【2026年度入学】工場レポート!三越伊勢丹オリジナルランドセル<ロイスター>ができるまで

三越伊勢丹のオリジナルランドセル<ロイスター>。たくさんのこだわりと想いがつまったランドセルが、大切なお子さまたちの手に届くまでの工程をレポート!福島県にある製造工場と、千葉県にある検品会社に足を運び、ランドセル作りのプロたちにお話を聞いてきました。
※本記事の取材は2023年に行われました。
三越伊勢丹オリジナルランドセル<ロイスター>とは?
まずは<ロイスター>の魅力&機能をおさらい!
学校生活で光り輝く星になってほしいという思いを込め、フィンランド語の「Loistaa(輝く)」と、英語の「Star(星)」を掛け合わせて<ロイスター>と名付けられました。たしかな技術をもった国内工場の職人が、ほとんどの工程を手作業で仕上げています。
<ロイスター>の魅力は「高品質×高機能×ハイデザイン」。
とくに注目の機能は、6年間安心して快適に使っていただくための「しっかりくん」と「ミラくるっロック」です。
型崩れ・折れを防ぐ「しっかりくん」
お子さまのタフな使用、そして6年間という長期間にも対応する耐久性を追求した「しっかりくん」。教科書の取り出し口(大マチ上部)に形状補正樹脂、サイド全体に補強材を入れ、形を保つうえで重要な上部中央に鉄芯を内蔵。型崩れや折れからランドセルを守り「6年間きれいな状態で愛用できること」を可能にしました。
プッシュ&スライドで成長に対応「ミラくるっロック」
金具を押さえるだけで鍵がかかる「ワンタッチロック」で、鍵の閉め忘れや、歩行中に鍵が開く心配もなし!
そして何よりのポイントは、下ひもの金具位置を左右最大4cm動かせること!肩ひもの幅を調整することで、コートを着る冬場やお子さまの成長にも対応。「6年間での身体の成長をサポートすること」を可能にしました。
【製造工場】ランドセルが出来上がるまでをレポート!
裁断からはじまる、ランドセル製造の道のり
<ロイスター>を製造するのは、ランドセルメーカー(株)榮伸。1984年の創業以来『笑顔が浮かぶもの創り』を理念に、毎年たくさんのお子さまにランドセルと笑顔を届けています。お子さまの6年間をサポートする機能「しっかりくん」と「ミラくるっロック」は、(株)榮伸オリジナルの機能です。
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製造工場のある福島県泉崎村、取材時(2023年2月上旬)は雪模様でした。
製造工場は福島県泉崎村。こちらで材料の仕入から検品・梱包まで、一元管理で製造されています。今回ランドセルの製造背景を追うにあたり、(株)榮伸 福島工場のお二人にお話をおうかがいしました。
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橋本 達宏さん
(株)榮伸 福島工場 取締役 工場長
2019年に工場長として着任。それまでは本社でシステム関連を担当。<ロイスター>の誕生にあたっては、企画段階からブランドタグや梱包資材の計画で携わる。
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小林 勇喜さん
(株)榮伸 福島工場 統括次長
入社以来25年、福島工場にてランドセル作りに携わる。製造担当でモノづくりを経験後に企画担当を経て、現在では工場全体を統括。今ではスタンダードになったキューブ型ランドセルの量産化を手掛けた。
ランドセルは、裁断→部材製造→組み立て→検品→梱包・・・という順で出来上がっていきます。但し、ランドセルの仕様は商品によってさまざま。デザインや機能に応じて、どういった手順が良いのか、どの機械を使うのがベストなのか・・・商品ごとに完成に至るまでの道筋はことなるため、それぞれ仕様書を元に設計を考えなければなりません。
工程数は約200、そして使われているパーツの数は約200~300。すべて人の目や手を介して作られていきます。もちろん機械も使用しますが、細かな部分のしつらえまでこだわり、美しく丈夫なランドセルを作るためには、機械だけに任せず人の思考力によるコントロールと、良し悪しを極める目、経験により動く手が不可欠です。製造工場では、「職人と機械のハイブリッドによるモノづくり」を行っていました。すべての工程にバランスよく人が関わることで、あたたかみのあるランドセルが仕上がるのです。
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肩ひもの要所の手縫い作業中。肩ひもベルトは大きく負荷がかかる部分なので、ミシン縫いのほかに、麻の糸で補強のための手縫いをして仕上げます。
手のかかるポイントは?
