赤ちゃんが一人で寝るようになる!?
乳幼児睡眠コンサルタントに訊く、ねんねトレーニングのすすめ

睡眠は赤ちゃんにとっても、お母さんお父さんにとっても重要です。そんな当たり前なことはわかっていても、寝かしつけに時間がかかり、お子さんがなかなか寝てくれない!とお悩みのご家庭も多いのではないでしょうか。そんなママ・パパへ、国際資格認定機関IPHI日本代表、日本人初の寝かしつけのプロである愛波 あやさんに、子どもの睡眠習慣のつけ方についてお話をうかがいました。
\教えてくれたのは・・・/

Sleeping Smart Japan株式会社代表取締役
添い寝は危険!?日本の寝かしつけの現状

―愛波さんは現在アメリカで暮らされていますが、日本の寝かしつけの現状をどう見ていらっしゃいますか?
愛波さん:東京などの都市ですと、ベビーベッドをレンタルしたり購入したりして、赤ちゃんが一人で寝られるようになる“ねんねトレーニング=ねんトレ”をしている方も増えてきているのですが、一方でまだまだ「添い寝」「川の字で寝る」ご家庭も多く、睡眠環境を整えることへの重要性が広く知られていないのが現状です。乳幼児期の添い寝や添い乳は、実は死亡事故も多発していてとても危険な行為なのですが、日本ではあまり報道されていないですよね。
―ねんトレが日本で普及しないのは何が原因なのでしょうか?
愛波さん:日本の都市部ですと、子ども部屋を持てない住宅も多いと思いますので、住環境の違いは物理的な要因としてあると思います。しかし、海外だと子どもが生まれた時から、赤ちゃんはベビーベッドで寝ることが一番安全な睡眠環境だということを、産婦人科の先生・助産師さんなどに繰り返し繰り返し教育されるんです。ちょっとドキッとするくらい、口酸っぱく教えられますが、日本では全然教えられていないですよね。その差かなと思います。
―愛波さんはそんな日本の寝かしつけ事情を見て、どんな想いがありますか?
愛波さん:添い寝は環境を整えればとてもいいことだと思うのですが、ママが疲弊した状態で添い寝をすると赤ちゃんが下敷きになってしまう可能性もあるし、添い寝で熱がこもってしまうと、乳幼児突然死症候群のリスクが上がるということを、米国小児科学会では繰り返し周知しています。同じ布団に赤ちゃんと寝るということは、そういうリスクがあるということを、まずは知っていただきたいです。

愛波さん:また「ねんトレ=子どもを泣かせて寝かせる」というイメージを持っている方も多いのですが、それは全然違うよ!と伝えたいです。ねんトレは成長に最も大切な要素のひとつである睡眠の知識を得ることで、お子さんに良質な睡眠をプレゼントすることができ、さらに親子ともにぐっすり眠れるようになるんです。
―親にとってもいいことなのですね。
愛波さん:ねんトレに成功すると、「おやすみ」と言ってベッドに置いたら朝まで寝るようになるので、子どもは良質な睡眠を取れて、親は一人の時間ができる。どちらにとってもいいことですよね。「子どもが夜中起きる=保育者も寝ていない」となると、親子ともに慢性的な睡眠不足になり、子育てや仕事へのパフォーマンスに支障が出てくることがあります。
親子ともに日々、元気いっぱいで機嫌よく幸せに過ごすためには良質な睡眠は欠かせません。先輩ママの経験談はもちろんためになることもありますが、日本の保育者に子どもの睡眠の科学的根拠に基づいた知識を知ってもらい、「いつかは寝るようになるから」の「いつか」を待つのではなく、新生児の頃から良質な睡眠がとれるようになってほしいと思っています。
寝ない赤ちゃん、ママたちが抱えるリアルな悩みとは?

―愛波さんの元に学びにいらっしゃるママたちのお悩みには、どのようなものがありますでしょうか?
愛波さん:「子どもが寝てくれなくて虐待しそうになります」「夜泣きがひどくて仕事復帰を断念しようと思っています」「子どもの寝かしつけに時間がかかって怒鳴って寝かしつけをしています。そんな自分が嫌いです」「疲れの限界で、子どもがかわいいと思えません」「子どもが寝てくれなくて、妻が疲弊しています。助けてください」といったような、限界にきている方が多いです。ママだけではなく、パパや祖父母の方からの連絡もいただきます。
―そういう悩みを聞いて、どう感じていますか?
愛波さん:すごくもったいないなって思います。私の活動は、子どもがぐっすり寝るようになって良質な睡眠をとることはもちろん、ママ・パパがもっと人生を自分らしく楽しんでほしいという願いがあるんです。例えばママがやりたいことができたり、友だちとご飯に行けるようになったりとか、もっともっと人生を楽しんでほしい。子どもが寝てくれないから仕事復帰ができないとか、寝てくれないからママはずっと家にいないといけないというのはすごくもったいなので、ねんトレを普及したいなと思います。
赤ちゃんの寝る力を引き出す「ねんトレ」とは

