大人の魅力をさらに引き出すクセのある服|<ラヴェイユ バイ スーペリアクローゼット>クリエーティブディレクター 英里・リストリ

2022年のブランドデビュー時から伊勢丹新宿店 本館3階で展開している<la veille by SUPERIOR CLOSET/ラヴェイユ バイ スーペリアクローゼット>。本館3階のリフレッシュオープンに合わせて展開アイテムが拡大されるということもあり、あらためてクリエーティブディレクターの英里・リストリさんにブランドについてさまざまな質問をしてみました。
聞き手は、三越伊勢丹に入社4年目の大井アシスタントバイヤー。男性ではありますが、英里さんの服作りへのこだわりに共感することが多かったようです。
TRUST STYLE/トラストスタイル
「いま」の大人の女性に「信頼」と「確かさ」を備えた洗練されたクラス感にあふれるファッションをご提案するゾーン。旬をほどよく取り入れたデザインと上質な素材にこだわった、大人の女性のライフシーンをアップデートさせるファッションスタイルが揃います。
□1月31日(水) リフレッシュオープン
□伊勢丹新宿店 本館3階 トラストスタイル
クリエーティブのベースは大好きなヴィンテージ
─まずは英里さんのキャリアについて教えてもらえますか。

英里:私は<ADER.bijoux/アデルビジュー>というコスチュームジュエリーブランドも手がけているのですが、そちらは11年目になります。フランスで選んだ素材を日本の工場で製品にしているので、東京とフランスの2拠点生活のような感じです。
ジュエリーブランドを立ち上げたきっかけとしては、身につけるものでも暮らしの道具でもヴィンテージが好きで、ヨーロッパの古いジュエリーを収集しているうちに自分でも作りたくなったのです。それが<アデルビジュー>の始まりです。ヨーロッパのヴィンテージがベースになっているので大きなガラス玉やビーズなど、個性は強めのデザインが多いです。
─ジュエリーだけでなくアパレルも手がけようと思った理由はなんでしょうか。
英里:<スーペリアクローゼット>というセレクトショップを展開しているフランドルさんから、新しいブランドを立ち上げたいと声をかけていただいたんです。新ブランドのテーマとしてあったのが「上質感」や「クラス感」で、古き良きものを大切にしている<アデルビジュー>の世界観がフィットしているというのがオファーの理由でした。
─<スーペリアクローゼット>の展開ブランドはトラッドな印象もありますが、<ラヴェイユ>はまた少しテイストが異なりますよね。
英里:そうですね。私自身が「ベーシックが好き」というタイプではないので、クセのある服が多いかもしれません(笑)。クリエーティブディレクターとして、私が好きだと思う感覚をファッションに自由に落とし込んでほしいと言われています。そのため装飾的、個性的かもしれませんが着ることで女性らしい内面の柔らかさが表現されるような服であることを意識していますし、華やかさを感じられるディテールにもこだわっています。
私がヨーロッパで感じ取った装飾美を日本の技術に落とし込みたいという思いもあって、桐生のジャガード織のアイテムを毎シーズン発表しています。これまでにジャケット・スカート・スーツといろいろ作ってきました。ツルッとペタッとした生地よりも、大人は表面感や立体感のある生地を着ることでエレガントなムードが生まれると思っていて、ジャガードのアイテムは<ラヴェイユ>のアイコンのようになっています。
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「今日着ているセットアップもジャガード織です。
羽織りはヴィンテージのコートをイメージしていて、インタビューだから選んだわけではなくプライベートでも毎日着たいぐらいのお気に入りになっています(笑)。」
好きは変わらないけれど、装いへの意識は少しずつ変化
─大人になっていくことで英里さん自身のファッション感などに変化はありますか。
英里:ヴィンテージが好きというのは一貫して変わらないのですが、子どもが産まれてママになったことでシーンというものが増え、その場にふさわしい装いというのは意識するようになりました。ただ<ラヴェイユ>の服としては上品な雰囲気に仕上げるだけではなく、どこかで自分らしさを楽しめるようにアクセントを加えることを常に考えています。2023年春夏ではワンピースを作ったのですが、それも総柄にすることでどこにでもあるようなものではない<ラヴェイユ>らしさを表現しています。
─柄物は面積や大きさによって世代を選んでしまう難しさがあると思うのですが、バランス感はどのようにして決めていますか。
英里:「今の自分がやりたい柄はこれ!」とすごく感覚的に選んでいるのが正直なところです。ターゲットを意識して選んだりすることはほとんどないですね。柄に主張がある場合はディテールの強さは控えめにするなどのバランス感はもちろん考えますが、それも基本は自分が着たいかどうかというのが基準になっています。私はプライベートでも<ラヴェイユ>の服が多いですけど、自分がフランスの街で着ることも想定しながら作っているので、色でも柄でもヨーロッパの街並みにも溶け込むようにプレイフルであることを大切にしています。
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「ウエスト部分に変化をつけているのですが、それがないと本当にシンプルなロングスカートです。
そのひとクセがあるだけで、ファッションアイテムとして映えると思っています。」 -
「シャツはほかの人と同じになりがちなアイテムでもあるので、こちらは大胆なアシンメトリーにしています。一枚でも主役になれる白シャツです。」
─<ラヴェイユ>のようなクセのある服は、いい意味で余計なことをしていると個人的にすごく惹かれます。
英里:「余計なこと」っていい表現ですね。確かに<ラヴェイユ>は余計なことをたくさんしていますね(笑)。ブランドとしては「柔らかな感性を呼び覚ます服」というのをコンセプトとしているのですが、穏やかさだけでなく、強さも女性の魅力のひとつだと思うのです。私自身がそういう女性でありたいので、<ラヴェイユ>の服には自分が理想とする女性像みたいなものを落とし込んでいるところもあります。その結果が上品だけに留まらない「クセ」なんです。お客さまも<ラヴェイユ>のアイテムを一点取り入れて、いつもの着こなしに変化をつけて楽しんでいる方が多いようです。
「ちょっと気になる服」として尖った部分を大切にしたい
─<スーペリアクローゼット>はベーシックなアイテムが中心なので、そこでコーディネートのエッセンス的な存在として<ラヴェイユ>には期待しています。
英里:伊勢丹新宿店のお客さまはファッションに関して上質を知り尽くしている、自分で選ぶことができるというイメージです。よって、私としてもそんな方から「ちょっと気になる服、ちょっと着てみたい服」と思ってもらえたらうれしいです。クセを大事にしているとずっと言っていますが、それは決して奇抜さを狙っているわけではなく、日本人ならではの上品さからは外れないうえでの攻めだと自分では捉えています。
─今日のお話は自分らしいファッションの軸を確立している大人の女性に向けて、「<ラヴェイユ>らしいクセを自由に着こなして」という英里さんからのメッセージのようにも聞こえました。