もっとも難しい工程は、「キューブ型の成形」。工程数が多く、特注した機械を使って形作られます。キューブ型は縁取りがないため、生地の貼り込み時にゆがみが出やすく、機械のコントロールにも高い技術が必要です。
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側面にヘリのないタイプのキューブ型ランドセル。容量はそのままにコンパクトですっきりとしたデザイン。
ちなみに、キューブ型ランドセルの量産を初めて手掛けたのも、(株)榮伸なんです。およそ15年前、当時は大マチの側面にヘリのある学習院型ランドセルと比べて工程が多く、作るにも約2倍の時間を要するキューブ型の量産は不可能と思われていました。そんな中(株)榮伸では、ひとつのサンプルを頼りに、量産化に向けた開発がスタート。「どういう機械が必要か」という議論から始まり、機械の開発、ミシンの選定、そして職人さんの訓練などを経て、安定した製造が可能に。試行錯誤を繰り返したからこそ、よりコンパクトなランドセルを、多くの人にお届けできるようになったのですね。
<ロイスター>製品はすべてキューブ型。スマートなフォルムが魅力的です。
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<ロイスター>
クラリーノキューブランドセル 66,000円
※2025年3月15日(土)午前10時から販売開始
【製造工場】<ロイスター>ならではのこだわりをレポート!
ズバリ!<ロイスター>ならではのこだわりポイントは、「あたたかみのあるふっくらフォルム」
<ロイスター>ランドセルの特徴のひとつが、手作業と機械のハイブリットで作るからこそ生まれる「丸みを帯びたフォルム」。人が関与する工程が多いからこその特徴です。
多くの工程があるランドセル作りでは、工程ごとの“繋ぎ”を考えて作業することが大切なんだそう。機械だけでは独立した工程の組み合わせに留まるので、どうしても角ばった仕上がりになってしまう。一方で人の手と目を加えることで、工程前後のコンディションを見て次の作業をコントロールでき、一つの製品として綺麗にまとまるのです。仕上がりをイメージしながら一つひとつの工程を繋いでいくには、人の手と目が欠かせないということですね。
余談ですが、<ロイスター>ランドセルへの第一印象は「ふっくらと丸みがあって触りたくなる」。その印象の根拠はどこだろう?とずっと不思議だったのですが、今回工場の方々のお話を聞き、作業工程を見ることでその謎が解明され、とても感動しました!
機能 1「しっかりくん」開発秘話とその工程
「ランドセルの側面を補強する」という発想はどのメーカーにもあり、それぞれの機能で実現していました。それを側面だけでなく、前面も含めた「三方全周で補強する」というこだわりの設計が、<ロイスター>にも搭載されている「しっかりくん」。両側面と前面が繋がっていることで、衝撃を受けやすい「角」の部分も補強され、より型崩れしづらい設計になっています。
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写真中央、手で持っているのが<ロイスター>独自の補強材。コの字型に取り付けられ、一つのパーツで前面・両側面を補強できる。
前面には形状補正樹脂だけでなく鉄芯も内蔵し、広い大マチ横幅を支えています。この機能は、実際にランドセルを横にして上から押してみると、その強さがわかります。ぜひ店頭のサンプルで試してみてくださいね。ちなみに今の「しっかりくん」の前身となる機能は、なんと25年前には登場。その後改良を重ね、今の形にたどり着きました。
機能 2「ミラくるっロック」開発秘話
お子さまが6年間の成長を経ても背負いやすいランドセルを作りたい!という想いで開発された「ミラくるっロック」。現段階では(株)榮伸だけのオリジナル機能です。(<ロイスター>以外にも、(株)榮伸の手掛けるランドセルに搭載されています。)
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「ミラくるロック」取付工程
ご家族にとってもっとも大切な「お子さまの身体の成長」も、ランドセルにとっては重要な課題。その部分を技術で解決しているところが素晴らしいですよね。

6年間どうやって一つの商品で対応しようかと考えた背景があります。
今の「ミラくるっロック」の前身となる機能も、25年前には登場していたんだとか。ずっと前からお子さまのことを想い、技術開発が行われてきたんですね。
6年間大切に使ってもらいたい!安全性、耐久性の決め手は?
<ロイスター>ランドセルの安全性のポイントは、反射材が点ではなく「線」や「面」で入っていること。ワンポイントの反射材や反射金具では、お子さまの手などに隠れてしまうことも。肩ひもやかぶせ、持ち手の形に沿って線状に反射材を施し、一部が隠れてしまっても、別の部分が反射するようにしています。
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肩ひもには縦に長い線状に反射材が。持ち手にも、カーブに沿って前面を向くように反射材が施されている。
線状に反射材を施すのにも、実は高い技術が必要です。
(株)榮伸で使われている持ち手には、持ちやすい形にするために特殊な円柱状の芯が入っています。そういった立体的なものをカーブさせて縫い上げるには高い技術が必要で、持ち手部分に反射材を施すのがもっとも難しいそう。細かなところまでこだわりが詰まっているのですね。
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持ち手の取り付け工程
耐久性のポイントとしては、「手縫い」が挙げられます。「要所手縫い」といって、負荷がかかりやすい部分に丈夫な麻糸で手縫いを施し、補強をしています。
ミシンによる縫い目ももちろん丈夫ですが、上糸・下糸で縫い合わせる構造のため一か所が切れるとほどけてしまいます。手縫いの場合は一か所切れても、糸を引き抜かない限りはほどけにくく、切れ目以外の部分は縫い合わさった状態を保つのです。長くお使いいただくために、こういったひと手間が加えられているんですね。
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実際に「要所手縫い」が施されたランドセル。肩ひもの根本部分に白い麻の糸で手縫いが施されている。
【検品会社】ランドセルが手に届く前に!目を光らせた検品現場をレポート!