―改めて、ねんトレとは何でしょうか?
愛波さん:子どもが一人で寝るようになるトレーニングをすることです。赤ちゃんはずっと胎内で寝ていたので、寝る力をみんな同じく持っています。でも親が、赤ちゃんは抱っこしないといけないと思ったり、泣いたらすぐに抱っこするべきだ、と思ってしまうので、せっかくの子どもの寝る力を少しずつ奪ってしまっているんです。私の場合、長男が10カ月の時にねんトレを始め、なんと4日で成功。夜7時半に子どもは寝るのでこの仕事の勉強ができたし、睡眠はずっと7時間は取れています。
―ねんトレは何歳までにやっていた方がいいのでしょうか?
愛波さん:生まれてすぐでも、5歳でも、何歳でもねんトレはできます。ねんトレはいつまでにしたほうがいいというよりかは、添い寝・添い乳・抱っこ・トントンの寝かしつけがつらかったり、寝かしつけにイライラしてしまったり、生後6カ月以降で夜間覚醒が3回以上あったり、生後6カ月以降で夜中60分以上の覚醒があったり、1歳すぎて夜中に頻回に起きている場合に検討するとよいでしょう。新生児のころから睡眠環境を整えたり、愛波おくるみスリーパーを使用していたりすると、多少個人差はありますが生後2カ月くらいから一人で夜4~5時間続けて寝てくれるようになることも多く、一人で寝かすトレーニングをしなくても自然と一人で寝てくれるようになっていきます。それが一番ママ・パパにとってもラクで親子ともに安眠できる方法だと思います。
寝かしつけや良質な睡眠を成功させるTIPS
―ねんトレや寝かしつけをする際に守った方がいいこと、気を付けるポイントを教えてください。
愛波さん:ねんトレの成功の秘訣はまず「睡眠の土台」を整えることがとても大事です。特別なトレーニングをしなくても「睡眠の土台」を整えるだけで、すぐに寝るようになったという子も多いです。
1.睡眠環境を整える

愛波さん:部屋を暗くする・涼しくする・まくらや掛布団などは窒息や乳幼児突然死症候群のリスクをあげてしまうので使用しない。など、寝る環境を整えます。部屋の温度を一度下げただけで、ぐっすり寝るようになったという声も。
2.生活リズムを整える

愛波さん:体内時計が調整されるので、必ず朝日を浴びることも大事です。昼寝をさせないほうが夜寝ると思っている方もいらっしゃいますが、昼寝をしっかりさせないと疲れすぎてしまい、夜泣きやねんねトラブルにつながることがあります。疲れすぎてしまうと、ストレスホルモンが過剰に分泌し始めてしまって興奮状態になってしまうんですよね。だからそうなる前に寝かしつけをスタートすることが大事です。そして、リズムというところで大事なのは、ねんねルーティン(入眠儀式)。お風呂入って保湿して歯磨きして・・・といった普通の生活習慣でも、毎日一貫性を持ったねんねルーティンがあることが、安眠の秘訣ということは医学論文でも言われていることです。
3.親子の幸福度を上げる

愛波さん:よく「なんで?」と聞かれるのですが、親子の幸福度をあげることも重要です。なぜならママ・パパという保育者の心が満たされていたら、子どもの心も満たすことができるから。さらにニコニコ笑顔で育たられた子どもは、自己肯定感も高くなります。幸福度が高い保育者のほうがポジティブ思考になり、子育て全般に自信がつき、親子の絆や繋がりを強固なものにできます。その繋がりが、実は寝かしつけの安眠に繋がってくるんです!
4.肌と肌の触れ合い時間をとる

愛波さん:肌と肌のふれあいで安心して、幸せホルモンが分泌され満たされ良質な睡眠につながります。
ねんトレをするときは、親が一貫性を持つことが大切です。新しいことを教えているので泣いてしまうこともあるかもしれませんが、どうしてねんトレをするのかをよく自分で理解し、子どもの寝る力を信じることも大事にしてみてください。
ママにはぐっすり眠って幸せになってほしい
―ねんトレをしたママとしないママとでは、持てる一人の時間にも差がでてきますよね。
愛波さん:そうですね。だいぶ人生が変わるかなって思います。私は海外育ちですが大学から10年間は日本にいて、日本が大好きなんです。だから日本の子育て世代のママたちを助けたいという思いが強くて・・・。アメリカでは自分を大切にするのが当たり前で、「自分を大切にしていないと子どもも幸せじゃないよ」と言われることも。ママも一人の人間として尊重されているんです。でも日本だとママはプライベートを全部我慢して犠牲になっている人が多くて、そんな日本の子育てをねんトレで変えたいなって思っています。

―ママに対する考え方も、やはり日本とアメリカでは違うんですね。
愛波さん:すごく違うなって感じています。アメリカは、「自分のケアをするのは当たり前だよね」って考えなので、友だちからは「子育てでイライラしているあやに会いたくない」って言われますし、働いているママが寝不足だと、「自己管理ができていない」って評価になってしまったりします。一見厳しいようですが、一人の人間として尊重して見てくれているがゆえなんです。だから日本のママもぐっすり寝て、自分の時間もしっかりとって、キャリアを積みたい方は仕事もして、幸せになってほしいです。
愛波 あや オリジナルアイテムPOP UP
□2023年7月29日(土)・7月30日(日)[最終日午後6時終了]
□伊勢丹新宿店 本館6階 マタニティ新生児ショップ
愛波 あやさんが長年の睡眠コンサルテーションの経験から、赤ちゃんと保育者両方がぐっすり眠り、子育てが楽しくなるよう丁寧にこだわって作った「愛波おくるみスリーパー」などのオリジナルアイテムをご紹介いたします。
乳幼児睡眠コンサルタント 在店時間
□2023年7月29日(土)午前10時~午後6時・7月30日(日)午前10時~午後5時
□伊勢丹新宿店 本館6階 マタニティ新生児ショップ
愛波 あやさんをはじめとした乳幼児睡眠コンサルタントが、店頭にて赤ちゃんのねんねについてアドバイスすることも可能です。お気軽にご相談ください。
※混雑時はお待ちいただく場合がございます。
※商品のご購入は各日午前10時~午後6時までとなります。
※詳しくは係員におたずねください。