＜BEAUTIFUL SHOES/ビューティフル・シューズ＞
10年間愛した レースアップサイドゴアブーツが復活。

探り、検証を重ねるシューメイキング。

ドレスシューズを展開する＜AUTHENTIC SHOE&Co./オーセンティック・シュー＆コー＞ や、カジュアルなメンズシューズを製作する＜foot the coacher/フット・ザ・コーチャー＞を手がけるシューズデザイナー竹ヶ原敏之介さんが、2010年に始めたレディースラインが＜BEAUTIFUL SHOES/ビューティフル・シューズ＞です。

竹ヶ原さんは、大学時代に靴づくりに没頭し、独学で技術を磨き、自身の名前を冠したドレスシューズのコレクションを発表しました。その後、イギリスに渡って英国最古の靴製作メーカー＜Tricker’s/トリッカーズ＞の工房で経験を積み、1998年に帰国。自身のブランドをリスタートします。

形や履き心地だけでなく、シーンをデザインする。

最先端の技術によって生まれるハイテクスニーカーなど、実用性だけでなくデザイン面でも多様化が進むシューズ業界。しかし竹ヶ原さんは、あえて業界は意識せずに「自分が望むものを正直に作ること、履いてくださる方のニーズに応えること」をまず考えていると話します。

「ひとつの靴でも、それが生まれるには複合的な理由や条件がある。だから僕は、流行というよりは、ハイテクスニーカーでもなんでもとにかく履いてみて、自分主体で考えています。作り手として、履く人のシーンをしっかりと見出して、選んでもらう意義をちゃんと示せれば、あまり流行は関係ない気がするんです」。

これから先の10年を共に歩みたい。

今回のプロジェクトにあたり、井伊さんが制作をお願いしたのは10年前に自ら購入したという＜ビューティフル・シューズ＞のレースアップブーツです。

「買ったのは20代後半の頃。ワンピースでもパンツでも、いろんな時に履いてきました。撮影の服をお借りするために、ショップやブランドのプレスルームをあちこち回る日に履いても足が痛くならなかった。そういう革靴はとても稀なんです。もうすぐ40歳になり、似合う服や暮らしも変わってきたけれど、それでも飽きずに今後の10年も見えてくるのが竹ヶ原さんの靴でした。もう作られていない型だから、ぜひこの機会にお願いしたいと思ったんです」。

リクエストは嬉しかったものの、竹ヶ原さんは悩んだそう。「同じものをそのまま作るのは難しい、と伝えました。デザイナーは良くも悪くも時代性を反映する仕事。過去によかったものを今つくっても、いいとは限らない。それに、作り手として、１度つくったものは出したくないってのもあります。しかし、井伊さんが、このブーツを求めてくださった理由もわかる。今の視点で見て良いと思える部分を抽出しつつ、ディデールをチューニングしようと思いました」。

街を颯爽と歩き回りたいブーツ。

サイドについた伸縮性のゴムにより脱ぎ履きしやすく、足首にもフィットするレースアップサイドゴアブーツ。オーセンティックなデザインにより、どんな装いにも馴染んでくれます。さらに、履く人の足にとってヘルシーであるよう配慮されており、歩き回る日にも、足が痛くなりづらい設計なので、慌ただしく玄関を出る朝、荷物を抱えて家に帰って来るような日にも寄り添ってくれるはず。

「ふと足もとを見たとき目に入るのがシューズですよね。新しい靴を買うと、あたらしい目的地に連れて行ってくれるような気持ちになり、力をもらえます。そんな楽しみがある一方で、足が痛くなってしまったり、ネガティブな側面をどう捉えるか、シビアな判断も必要になるのが革靴です。一足の靴が、私にとっての語りきれない思い出や心境と結びついてきたように、この靴がみなさんの人生に連れ添ってくれるシューズになってくれたら嬉しいです」。

Direction & Styling: Yuriko E
Photography (Item) : Masahiro Sambe
Photography (Fashion) : Mitsuo Okamoto
Hair and Make-up：Rumi Hirose
Text and Edit：kontakt