ランドセルの検品工程を追う。そのこだわりは?
福島の工場で作られたランドセルは、千葉県市川市にある検品会社(株)セキグチへ。最終検品を行う(株)セキグチは、1972年の創業以来、安心してファッションを楽しんでいただけるよう、たしかな目で商品検品を行っています。
ランドセルは、仕様書を元に作ったチェックリストに沿って検品を行います。チェック項目はなんと100以上!プロの目と手で一つずつ丁寧に確認していきます。
特に金属部品は入念にチェック。金具が機能しているかどうかだけでなく、バリ(加工する際に出る出っ張り)がないかを慎重に検品します。汚れのチェックも細部まで。ランドセルはのりを使う工程が多いので、のりが残っていないかを隠れている部分までチェックします。
パターンメイドランドセルの仕様もここで最終確認。お客さまの注文内容と違いがないか、9カ所のオーダー項目を一つずつチェック!
検品項目をすべてクリアしたら、次はX線検査の工程へ。ここでは商品にX線を照射し、角度を変えて2方向から撮影します。
機械を通すと、2つのモニターにそれぞれの角度から撮影した画像が映し出され、異物の混入がないかを検査します。ランドセルは金属パーツを複数使っているため、通常使用しない異物が混入していても分かりにくいのだそう。ランドセルの構造を熟知したプロの目による見極めが、非常に重要です。
ランドセルはほかのアイテムに比べても、検品箇所がとても多いのだとか。検品場には張り詰めた緊張感が漂い、スタッフの皆さんの商品を見る真剣なまなざしが、とても印象的でした。
ランドセル作りに携わる職人・プロの想い
最後に、(株)榮伸・福島工場で工場長を務める橋本さん、統括次長の小林さんへのインタビューをお届けします。
―ランドセル作りで、大切にしていることを教えてください
橋本さん:(株)榮伸のモットーでもある「笑顔が浮かぶもの創り」を念頭に、ランドセルを買う時だけではなく、実際に使った時の満足を大切にしています。
―ランドセル作りにやりがいを感じる瞬間を教えてください。
橋本さん:実際に販売に携わった際にお客さまの笑顔を見た時。ランドセルほど皆が笑顔になれる買い物はないですよね。
小林さん:地元の学校ではランドセル工場の見学を実施しています。自分の子どもが見学に来た時は特にこの仕事を誇らしく思いました。ランドセルは子どもたち皆が使うものだから、そういったモノづくりができることが嬉しく、さらに良いものを作りたいと工場の皆とよく話しています。
<ロイスター>を背負う新一年生にメッセージを!

ランドセルはおじいさんおばあさん、お父さんお母さんの愛情が詰まっているものですから、6年間大切に可愛がってくださいね。

6年間毎日持っていくものなので、一緒に成長していく過程をランドセルと一緒に味わってもらえたら、作っている私たちも幸せです。
編集後記
今回<ロイスター>のランドセルができるまでを追って、改めてお客さまにお伝えしたいのは、関わる人皆がランドセルを選び、買う時のことだけでなく、「6年間使うこと」を大切にモノづくりしている、ということです。
お子さまの6年間の成長をサポートする機能があること。低学年から高学年にかけてお子さまの生活が変化する中でも、毎日を一緒に過ごせる耐久性があること。その6年間を見据えた視点が<ロイスター>ならではのこだわりなのです。さらにそれらの機能を、軽量・容量とのベストバランスで実現しているところが<ロイスター>ランドセルをおすすめするポイントです!
毎日使うランドセルだからこそ、6年間の成長や生活の変化もご考慮いただき、その品質にぜひ目を向けてお選びいただけると嬉しいです。<ロイスター>をはじめとする三越伊勢丹のオリジナルランドセルでは、お子さまの学校生活を安全・快適にサポートするための品質と機能をこれからも大切にしていきたいと思います。
箱を作るのではなく、中に入っているものを包み込むようなイメージ。
ぬくもりを感じるということを大切にしています。