしょうか。
武者:私も同じような意見です。<エムエーエスユー>は飽きさせない変化があるブランドですよね。コレクションを大きく変えることに躊躇がないですし、思い切りがあります。
個性がありながらも着回し力にも優れたアイテムたち
武者:私は「その日に何をしたか、どこへ出かけたか」というのを服装に絡ませて記憶しているので毎日違うスタイリングを組むのですが、<エムエーエスユー>のアイテムは登場回数が多いです。つまり、どんなブランドのどんなアイテムとも合わせやすいんですよ。
福村:ぱっと見だと派手だったり、着回しが難しいように感じる方も絶対にいると思うのですが、実はコーディネートに馴染みやすいですよね。
武者:です(笑)。古着とも相性は抜群ですよね。今日は私も福村さんも着こなしは<エムエーエスユー>ですが、福村さんは愛用の一着などはありますか。


福村:最近のお気に入りはユニコーン柄のニットカーディガンです。ポップな柄でも少しダメージ感もあるところが後藤さんらしいと思いますし、着心地も良くて暖かい。あとはデザインはカーゴパンツなのに透け感がある女性らしいテイストというのに新しさを感じているシースルーパンツもかなり愛用しています。デニムパンツやスウェットとのレイヤードで遊びのあるスタイルを楽しんでいます。武者さんはどうですか?

武者:今日着ているジャケットはディテールにクラフトっぽい要素が入っているので、ちょっとほっこりとした気分のときに選ぶことが多いかもしれないです。表情はシンプルなので過剰にレイヤードを楽しみたいというときも着ていますね。今日のスタイリングなんてまさにそうです。
メンズ館ではファンの年齢層も年々幅広くなっている
武者:メンズ館ではどのような方が<エムエーエスユー>を購入されていますか。
福村:中心は20代になるのですが、普段はメンズ館でラグジュアリーブランドを 購入されている40代、50代の方からも選ばれ始めていますね。ジェンダーレスのエッセンスを感じるブランドなのですが、ヴィンテージに精通する後藤さんが提案したい男性像というのもアイテムからは見えてきます。なので大人の方ほど「自分のワードローブにはない」と魅力を感じるんだと思います。最近はメンズ館にも女性のお客さまが増えているのですが、<エムエーエスユー>が目当てというのも珍しくないです。
武者:「新しい男性像」というのは私も<エムエーエスユー>から感じます。 今回の私と福村さんの対談は「注目すべき次のブランド」というのがテーマでありますが、<エムエーエスユー>はダントツですよね。
福村:はい、僕もダントツだと思います。
武者:<エムエーエスユー>はFASHION PRIZE OF TOKYO 2024を受賞しましたが、事前にQUIのスタッフたちとも「今年は誰だろうね」って話したこともありました。そのときに全員が「<エムエーエスユー>でしょ」って声を揃えたんです。 日頃からファッション業界と関わっている私たちは、それぐらい各方面から<エムエーエスユー>の勢いのようなものを感じていました。
福村:2023年の1月に<エムエーエスユー>が横浜で開催したイベントに僕も足を運ばせていただきましたが、<エムユーエスユー>好きの方から僕らのような業界関係者が一同に集まって、それはすごい熱気でした。前日の夜中から並ばれている方もいらっしゃったと聞いています。

武者:後藤さんって愛がありますよね。「今シーズンはこれを作りました」と一方通行ではなくて、ブランドが目指しているところにファンも一緒に連れて行ってくれるような。お子さんが生まれた後の2024年の春夏コレクションにはシルバニアファミリーが登場して、そこからインスピレーションを得たと思わせるような素材使いもありました。お子さんの純粋無垢な視点が取り入れられていると家族愛を感じて、こちらも温かい気持ちになりました。

福村:もともとがレディースのエッセンスをメンズウェアに巧みに落とし込むブランドですが、2024年の春はレディースウェアそのもののようなこれまでのファンの方でも驚くようなラインナップです。コレクションの詳細はメンズ館のポップアップでご確認いただければと思います(笑)。
自分が解き放たれるような感覚を楽しんでほしい
福村:来店されたお客さまが<エムエーエスユー>の服を着ているとうれしくなって「ですよね?」って声をかけたくなるんですよ。その感覚ってわかります?。
武者:わかります!私は新潟に住んでいるのですが、新潟市内でも着ている人を 見かけるようになりました。以前、市内からは離れた場所で<エムエーエスユー>のジャケットを着ている男性に遭遇して、「こんなところにもファンがいる!」と思わず話しかけましたから(笑)。
福村:<エムエーエスユー>のファンって振り切っているぐらいのデザインが 大好きじゃないですか。
武者:大好きですね。
福村:なので僕は展示会で買い付ける商品を考える時に「これを着こなせる人はいるのかな」と思うぐらいのアイテムも選ぶようにしています。そういった考えさせられる服をどう着たらいいか提案するのが僕らの仕事ですし実際にそういうエッジの効いたアイテムほど売れますね。
武者:私は新しいスタイリングに挑戦したいなら<エムエーエスユー>ほどぴったりのブランドはないと思っています。<エムエーエスユー>のアイテムを一点加えるだけでもいつもの着こなしがアップデートされますから。
福村:<エムエーエスユー>って毎シーズン、こちらの想像を超えてくるようなことをするじゃないですか。定番とされているアイテムですらアレンジして、後藤さんは定番の定義すら変えています。ファッションを自己表現として捉えるならこれほど推したいブランドはないですね。自分が解き放たれるような服が<エムエーエスユー>なので、ぜひ多くの人に楽しんでもらいたいです。
武者:本日はブランド愛が強い福村さんとお話しできて本当に楽しかったです。 ありがとうございました。
福村:こちらこそありがとうございます。

M A S U BOYS LAND
□2024年1月31日(水)~2月6日(火)
□伊勢丹新宿店 メンズ館1階 ザ・ステージ

<エムエーエスユー>ボンバージャケット 59,400円

<エムエーエスユー>ダブルフェイスコート 121,000円

<エムエーエスユー>シューズ 15,400円