オレンジワインとは?合う料理やおすすめ3選をソムリエがご紹介【2022年】

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近年、耳にすることの多くなった「オレンジワイン」。赤・白・ロゼに並ぶ新しいカテゴリとして世界的に注目を集めています。まだまだ知られざるオレンジワインの基礎知識から楽しみ方、おすすめの銘柄まで、伊勢丹新宿店グランドカーヴの専属ソムリエ・宮沢 典芳がご案内します。

1. オレンジワインの基礎知識

オレンジワインとは?

オレンジといってもフルーツのオレンジで作られたワインではありません。赤・白・ロゼと同様に、ワインの色味に由来してオレンジワインと名付けられました。日本で話題になったのは2019年ぐらいからですがその歴史は古く、ワイン発祥の地とされる東欧の国、ジョージアにルーツがあります。ジョージアの伝統的なワイン製法では、素焼きの甕を地中に埋め込み、踏み潰したブドウを房ごとその中に投入して醸します。白ブドウも果皮や種と一緒に発酵することで琥珀色に色づき、「アンバーワイン」と呼ばれていましたが、それが現在では世界的に「オレンジワイン」として知られるようになりました。

オレンジワインの人気の理由は?

ジョージアで古くから作られていた「アンバーワイン」に目をつけたのが、イタリアの自然派(ナチュール)生産者。赤ワインはタンニンがある分、酸化防止剤(亜硫酸塩)の添加を抑えることができますが、タンニンを含まない白ワインではそれが難しくなります。一方、オレンジワインは赤ワインと同様にタンニンを含むため、酸化防止剤の添加を抑えることができるのです。そのことから多くの自然派生産者たちが、白ワインをオレンジワインとして造りはじめました。もうひとつの理由が、新しいカテゴリであること。いままでのワインにない味わいにより、新たなペアリングができるということもオレンジワインの魅力です。たとえば従来のワインと合わせるのが難しかった香辛料の効いた料理などにもオレンジワインは良く合い、多くのエスニック料理店でも取扱われるようになりました。

オレンジワインの造り方は?

一般的に、白ワインは白ブドウをプレスしたジュースを発酵させて、赤ワインは黒ブドウの果皮と種も一緒に漬け込んで色素や渋みなどを出して発酵させます。そしてオレンジワインは、白ブドウを使って赤ワインのように造ったワイン。黒ブドウを使って白ワインのように作るロゼワインと対極ともいえる存在です。原料となる白ブドウの品種は多種多様。アロマティックな品種、酸の強い品種を使うことが多いようです。

オレンジワインの産地は?

オレンジワイン(アンバーワイン)の発祥地であるジョージア、オレンジワインを世界に広めたイタリアを中心に、フランスのアルザスやオーストラリア、日本では甲州など世界各地で作られています。例えばボルドーやブルゴーニュなどの伝統的な生産者が取り組んでいる例はまだあまり見られませんが、新しい挑戦に意欲的な生産者が取り組んでいる印象です。

オレンジワインのおいしい飲み方は?

オレンジワインの味わいは、白ワインらしいアロマティックな香りと、赤ワインの渋味や苦味を併せ持ち、紅茶のようなニュアンスが感じられます。一般的には熟成を図るよりも、フレッシュなタイミングで飲んだほうがおいしく楽しめるでしょう。12~14度ぐらいを目安に少し冷やして、小さめのグラスでぬるくなる前に飲むのがおすすめです。

オレンジワインに合う料理は?

オレンジワインはこれまでにないマリアージュの可能性が魅力です。とくにワインを合わせることが難しいとされていたインド料理や韓国料理など、スパイシーなエスニック料理、アジア料理によく合い、いまでは定番の組み合わせとなっています。甘みがあるので、味噌を使った和食、鮭のちゃんちゃん焼きなどにも合うでしょう。赤か白か迷ったら、オレンジワインをチョイスしてみてはいかがでしょうか。紅茶のようなニュアンスがあり爽やかなものも多いので、休日の華やかなランチタイムにもおすすめです。

オレンジワインの選び方は?

