カラフル＆ポップ！人気イラストレーター8名が描く「平成レトロ」

近未来感漂う平成初期のムードに再注目

平成レトロとは、1980年代後半から2000年代初頭にかけての平成初期に光を当て、アニメ、ドラマ、音楽、ファッションなど、当時の文化を再評価する潮流のこと。昭和のアナログ感とは異なり、デジタル化が進みつつあった平成初期は、前向きな雰囲気や近未来を感じさせるエネルギッシュなムードが特徴です。
そんな時代に魅了されるアーティスト8名による「平成レトロガールズ」。出展作家から代表して、Hiroko、nowri(なうり)、chikameの3名に平成レトロの魅力を聞きました。

失われてしまった時間を大切に描いていきたい｜Hiroko

レトロなモチーフをパステルカラーで描くHirokoさんは、雑誌の挿絵、広告、MVやグッズのイラストなど、幅広く活動するイラストレーター。

「近年のレトロブームで、子どもの頃に好きだったゲーム機や、カセット、CD、MP3プレーヤーなどの音楽機器を思い出す機会があり、もう一度描きたいと思ったのがきっかけ。古い電化製品のデザインや色使い、ファッションなど、懐かしさにあふれていて、何とも言えず好きです」と語ります。

「平成レトロは、独特なカラフルさやポップさが魅力。失われてしまった時間を、可愛くて大切なものとして描いていきたいと思っています。今回出展する作品も、子どもの頃に触れた懐かしさを詰め込んでみました。当時を体験した方とは懐かしさの共有を、その時代を知らない世代の方にはカラフルでポップな世界を楽しんでいただけたらと思います」

ごちゃごちゃしたあたたかい空間に魅力を感じる｜nowri(なうり)

「その時代を生きる、強くて美しい女性」を描く、イラストレーター兼デザイナーのnowri(なうり)さん。MVのアートワークやアーティストのグッズ、ロゴデザインなど幅広く活躍しています。

「無駄なものが削ぎ落とされてシンプル化している現代ですが、『かわいいからギラギラさせる』『目立ちたいからたくさんの色を使う』という純粋な気持ちで生み出されたのが平成ファッション。流行は回るといいますが、この歳になって楽しんでいる自分がいます。少し手をかけないと使用できないところが愛おしかったり、無駄に大きいところが逆に可愛かったり…そんなところが魅力的」と語るnowri(なうり)さん。

「昔から、洗練されたデザインよりもごちゃごちゃしたあたたかい空間に魅力を感じていました。自分のイラストは、引き算よりも足し算したほうがより魅力的になるし、ごちゃごちゃ描く方がとても楽しい。今回は映画のポスターのような雰囲気で制作しています。自分のイラストで、少しでも幸せな気分になっていただけたらうれしいです」

胸がキュッとなるような切なさを表現したい｜chikame

福岡を拠点に活動するchikameさんは、広告ビジュアルや雑誌の挿絵、アーティストのジャケット、アイドルのグッズなどを手がけるイラストレーター。幼い頃に見た『美少女戦士セーラームーン』に影響を受けたそう。

「アニメに出てくる主人公たちの服の配色など、シティポップな感じでまさに平成レトロ。子どもの頃から、華やかでも少し落ち着いたトーンの配色に惹かれていました。学生時代シティポップも好きになったので、レコードのジャケットからも影響を受けていると思います」

「平成レトロの魅力は、少し寂しさを感じさせてくれるところ。パステルで配色したり、陰影を強く表現したり、平成レトロ独特の手法は奥深いと感じます。平成レトロといっても、人それぞれ思い浮かぶものや受け取るものは違うと思いますが、一見ポップでキュートでもよく見ると少し切ない、胸がキュッとなるような感覚が表現できたらと思い描きました」

その時代をなつかしいと感じる方も、新鮮に感じる方も。作家それぞれの視点で描く「平成レトロ」をお楽しみください。

【その他の出展作家】
島田つか沙、YukiAme、maniko、ピカタ、電Q