英里:少しだけどこかが違う、そんな尖った部分はずっと大切にしていきたいです。そのため、どんなアイテムでも最初の構想の段階ではディテールも素材もやりすぎなぐらい盛っています。そこから必要ではないと判断したところを削ぎ落としていって、最後に要素として残ったものが<ラヴェイユ>の服です。作りたい服はまだまだあるので、これからコレクションをもっと増やしていきたいという思いは持っています。お手持ちのベーシックなアイテムと合わせて、<ラヴェイユ>をどんどん楽しんでもらいたいですね。
Reception Jacket
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<ラヴェイユ バイ スーペリアクローゼット>
ジレ 44,000円
□伊勢丹新宿店 本館3階 スーペリアクローゼット
<ラヴェイユ>は「女性のしなやかさと強さを上質な生地で」がブランドコンセプトなので、それを体現するようにジャケットらしいきちんと感をベースに女性らしいディテールを加えています。身頃や肩のラインは構築ですが、裾にはカーブをつけて穏やかな丸みを出しています。さらにムラ糸を使用した生地で奥行きのある表情にこだわりました。同素材のスカートとのセットアップでこなれたスタイルを楽しんでいただきたいです。
la veille by SUPERIOR CLOSET
ー柔らかな感性を呼び覚ます服ー
クリエイティブディレクター英里・リストリ氏が
パリでの生活の中で感じる一つひとつの暮らしの丁寧さ、街のいたるところに散りばめられた古き良きものと現代の共存、そして日本のものづくりへのこだわりや職人技術の高さを独自の感性でフュージョン。
流れるような柔らかさを表現したブラウスや、
エレガントな強さを強調したパンツスーツなど
大好評のデビューコレクションをご紹介します。
