
1936年創業の鋳造メーカー、愛知ドビー。3代目兄弟の「町工場から世界一の製品を作りたい」という熱い思いから、3年の歳月を経て鋳物ホーロー鍋「VERMICULAR/バーミキュラ」が完成したのは2010年のことでした。“熱伝導”“蒸気対流”“遠赤外線加熱”という素材本来の旨みを引き出す3要素を兼ね備えた調理器として、今や日本はもちろん世界の食卓でも活躍する存在に。そんなバーミキュラの魅力を解き明かすべく、すべての工程を自社工場で行うメイド・イン・ジャパンのモノづくりから、上手な使い方までご紹介しましょう。
バーミキュラができるまで① 鍋のカタチを作る「鋳造」
まずは1,500度で溶かした鉄にさまざまな金属を配合し、特殊な砂で作った型に流し込んで基本的な鍋のカタチを作ります。冷却され型から取り出された鋳物は、ひとつひとつ職人の手で丁寧に磨き上げられます。〈バーミキュラ〉の鋳物作りには、厳密な成分調整、鉄を流し込む温度やスピードの調整など、繊細な技術が必要となります。
バーミキュラができるまで② 鍋を丹念に削る「精密加工」
完成した鋳物は、さまざまな表面処理のあと精密加工が施されます。職人の経験と勘で繊細な調整を繰り返し、厚さ3mmの鋳物を0.01mm以下の精度で削り出します。製品を叩いた時の音や、指先に感じる振動の違いで判断しながら、ひとつひとつ丁寧に。こうして限界まで高められたフタと本体の気密性が、素材本来の味を引き出す無水調理を実現します。
バーミキュラができるまで③ 美しく堅牢な「ホーロー加工」
最後のホーロー工程では、職人の手により「釉薬の吹き付け→乾燥→手仕上げ→800度での焼成」の工程が3度繰り返され、厳密な検査のあと〈バーミキュラ〉が完成します。ホーロー釉薬の吹き付けは鍋全体にどれだけ均一な膜厚で吹き付けられるかが重要で、気温や湿度によって塗り方を変化させていく技術が必要となります。
「10年はモデルチェンジの必要がない製品を作る」というこだわり
スピードが求められている時代ですが、〈バーミキュラ〉では製品開発に3年以上の時間がかかることもあります。スピードを重視するあまり、モデルチェンジを毎年のルーティンのように繰り返すことは「より良い製品をつくること」ではなく、「モデルチェンジをすること」が目的になってしまっているのではないか。機能やデザインなど、徹底的にこだわり抜いた上で発売した商品は、10年はモデルチェンジしない。買い換える必要のない、そんなモノづくりを信条としています。
バーミキュラのおいしさの秘訣
①【リブ底】鍋底をリブ状にすることで食材の接地面積を最小限にし、過剰な熱の伝達を抑えます。
②【3層ホーローコーティング】3層にコーティングされたホーローが強い遠赤外線を発生し、食材の組織を破壊することなく内側から加熱します。
③【テーパーエアタイト® 構造】高い密閉性で、蒸気をしっかり閉じ込めます。鍋の中で対流が起き、食材に外側からも熱を入れるので、おいしく仕上がるのです。
バーミキュラとの上手な付き合い方①「弱火の火加減を見つけよう」
湯気が斜め上に向かってゆらゆらと出続けるポイントが、ちょうどいい 「弱火」 です。無水調理をするときは、このくらいの火加減を使いましょう。
バーミキュラとの上手な付き合い方➁「中火をうまく活用しよう」
どの料理もフタをして「中火」で1〜2分予熱をすることで、鍋のオーブン効果が高まり、調理時間が10分以上短縮できます。また、冬場は鍋が冷えやすいので予熱をしてからの調理をおすすめします。
※「中火」で7分以内であれば、空焚きにはなりません。
バーミキュラとの上手な付き合い方③「使用後のお手入れも欠かさずに」
使用後は、台所用洗剤を使い柔らかいスポンジで洗います。本体とフタのフチの黒い部分は精密加工が施されているため錆びやすいので、丁寧に洗いましょう。鍋全体の水気を拭き取り、黒い部分に食用油をキッチンペーパー等で薄く塗ってください。
みんな大好き。簡単!おいしい!バーミキュラで作る「肉じゃが」レシピ
【材料(4人分)】
- 豚ばら薄切り肉…150g(一口大)
- じゃがいも…中4個(4~6等分)
- 玉ねぎ…中1個(半分に切って1cm幅にスライス)
- にんじん…中1本(乱切り)
- しらたき…1袋(下茹でして4cmの長さに切る)
- しょうゆ…大さじ3杯
- みりん…大さじ2杯
- いんげん…4本(2等分)
作り方
- バーミキュラ(22cm)を中火で3分予熱し、豚ばら薄切り肉を炒める。
※油は不要です。 - じゃがいも・玉ねぎ・にんじん・しらたきの順に入れ、しょうゆ・みりんを加えてひと混ぜし、
フタをして弱火で25分加熱する。 - いんげんを加えて、さらにフタをして弱火で5分加熱する。
- 火を消して軽く混ぜ、フタをして10分程度味を含ませれば完成。