ナンタケットバスケット 海と伝統が培うかご

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かつては捕鯨の地として栄えた、アメリカ東海岸に浮かぶナンタケット島。代々、島民たちの暮らしに役立ってきたナンタケットバスケットが、時を越え、海を越えて、日本へやってきました。世界一美しいともいわれるこのバスケットとそこに生まれる物語を、ナンタケットバスケットの日本伝播の第一人者でもある、New England Nantucket Basket Association/株式会社GrayMist Japan代表の八代 江津子氏が語ります。

店頭イベント情報

ナンタケットバスケット 海と伝統が培うかご
□2023年2月25日(土)~2月26日(日)
□伊勢丹新宿店 本館7階 呉服

ナンタケットバスケットとは?

ナンタケットバスケットはアメリカ東部の小さな島・ナンタケット島発祥です。かつては捕鯨を中心に漁に出る男性がパートナーにプレゼントしたり、鯨の油を貯めておくものとして使われてきました。型崩れが起きにくく、丈夫なバッグとして島で代々受け継がれてきた島の伝統工芸品です。島を訪れる観光客から徐々に人気となり、現在では多くの著名人が持つバッグとして知られています。

捕鯨が盛んなナンタケット島で受け継がれてきたバスケットの画像
捕鯨が盛んなナンタケット島で受け継がれてきたバスケット

八代さんのナンタケットバスケットとの出会いはどのようなものだったのでしょうか?

家族で訪れたナンタケット島のホテルで行われていた結婚式で出会いました。海辺のホテルにある庭での結婚式で、さまざまな形のバスケットを持つ参列者たち、そして花嫁の持つバスケットなど一度に何十個も見るという光景に偶然居合わせました。その時の衝撃は今でもはっきりと覚えています。

日本で広めるために気をつけたことや苦労したことはありますか?

島へのリスペクトを忘れないため、ナンタケットの品格を壊さないことに留意してきました。ですのでメディアからお声をかけていただくこともあるのですが、ナンタケットのイメージを壊さないためにお断りする事も少なくありませんでした。またこれからも続けていくためには気品高い島であることを伝えなければという気持ちです。

アフターコロナでお客さまの生活様式が変化する中、今後目指していきたいことは何ですか?

“アフターコロナ”というにはまだ時間がかかると思うのですが、今後またこのような事態になることも想定し、対応できるような形を整えていきたいと思っています。オンライン・オフラインに問われないさまざまな形での発信をできるような体制を整え、今後も世界中の人々にこのナンタケットバスケット作りの楽しさ、魅力、歴史を伝えていきたいと考えています。

バスケットを通じて島の品格も伝えていますの画像
バスケットを通じて島の品格も伝えています

ナンタケットバスケットはどのようなシーンで持ったらいいですか?

どの場面でも、つまりカジュアルなシーンも、結婚式のようなパーティーや神聖な場にも持って行くことのできる便利なバッグです。ここぞという、自分をワンランク上に持っていきたい時に手にして欲しいバスケットです。

バスケット初心者におすすめの形はありますか?

持つのであればしっかりと基本的な蓋付きのバスケットがおすすめです。そしてその雰囲気やバスケットを持つということを体験し感じてもらえてから、ほかの形を楽しんでもらえたらと思います。

八代さんが長く使うために気をつけていることはありますか?

ヒンジ(結合部分)は毎回オイルを塗っています。バッグを使わないと扉の蝶番と同じで動きが悪くなるため、こまめにケアをしています。

八代さんがナンタケットバスケットの中に入れて持ち歩いているものはどんなものですか?

携帯電話・老眼鏡・口紅・小さなお財布・名刺入れと鍵です。普通のバッグですね(笑)。サブで持つ時には、名刺と鍵を入れています。(小さいバスケットをサブで持つ時には大きなバックを併用するので。)

初めて持つ方におすすめなのは蓋付きタイプの画像
初めて持つ方におすすめなのは蓋付きタイプ

ナンタケットバスケットの魅力を教えてください。

実家には、リビングダイニングにバスケットが40個ほどあります。バッグのほかにも雑誌入れやペン差し、ナプキン入れなど形はさまざまです。数多くのバスケットがあるのですが、それでも家の中はスッキリしており、さまざまな空間に馴染むバッグというのが魅力の一つです。空間に馴染みながらも、人が持つと際立って見える点も特徴であり魅力です。なんでもないワンピースにバスケットを持って出かけても必ずどなたかが「素敵なバスケットですね。」と声をかけてくださいます。たまにナンタケットバスケットを持った女性に出会うのですが、どうしてか際立って見えるのです。楚々と家の中で存在を大きく主張せず存在感を持つバスケット。持つ人を際立たせ、気品を持たせてくれるバスケット。それがナンタケットバスケットの魅力だと感じています。

さまざまな空間に馴染むのも魅力の画像
さまざまな空間に馴染むのも魅力
八代江津子さんの画像
八代 江津子
1994年に初めて訪れたナンタケット島でバスケットに出会う。96年にパット・ケーン氏からバスケットの基礎を習得する。その後、ナンタケット島のバスケット制作の第一人者、アラン・リード氏に師事し、現在に至る。99年に正式にバスケット制作教育を目的とした「ニューイングランド・ナンタケットバスケット協会」を設立、ケンブリッジ市、ブルックライン市、サンフランシスコ市、サンノゼ市、ロサンゼルス市にてクラスを開催。2005年よりナンタケットライトシップバスケット美術館に作品が展示され、ナンタケット島にてナンタケットバスケット制作者として名実共に認められる。06年に「グレイミスト・エンタープライズ」を設立、ナンタケットバスケット材料店、グレイミストショップをボストン近郊・ケンブリッジ市、東京・南青山に展開。16年に「日本ナンタケットバスケット協会」を設立。22年6月、帝国ホテルプラザ内にGrayMistオリジナルの商品、ナンタケットバスケット材料を取扱う店舗「GrayMist」をオープン。ナンタケットバスケットを常時展示・販売するほか、ナンタケットバスケット制作クラスなどを開催する。