新しいカテゴリなのでまだ銘柄は少ないですが、飲んでみないとわからないことも多いオレンジワイン。選び方のセオリーは、使用しているブドウ品種をイメージすることですが、オレンジワインで使用される品種は多種多様なため難しいかもしれません。味わいを大別すると香りが華やかなタイプとさっぱり飲めるタイプに分かれるので、お好みのタイプをイメージしながらソムリエにご相談ください。価格帯はまだ新しいカテゴリなこともあって、4,000円~5,000円と少し高めのものが多い印象です。極端に高級なものや安価なものはあまり見られません。

2. おすすめのオレンジワイン3選

1. クラシックなジョージア産オレンジワイン

  • <ヴァジアニ>キシ クヴェヴリ 2017の画像

    <ヴァジアニ>キシ クヴェヴリ 2017 3,850円
    □三越伊勢丹オンラインストア

    約8000年前からブドウが生産されており、世界最古のワイン生産地といわれるジョージアのオレンジワイン(アンバーワイン)。一度は絶滅しかけたジョージアの貴重な品種、キシ種100%を使用した、ジョージア伝統のクヴェヴリ(卵型の粘土製の壺)作りです。桃やアーモンドの様な香りと豊かなミネラル感が特徴です。日本の女性だけによる国際ワインコンペティション「サクラアワード」で2017年にゴールドを受賞しています。
    おすすめ料理:タンドリーチキン

2. アロマティックなイタリア産オレンジワイン

  • <プリモシッチ>リボッラ・ジャッラ リゼルヴァ2018の画像

    <プリモシッチ>リボッラ・ジャッラ リゼルヴァ2018 6,600円
    □三越伊勢丹オンラインストア

    輝きのある黄金色に近いオレンジワイン。
    アカシアの花やオレンジピール、ジンジャーの華やかな香りが印象的。中盤からはスパイシーさも感じられ、ジューシーで複雑な1本。イタリア フリウリ州の東の産地、コッリオには約1300haの美しい畑が広がります。「コッリオ」は「丘」を意味しますがその名のとおり小高い丘が非常に多く、標高は高いところで280m程。平地であるゴリツィアの町から、車で20分ほど丘を登った場所にプリモシッチは位置しています。曲がりくねった山道の途中にあるワイナリーで、目の前には隣国、スロベニアが広がっています。
    おすすめ料理:清蒸魚

3. 爽やかなフランス産オレンジワイン

  • <マス デル ペリエ>スキン コンタクトの画像

    <マス デル ペリエ>スキン コンタクト 4,070円
    □三越伊勢丹オンラインストア

    フランス南西地方のカオール市の南西、コースと呼ばれる高台地形に位置するトレプー ラシエル村にある家族経営ドメーヌ。2006年より現当主ファビアン ジューヴ(5代目)が引き継ぎ、ドメーヌを興しました。2019年が初ヴィンテージ。グロ マンサン・ユニ ブラン・ミュスカ アレクサンドルの3品種を使用したオレンジワイン。除梗し、3カ月タンクで発酵とマセレーション。その後タンクと、樽・大樽で6カ月熟成させます。熟した花梨にトロピカルフルーツやオレンジピールの香り。豊かな果実味と軽やかなタンニン、フレッシュ感のある口当たりでバランスが良く、カジュアルに楽しみたい1本です。
    おすすめ料理:ピペラード
宮沢典芳さん
宮沢 典芳
監修ソムリエ
2002年より伊勢丹新宿店に勤務。1997年田崎 眞也氏主催「第1回コミ・ソムリエコンクール」最優秀賞。1998年JSA認定ソムリエ資格を取得。懐石料理店、フレンチレストランにてソムリエに従事。恵比寿「カーブ タイユバン」を経て現職。現在はグランドカーヴでの接客コンサルティング、ヴィンテージセラーを中心とした商品選定などを主に行う。シャンパーニュの祭典「ノエル・ア・ラ・モード」を当時のバイヤーと共に立ち上げる。2017年、2018年ジャパンワインチャレンジ審査員。2019年2月コマンドリー デュ ソルト ブション シャンプノワ叙勲。